『鍼灸師・柔整師のための痛み学―UPDATE』9 痛覚変調性疼痛とは?
2025.11.12
痛みに対する考え方は日々変化している。痛みはその原因により、①組織の損傷や炎症などの原因で侵害受容器が興奮することで生じた「侵害受容性疼痛」、②神経が障害されたことにより生じた「神経障害性疼痛」、③その他の心理的な問題(ストレス、不安、抑うつなど)が原因で生じた「心因性疼痛」の3つに分類されていた。
しかしながら、 (さらに…)
『鍼灸師・柔整師のための痛み学―UPDATE』9 痛覚変調性疼痛とは?
『鍼灸師・柔整師のための痛み学―UPDATE』9 痛覚変調性疼痛とは?
2025.11.12
痛みに対する考え方は日々変化している。痛みはその原因により、①組織の損傷や炎症などの原因で侵害受容器が興奮することで生じた「侵害受容性疼痛」、②神経が障害されたことにより生じた「神経障害性疼痛」、③その他の心理的な問題(ストレス、不安、抑うつなど)が原因で生じた「心因性疼痛」の3つに分類されていた。
しかしながら、 (さらに…)
第53回日本伝統鍼灸学会学術大会東京大会 日本の伝統鍼灸を世界に!
第53回日本伝統鍼灸学会学術大会東京大会 日本の伝統鍼灸を世界に!
2025.11.05
第53回日本伝統鍼灸学会学術大会が10月11日、12日にタワーホール船堀(東京都江戸川区)で開催された。テーマは『世界に羽ばたく日本伝統鍼灸―学理と術技を未来に託す』。約600人が会場に足を運び、アーカイブも合わせ当日までに653人の申し込みがあった。
視覚障害があっても学べる経絡治療
会頭講演では谷内秀鳳氏(東洋はり医学会会長)が『今日における難経六十九難の治療法則―片方刺しによる相剋調整の本治法』のテーマのもと、同会は経絡治療の流れを継ぐ5名の盲人鍼灸師から始まった学会であると紹介した。現在は国内33支部、海外14支部を構えている。
同会では、2つの証を立て左右に振り分け共に補う「片方刺しによる相剋調整の本治法」や鎖骨上窩に対する「ナソ治療」、鼡径部に対する「ムノ治療」という標治法を打ち出し実践しているという。治療の流れとし、主訴、望診、聞診、問診、切診までで2つの証を立て、脈診により証を最終確定、2つの証を左右に振り分け鍼治療に移る。実技では、腹診図を示しながら本証、副証を確認。肺虚・肝虚の相剋調整の鍼を太淵、太白、太衝に行い「接触から押し付け、わずかに刺入し補う」とアドバイスした。ナソ・ムノ治療についても実演してみせた。
視覚障害者支援委員会企画の実技セッション『小里方式―刺鍼技術の検証方式で見えない世界を診る』では、視覚障害があっても経絡治療を学べる東洋はり医学会独自の修練法「小里方式」が紹介された。これは刺鍼者、検脈者、模擬患者の3~5名からなるグループで行う練習法で、検脈者は模擬患者の脈状を診て正確な取穴や刺鍼が行われているかを確認するもの。体験では晴眼者もアイマスクをつけ、講師の誘導でベッドや患者に触れながらぐるりと一周空間を確認し、問診、腹診、検脈を行った。
4つの流派が補瀉をテーマに議論する
シンポジウム『補法、瀉法の理論と技術―経絡治療の視点から』では、木戸正雄氏(天地人治療会会長)、中野正得氏(日本はり医学会会長)、橋本厳氏(経絡治療学会)、二木清文氏(漢方鍼医会)がそれぞれの立場から補瀉について語った。 (さらに…)
日鍼会の『第20回全国大会inいばらき』、鍼灸師の将来や緩和医療などのセッション開く
日鍼会の『第20回全国大会inいばらき』、鍼灸師の将来や緩和医療などのセッション開く
2025.10.29
日本鍼灸師会(日鍼会、中村聡会長)の『第20回全国大会inいばらき Tsukuba』が10月4日、5日、つくば国際会議場(茨城県つくば市)で開催された。大会テーマに『求められる鍼灸 求める鍼灸』を掲げ、会場には370人を超える参加者が集まった。
今後、鍼灸は「医療」or「予防」のどちらに向かうべきか!
