第20回JSSPOT大会 柔整師の古今から考える未来への展望
2018.11.25
―外国語が柔整師の必須スキルに?―
日本スポーツ整復療法学会(JSSPOT)の第20回大会が10月20日、21日、東京都内で開催された。
シンポジウムでは、幡中幹生氏(株式会社タシマ創健)、伊澤政男氏(伊澤接骨院)、内藤晴義氏(内藤接骨院)が登壇。第20回大会の節目と、2020年の東京オリンピックを見据え、「柔道整復師の古今から考える未来への展望」をテーマに報告と意見交換を行った。
江戸時代、1820年に創業した田島接骨院の九代目当主である幡中氏は、一子相伝・門外不出だった治療技術が今の時代に必要なものだと考え、広く門戸を開いて継承する決断をし、スタッフは総勢40名を数えるほどとなったと説明。また、平成19年にデイサービス、同23年には「運動器の障害に運動療法は必須」との八代目の理念の下で会員制フィットネスの経営を始めたことで、毎日来院していた患者が安心して生涯にわたってサービスを受けられるようになるなど、より広く国民の健康に寄与するための取り組みを模索し続けているとした。
伊澤氏は、東京都柔道整復師会やNPO法人ジャパン・アスレチック・トレーナーズ協会(JATAC)の活動を振り返り、柔整師・ATが果たしてきた役割の大きさを強調。超高齢化社会への対処や、東京オリンピック・パラリンピック、またその後のスポーツボランティアへの参画へ向けて、生計の成り立つ専門職として活躍できる環境作りが必要だとした。内藤氏は、開業施術者は地域特性を考慮する必要があると指摘。在留外国人が多いことで知られる神奈川県大和市で開業する同氏の院では、患者の多国籍化が進んでおり、その多くが英語を話せないと説明。外国人労働者の受け入れ拡大などの議論が進む中、将来的に柔整師に外国語の習得が求められる可能性を示唆した。
特別企画『東京オリンピックに向けて―4度の五輪と怪我、そのケア』では、アテネ、北京、ロンドン、リオデジャネイロオリンピックで4大会連続金メダルを獲得した伊調馨氏(ALSOK)が講演。そのほか、特別講演『2020年を健康で迎えるための貯筋運動』(福永哲夫氏・東京大学名誉教授)、実技ワークショップ『2020年を健康で迎えるためにできること』、一般研究発表12題、学生発表コンペ5題などが行われた。