第11回JATIトレーニング指導者研修・交流会 リオ五輪女子バレーチームの栄養指導を解説
2017.07.25
国際学会、2018年までの開催を視野に
NPO法人日本トレーニング指導者協会(JATI)の第11回トレーニング指導者研修・交流会が昨年12月18日、東海大学高輪キャンパス(東京都港区)で開催された。
『リオ五輪に向けた全日本女子バレーボールチームのコンディショニング』として、管理栄養士で、同チームのほかに野球日本代表チーム『侍ジャパン』、野球の上原浩治選手や大谷翔平選手など、多くの一流選手のサポートを行ってきた大前恵氏が講演。同チーム発足1年目、2014年のワールドグランプリで日本が銀メダルを得た頃は、まだカロリー計算や試合中の水分補給が不十分で、「金メダルを取ったらこれが常識になってしまうかも」と危惧していたと明かし、食事と栄養指導の重要性を強調。▽体格やポジション、選手特性に合わせて目標体重・体脂肪率を設定し、十分な炭水化物・蛋白質を摂取、▽外で摂った食事も写真をメールで送らせて栄養を計算、▽練習中は計器を付けて消費カロリーを測定、▽試合中の消費カロリーが1000㌔㌍を超えると必ず30分以内に炭水化物を摂る、▽スナック菓子は禁止するが、定義は100㌘中10㌘以上が脂質のものとし、和菓子などは自由――といった取り組みを紹介した。女性選手の傾向として、筋肉を付けることを嫌がる、隠れて間食するなど管理が難しい一方で、制限をかける意義を一人ひとりが理解しさえすれば、継続して守る力には長けていると説明。特に若い選手では、身体が大きいこと、あるいは痩せることのメリットや、どういう食べ物が夢を叶えるために良いのかといった説明を丁寧に行い、早い段階で正しい食習慣を身に付けることが重要となるとした。
国際シンポジウムでは、JATIと提携関係を結んだ豪州及び英国のストレングス&コンディショニング協会から、それぞれエミリー・ノーラン女子アドバイザー委員長、ブリジット・スワレス副理事長が来日し、両国のトレーニング指導普及や、指導者の地位向上の取り組みについて語った。座長を務めたJATIの長谷川裕理事長は、各国の団体と関係を深め、アジアのトレーナーを集めた国際学会の開催を2018年初頭までに目指すとの展望を示した。
このほか、『打撃系格闘技種目におけるチームトレーニング』(大野隆成氏・岐阜市役所)など12の講演・実技が行われた。