特別講座では、『鍼灸師はこのままでよいのか―50年後、100年後の鍼灸師を語ろう』と題して、鳥海春樹氏(湘南慶育病院鍼灸科部長)と伊藤和憲氏(明治国際医療大学鍼灸学部教授)が対談した。討論の争点を分かりやすくするため、「医療寄り」の立場から鳥海氏が、「予防・ウェルネス寄り」の立場から伊藤氏が鍼灸の将来について主張をぶつけ合った。
鳥海氏は、現在の医療体制の中では、 (さらに…)
大学付属鍼灸センターに学生中心で運営する美容部門「オベリオ」オープン
大学付属鍼灸センターに学生中心で運営する美容部門「オベリオ」オープン
2025.10.27
明治国際医療大学鍼灸学科付属鍼灸センターにて、9月26日より新たに美容部門「oberio(オベリオ)」が開設され、受け入れを開始している。特筆すべきは、発案から開設に至るまで学生中心で進められているということ。現在は5名の学生が、授業や部活動と並行しながら教員のサポートのもと運営を行っている。
プロジェクトの発端は同大学講師の山崎翼氏(鍼灸学部鍼灸学科)と鍼灸学科3回生の林孟彦さんの日常の会話から。治療のために鍼灸を学んでいたが、興味を持ちやすい美容に鍼灸を活用すれば、健康を維持でき充実した人生が送れると考え始めたという林さん。メンタルを研究するうちに心身と美の繋がりに興味が湧き、「男女とも美容意識が高い今、メンタルを美容から踏み込む『健美』を追求したい」と伝えたところ、話ははずみ美容部門開設のビジョンが広がったのだそう。
学校側としても、学生が中心となる取り組みを進めたいという意向があり、山崎氏においては顔面部の鍼灸刺激と美容・心身への影響について研究に取り組んでおりサポートが可能であったこと、付属鍼灸センターに利用できる施術室があったことなど好条件が揃い、実現に向け動き出した。
有志で集まった学生による内面も外面も美しくなれる専門外来
林さんが鍼灸学科生全体に向け、ポスターで参加を呼び掛けたところ3年生の4名が集まった。参加を決めた動機としては「現場経験を通して自分のスタイルを模索したい。就職や開業に繋げたい」と宮下涼さん。山脇清之朗さんは「他人から分からないような見た目や内面の悩み、体調の悩みは、案外根が深い。美容にアプローチすることで総合的に改善できると考えた」と語る。
また、アスリートのサポートを挙げたのは谷歩莉さんと青田光央さん。谷さんは「立ち上げを経験し、女性アスリートをサポートするスポーツ部門も開設したい」、青田さんは「陸上競技をしているけれど日焼けを完全に防ぐことは難しい。美容は皆の関心事で、役に立ちたい」と思いはそれぞれ。
全員が国試を控え、勉強や部活動に忙しく励む中、 (さらに…)
全国柔道整復学校協会第67回教員研修会 社会に求められる柔整師を育てるには
全国柔道整復学校協会第67回教員研修会 社会に求められる柔整師を育てるには
2025.10.20
公益社団法人全国柔道整復学校協会の第67回教員研修会が9月27日、28日に福岡国際会議場(福岡市博多区)で開催された。テーマは『柔道整復の新時代へ』。
実力とマネジメント能力を兼ね備えた人物を「学科長」に
同協会副会長・関口正雄氏は『学科長のマネジメントー学校の命運は学科長が握っている』のテーマで、学校運営においての自身の成功体験に基づき新しい学科長像を提案した。初めにプロフェッショナルとスペシャリストについて、プロフェッショナル(プロ)は▽専門能力、▽課題解決能力、▽顧客満足の重視などの特徴があり、スペシャリストは▽専門能力のみ、▽顧客満足に対して逃避傾向などの特徴があると説明した。新しい学科長の理想像は、 (さらに…)
連載『現場で使える! 治療家のための実践英会話 』9 痛みがサーフィン⁉ー“come and go” で波を読む力
