講演会『杉山和一と塙保己一』 盲人史に残る2人の信念探る
2018.12.25
―桜雲会ら3団体共催―
社会福祉法人桜雲会は11月3日、講演会『杉山和一と塙保己一 強く生きた二人の人生―生涯を貫いた信念とは何だったのか』を開いた。視覚障害者向け総合イベント『サイトワールド2018』内での企画で、公益財団法人杉山検校遺徳顕彰会、公益社団法人温故学会との共催。
管鍼法の創始者である杉山和一(1610―1694)について講演したのは、元筑波大学付属視覚特別支援学校教諭の岩崎洋二氏。江戸幕府の五代将軍・徳川綱吉の治療に成功して気に入られ、多くの弟子を育てたこと、世界初の視覚障害者教育施設とされる杉山流鍼治導引稽古所を開設したことなど、その功績を紹介。松尾芭蕉、井原西鶴らと並ぶ、元禄文化を代表する文化人だと述べた。また、鍼医の修業に行き詰まり、挫折しかけた折に石につまずき、枯葉に包まれた松葉をつかんだことが管鍼法発明のヒントになったとする有名な伝説に言及。この逸話は江の島では、同地の「弁天さん」に詣で、祈願の最終日に起きたことだと伝わっていると紹介した上で、この時代よりも以前から、江の島詣で・弁天信仰は盲人の間で盛んだったと指摘。「十分な史料が存在しないため確証はないが、盲人と関係の深い江の島から杉山和一の逸話が始まることは、盲人史の大きな流れと無関係ではないのではないか」と推察した。
齊藤昌子氏(温故学会理事)は塙保己一(1746―1821)について講演。全国の貴重な文献を収載し、現在も研究に用いられているほどの叢書『群書類従』を編纂した功績のほか、生涯にわたり1日100回般若心経を唱え続けたという逸話を紹介。一度決めたことを必ずやり遂げるという信念が、偉業の達成につながったと述べた。
このほか、講演後にはツボ体験会も開催された。