第16回日本生殖心理学会・学術集会 生殖医療施設等に鍼灸外来
2019.03.25
「今後、差別化のため需要増」
一般社団法人日本生殖心理学会の第16回学術集会が2月24日、都市センターホテル(東京都千代田区)で開催された。同学会は、生殖医療の現場における「心のケア」の学術的研究の向上と生殖医療の発展への寄与を目的に、平成15年に設立された。
シンポジウム『ART(生殖補助医療)と統合医療をつなぐ』では医師や臨床心理士らとともに、東洋医学の分野から徐大兼氏(アキュラ鍼灸院院長、JISRAM事務局長)と邵輝氏(統合医療生殖学会理事長)が講演を行った。徐氏は、アメリカでは現在、IVF(体外受精)を行う施設が500程度あり、そのうちおよそ400が鍼灸プログラムを提供あるいは推奨していると説明。また、「ハーバード大学Boston IVF」など同国を代表する医学部関連施設でも鍼灸治療は積極的に導入されていると話した。日本においてもARTの施設は増加しているため、今後は差別化のために鍼灸などを取り入れるクリニックが増えることが予想されると分析。JISRAMにも生殖医療施設などから鍼灸外来開設の要望が多数、寄せられていると述べ、「京野アートクリニック高輪」で自身が監修した鍼灸ルームの取り組みにも触れた。邵氏は、不妊治療でも特にIVFを行っている患者には自律神経失調の症状がよく見られるとし、抑肝散を用いて気を流すことで改善させていると説明。不妊の要因の一つと考えられる冷えなどには神闕、関元、気衝への温灸、督脈の大椎、至陽、命門と腎兪への温灸も良いと述べた。
特別講演は臨床心理士の鈴木美砂子氏(岐阜県総合医療センター)が家族療法について概説し、鍼灸師も参加する名古屋医大の「統合ヘルスケアチーム」に加わった際の経験にも言及。一人の患者について関わる全職種でディスカッションし、その内容を患者にフィードバックできるのは非常に有意義だったと語った。
ほかに『チーム医療における心理職の役割』(花村温子氏・埼玉メディカルセンター心理療法室主任心理療法士)、『周産期施設からみた不妊治療』(宮内彰人氏・日本赤十字社医療センター周産母子・小児センター副センター長)や、一般口演、ポスター発表などが行われた。