連載『現場で使える! 治療家のための実践英会話 』9 痛みがサーフィン⁉ー“come and go” で波を読む力
2025.10.18
痛みがサーフィン!?―“come and go” で波を読む力
宮口先生/宮 鍼灸師の佐藤さん/佐
【会話】
佐:「Google翻訳で『痛みには波がありますか?』を英語でどう言うか調べてみたんです」
宮:「お、どう出ました?」
佐:「“Does the pain have waves?” って、まるでサーフィンのような答えが返ってきたんですよ」 (さらに…)
『鍼灸師・柔整師のための痛み学―UPDATE』8 痛みにおける脊髄の役割
『鍼灸師・柔整師のための痛み学―UPDATE』8 痛みにおける脊髄の役割
2025.10.12
痛みという感覚は原始的な感覚であるが故に、色々な場所で修飾を受けて脳に伝わります。特に近年では前頭前野や扁桃体などの脳が痛覚を修飾していることが注目されていますが、その他に注目されている部位として脊髄があります。
そもそも痛みは受容器が痛み刺激を感じると神経が興奮し、電気的な信号として脊髄に伝わります。この電気的な刺激の伝わりは伝導と表現しています。そして、色々な受容器から生じた電気信号(興奮)は脊髄に集約され、シナプス(化学信号)を介して脳に伝わります。このように伝達物質による情報のやり取りを伝達と表現しています。特に脊髄は、 (さらに…)
美容鍼灸アカデミックカンファレンス2025 美容鍼の将来性を医師と鍼灸師の見地から
美容鍼灸アカデミックカンファレンス2025 美容鍼の将来性を医師と鍼灸師の見地から
2025.10.03
9月7日に『美容鍼灸アカデミックカンファレンス2025』が横浜・みなとみらいにて開催された。テーマは『鍼灸師に求められる医学的知識/抗老化における美容鍼・鍼灸の役割』。今回は2年ぶり4回目の開催となり、主催は美容鍼灸アカデミックカンファレンス(ACOCA)。NPO 法人日本美容皮膚研究会(JADS)が主催する『第16回ダーマトロジーフォーラム』との共催となった。
粕谷大智氏(新潟医療福祉大学鍼灸健康学科教授)は開会の辞において、同カンファレンス開催の意義を、①美容鍼灸の臨床研究の推進、②機序の解明、③信頼される美容鍼灸学の構築、にあると述べ、「明日からの臨床に役立ててほしい」と呼びかけた。
美容皮膚科で業界での課題を鍼灸業界に生かす
医師の尾見徳弥氏(クイーンズスクエアメディカルセンター皮膚科部長)は『美容皮膚科の概要と美容鍼の将来性』のテーマのもと、「医師においては医療の臨床経験を積まず美容外科として働き始める『直美(ちょくび)』などが社会問題になっているが、 (さらに…)
【レポート】日体大大学院がフィジー研修を実施―柔整を通じて国際貢献を
【レポート】日体大大学院がフィジー研修を実施―柔整を通じて国際貢献を
2025.09.25
交流の中で日本の伝統医療「柔道整復」への関心高い
執筆者:日本体育大学大学院保健医療学研究科・伊藤譲、祁答院隼人
8月27日~9月3日、当研究科の運動器柔道整復学専攻(博士課程)において、「海外運動器柔道整復学実習」の科目研修を南太平洋のフィジー共和国で実施しました。
フィジーでの研修は昨年に続き2回目で、現地のスポーツ・教育機関と交流を図ったり、柔整技術に関するセッションを開いたりと精力的に行いました。活動の中で連携を深め、実践的な国際交流も展開したほか、活動の一部が現地メディアで取り上げられ、日本の伝統医療である「柔道整復」へ高い関心が寄せられました。
■今回の研修活動は、以下のフィジー国内の主要メディアで紹介されました
1.MaiTV:https://maitvfiji.com/judo-therapy-specialist-conducts-hands-on-training-and-support-to-fiji-sports-organizations/
2.The FIJI Times:https://www.fijitimes.com.fj/timely-visit/
3.Fiji Village:https://www.fijivillage.com/news/Japanese-delegation-plans-to-establish-Bone-Setting-Centre-in-Fiji-r485fx/
4.FBC NEWS:https://www.fbcnews.com.fj/sports/fiji-to-benefit-from-japanese-traditional-sports-medicine/
フィジーのトップスポーツ団体と面談、「将来的な連携強化を」
今回の研修では、昨年の『フィジーを広く知る』というテーマからもう一歩前に進め、『選択と集中』を掲げて、より専門性を生かした交流を図りました。
まず、フィジーオリンピック委員会を訪問し、最高責任者のVanessa Kiliner氏と面談。フィジーのスポーツ現場が直面する課題に対して「日本の柔整師がどのように貢献できるか」と、具体的な意見交換を行い、今後の継続的な連携に向けた確かな一歩を刻みました。
続いて、在フィジー日本国大使館を表敬訪問し、参事官の髙田勇深氏にこれまでの活動と今後の展望を報告しました。髙田氏は接骨院を利用した経験を持ち、柔整への理解も深く、終始和やかな雰囲気で懇談が進みました。また、当学理事長の松浪健四郎とご縁もあり、活動に対する激励を受けました。
未来のアスリートへ技術披露、高校でテーピングの実技指導を行う
首都・スバでは、当地の2つの高校で生徒たちにテーピングの実技指導を行いました。 (さらに…)
「鍼灸師のキャリアに関する調査」への協力募る、履正社鍼灸学科
「鍼灸師のキャリアに関する調査」への協力募る、履正社鍼灸学科
2025.09.18
現状把握し、若手・学生へのキャリア支援のあり方等を考えたい
履正社国際医療スポーツ専門学校鍼灸学科が、鍼灸師免許の取得者に向けた「キャリアに関する調査」を実施しており、アンケートへの回答の協力を求めている。
アンケート対象者は、現在就業中(もしくは休業中)で鍼灸関連業務に従事しているかの有無は問わない。※既に引退しており、今後働く予定のない方は対象外
近年、鍼灸師の働き方は臨床にとどまらず、教育、研究、地域活動など兼業を含め多様化しており、こうした現状を踏まえ、鍼灸師の「志向性」や「キャリア選択」の背景を明らかにしようと調査研究に取り組んでいるという。
また、同調査から鍼灸師のライフステージや価値観の違い、労働環境などの背景・働き方を把握することで、若手や学生に向けたキャリア支援のあり方を検討し、さらには現在の働き方を見直したいと考える鍼灸師にとっても有意義な知見を提供していきたいとしている。
回答方法は無記名式のWebアンケートで、所要時間は5~10分程度。研究代表者は同校鍼灸学科の桑原理恵氏。
回答はこちらから↓
「鍼灸師のキャリア形成に関する調査」アンケートフォーム
連載『現場で使える! 治療家のための実践英会話 』8 財布にも効く痛み⁉ “spread” で広がる質問力
連載『現場で使える! 治療家のための実践英会話 』8 財布にも効く痛み⁉ “spread” で広がる質問力
2025.09.18
財布にも効く痛み⁉ “spread” で広がる質問力
宮口先生/宮 鍼灸師の佐藤さん/佐
【会話】
佐:「先生、肩の痛みが腕に広がっているか聞きたいんですけど、何と言えばいいですか?」
宮:「“Does the pain spread anywhere else?”(痛みは他のどこかにも広がっていますか?) って聞けばOKですね」
佐:「“spread”ってスプレーと聞き間違われてしまいそう(笑)ほかの表現はありますか?」 (さらに…)
福島で第56回東北鍼灸学会学術大会開催、『安心安全な鍼灸医療』をテーマに
福島で第56回東北鍼灸学会学術大会開催、『安心安全な鍼灸医療』をテーマに
2025.09.17
東北鍼灸学会(橋本博明会長)の第56回学術大会が8月31日、9月1日、福島県郡山市内の商工会議所会館で開催された。
大会テーマには『安心安全な鍼灸医療を目指して』を掲げ、治療家として公表するのに抵抗のある臨床上のトラブル事案の発表などをプログラムに盛り込み、意欲的な企画で実施された。
トラブルやしくじり事例から「今一度、初心を思い出そう」
一般口演は、『鍼灸しくじり先生―ヒヤリハットじゃ済まされない日常臨床の落とし穴』と題して、東北6県の鍼灸社団がそれぞれ発表した。
福島県の発表は、今大会の会頭も務めた三瓶真一氏(福島県鍼灸師会会長)が登壇した。事前に同社団で問題事案を募ったところ、16例が集まり、その内訳は「患者とのトラブル」が10例、「医療事故・インシデント等」が6例だったと報告。前者では▽女性患者から性的暴行を受けたとの虚偽の告発、▽ネット上で悪質な書き込みをされた、▽自費の治療にもかかわらず医療助成の書類作成を執拗に迫られた、などがあり、後者では (さらに…)
『鍼灸師・柔整師のための痛み学―UPDATE』7 痛みにおける前頭前野の役割
『鍼灸師・柔整師のための痛み学―UPDATE』7 痛みにおける前頭前野の役割
2025.09.12
痛みは原始的な感覚であるがゆえに、様々な修復を受け、その感覚を変化させることが知られています。その中で、近年注目されているのが前頭前野です。
前頭前野は脳の「司令塔」ともいわれる部位で、考える・計画する・気持ちをコントロールするなど、人間らしい高度な働きを担っています。例えば、勉強や仕事で目標を立てて実行する、感情に流されず冷静に判断する、相手の気持ちを想像して行動するなどに欠かせません。前頭前野がうまく働くことで私たちは社会生活をスムーズに送り、創造的なアイデアを生み出すことができます。一方、前頭前野の機能が低下すると、注意力や記憶力の低下、計画や判断をする力に障害が起こり、仕事や日常生活に支障をきたします。感情を抑えにくくなり、怒りっぽさや無気力、うつ状態がみられることもあります。特にアルツハイマー病や前頭側頭型認知症では前頭前野の障害が大きく関わり、性格の変化や社会性の低下につながることがあります。
他方、 (さらに…)
柔整学校協会が「コアカリ案」公表、パブコメ募る
柔整学校協会が「コアカリ案」公表、パブコメ募る
2025.08.29
全国柔道整復学校協会が8月27日、次期カリキュラム改訂に当たって様々な検討を重ねるなかで、日本柔道整復師会と協同で取りまとめた「柔道整復学教育モデル・コア・カリキュラム」案(以下、コアカリ案)をホームページ上で公表した。
併せて、業界内外から広く意見を求めて、パブリックコメントも実施。意見募集期間は9月30日まで。
モデル・コア・カリキュラムとは、卒業時に全ての学生が達成すべき「核(コア)」となる学習アウトカムを定めたもので、既に医師などの他の医療専門職養成においては策定され、活用が進んでいる。柔整業界でも近年その必要性が高まり、柔道整復学教育のモデル・コア・カリキュラムに関する専門の委員会及び作業部会を立ち上げ、策定に向けた検討が進められてきたという。
今回のコアカリ案について、学校協会は、「大学や専門学校といった養成経路にかかわらず、全ての柔整師養成施設において卒業時に共通して身につけるべき基本的な力を示すもの」としたうえで、「柔整師が社会や多職種から信頼される教育的基盤を確立し、教科書改訂や国家試験出題基準の基礎となることを目指す」としている。
コアカリ案は、9項目からなる「柔道整復師として求められる基本的な資質・能力」と、5つの大項目の「学習目標」を中心に構成され、計91ページに及ぶ。
学校協会は「改善点や指摘のみならず、建設的かつ多様な視点からのフィードバックもぜひお寄せいただきたい」と呼び掛けている。
詳細は、全国柔道整復学校協会ホームページ「柔道整復学教育モデル・コア・カリキュラム(案)に関する意見募集(パブリックコメント)」より。
『鍼灸師のための周産期ケア講座』 産婦人科エキスパート鍼灸師を目指して
『鍼灸師のための周産期ケア講座』 産婦人科エキスパート鍼灸師を目指して
2025.08.28
7月27日に第2回『鍼灸師のための周産期ケア講座・東京Edition』が国立オリンピック記念青少年総合センター(東京都渋谷区)で開催された。主催は女性鍼灸師フォーラム。
同会では「鍼灸×助産プロジェクト」と銘打ち約10年に渡り、専門知識を身に付けた「産婦人科エキスパート鍼灸師」を育て、医療従事者との連携に向けた活動を行ってきた。これまでも講義とワークショップをセットにした勉強会を開催し、受講生は学んだ成果を助産師や女性関連の学会での他職者に向けた体験会や妊産婦へのアピールで発揮してきたと紹介。今回の全4回連続講座(第1回は東京都はりきゅうマッサージ師会主催の連携講座)修了後も、『第39回日本助産学会学術集会』での「鍼灸ブース」とワークショップ「鍼灸つぼ療法体験」の実施を目標に定めている。
助産師が妊婦を安全に診る必須事項を解説
助産師で鍼灸師でもある井上律子氏(せりえ鍼灸室)は『助産師の視点で鍼灸師にも知っておいてほしいこと』のテーマで講演を行った。「超少子化時代」となり妊娠出産に関わる社会環境や政策が変化する中で、鍼灸師もそれに応じ成長する必要があると説明。これまでの同プロジェクトでの勉強会の要点や体験談を踏まえ、妊婦を安全に診るための基礎知識や注意点を教えた。
各妊娠期のトラブルとし、 (さらに…)
大鍼師会の令和7年度生涯研修会 「新潟から新たな鍼灸の可能性を発信」
大鍼師会の令和7年度生涯研修会 「新潟から新たな鍼灸の可能性を発信」
2025.08.22
新潟医療福祉大学の粕谷氏が登壇、NSGグループの「新潟スタディ」紹介
公益社団法人大阪府鍼灸マッサージ師会(廣野敏明会長、大鍼師会)が7月27日、本年度の『第1回生涯研修会』を同会会館(大阪市阿倍野区)とオンラインのハイブリッドで開催した。
講師には新潟医療福祉大学の鍼灸健康学科で学科長を務める粕谷大智氏が招かれ、同学科の鍼灸教育事業の戦略に加え、同大学を含む100超の法人からなる「NSGグループ」全体で進めている地元・新潟での鍼灸師の雇用先確保などの取り組みについて語られた。 (さらに…)
連載『現場で使える! 治療家のための実践英会話 』7 「〜の症状はありますか?」と聞いてみよう
連載『現場で使える! 治療家のための実践英会話 』7 「〜の症状はありますか?」と聞いてみよう
2025.08.18
「〜の症状はありますか?」と聞いてみよう
宮口先生/宮 鍼灸師の佐藤さん/佐
【会話】
佐: 「外国人患者さんが“my arm feels funny”と言っていたのですが、“funny”って『面白い』という意味だけじゃないんですよね?」
宮: 「うん。『しびれてる』って伝えたかったんでしょう。ならば、 (さらに…)
京都・三寳寺で恒例の暑気封じほうろく灸祈祷開催
京都・三寳寺で恒例の暑気封じほうろく灸祈祷開催
2025.08.12
7月19日に京都市右京区にある三寳寺(さんぼうじ)でほうろく灸祈祷が行われ、約80人が参加した。三寳寺では約80年前より土用の丑の日に暑気払い・頭痛封じ・中風封じとしてほうろく灸祈祷を恒例で行っている。
ほうろく灸祈祷では、読経が始まりしばらくすると参加者の頭にほうろくが載せられ、僧侶が順番に火をつけて回った。煙が立ち込める中、僧侶は木剣にて九字を切り、声高く経をとなえ、悪鬼邪霊の障りを取り除く祈祷は山場となる。
ほうろくに描かれているのは日蓮宗秘伝の経文。経文を (さらに…)
『鍼灸師・柔整師のための痛み学―UPDATE』6 痛みにおける扁桃体の役割
『鍼灸師・柔整師のための痛み学―UPDATE』6 痛みにおける扁桃体の役割
2025.08.12
ここまでは痛みに関する基本的な診療を解説してきました。
ただ、痛みは複雑であり、同じような疾患名で状況(グレード)であっても同じ痛みになるとは限りません。そして、鍼灸治療で報告されているエビデンスに関しても、正常な鎮痛機構が働くことが前提であり、鎮痛機構が正常に働かないとガイドライン通りのエビデンスは得られないのです。そのため、「エビデンスが存在する=鍼灸治療に効果がある」とはならず、患者さんの置かれている状況が効果を決めていると言っても過言ではありません。そこで、今回からは、鎮痛機構に影響する因子について考えてみたいと思います。
そもそも、痛みは (さらに…)
第30回日本緩和医療学会学術大会 緩和医療において鍼灸の必要性を医師にアピール
第30回日本緩和医療学会学術大会 緩和医療において鍼灸の必要性を医師にアピール
2025.08.08
第30回日本緩和医療学会学術大会(会頭:田村恵子氏/大阪歯科大学)が7月4日、5日に福岡市内にある福岡国際会議場で開催され、がん患者における鍼灸治療についての講演や体験会が行われた。
がん患者に対する鍼灸の実際を解説
今回初めての試みとなる日本緩和医療学会と公益社団法人全日本鍼灸学会の合同シンポジウム『緩和ケアにおけるがん患者に対する鍼灸治療の現状と今後の展望』において、緩和医療における鍼灸のメリットや課題が話された。座長を務めたのは、石木寛人氏(国立がん研究センター中央病院)と山口智氏(埼玉医科大学)。
山下仁氏(森ノ宮医療大学)は、鍼灸は伝統療法ゆえ科学的検証は遅れていたが論文は増加傾向にあり、2024年末時点で国内の19の診療ガイドラインにおいて28の推奨に関する記載があると伝えた。肯定的な推奨は疼痛や脳卒中後の肩手症例群など18あり、病態によっては日常臨床以上に慎重な感染症対策が不可欠となる。
鍼灸が評価されにくい理由として、無治療との差は明らかでも偽鍼は刺激による効果が出てしまい真の効果との差が検出されにくいと話した。また情報源に関し、健康情報全般はテレビやインターネットが主流なのに対し、鍼灸は医師の勧めや口コミが多いとの調査結果を示し、医師の理解を深める努力とともに、専門知識を身に付けた鍼灸師が施術する必要性を強調した。
萩原彰人氏(国立病院機構埼玉病院)は、鍼は日英の慢性疼痛診療ガイドラインにおいて推奨されていると示し、下行性疼痛抑制系の賦活などによる鎮痛作用に優れていると説明した。緩和ケア病棟の患者に対しては、痛みに苦しむ中での侵襲刺激の敬遠や、出血傾向などから接触鍼が有用だと紹介。医師である自身が刺さない鍼に興味を持ったのは、化学療法誘発性末梢神経障害(Chemotherapy-induced peripheral neuropathy : CIPN)に対し、有害事象なく、ほとんどの被験者が大きく改善した小川恵子氏(広島大学病院漢方診療センター長)らの研究結果に驚いたからだという。小川氏の在籍する病院では鍼治療を提供し、外来では不定愁訴、がん疼痛、化学療法の副作用を、病棟では悪心、倦怠感、食欲不振、全身痛、呼吸困難など緩和ケアを中心に行っている。
病鍼連携が望まれるが療養費の問題などがあるほか、さらなるエビデンスの構築や医学部での卒前教育、鍼灸適応の明確化など、医師と鍼灸師が顔の見えるコミュニケ―ションのもと課題に取り組むべきと訴えた。
(さらに…)