柔整療養費の30年度料金改定等のQ&A発出 「亜急性」見直しも
2018.08.25
厚労省が8月9日付で発出。6月以降の料金改定や亜急性の文言見直しへの見解が示された。問16に対しては、施術者団体の一部から「今回の亜急性見直しで支給対象を『時間軸』で捉えないとしたことに反する見解となっている」と疑問の声が上がってい
(さらに…)
柔整療養費の30年度料金改定等のQ&A発出 「亜急性」見直しも
柔整療養費の30年度料金改定等のQ&A発出 「亜急性」見直しも
2018.08.25
厚労省が8月9日付で発出。6月以降の料金改定や亜急性の文言見直しへの見解が示された。問16に対しては、施術者団体の一部から「今回の亜急性見直しで支給対象を『時間軸』で捉えないとしたことに反する見解となっている」と疑問の声が上がってい
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商品紹介 テクノリンク『アストロン DS-602H』
商品紹介 テクノリンク『アストロン DS-602H』
2018.08.25
―業界初の吸引型超音波―
テクノリンク(新潟市秋葉区)の低周波・超音波併用の理学療法機器『アストロン DS-602H』。
「マイクロカレント搭載と業界初の吸引型超音波が最大の特長」と同社。症状に合わせたプログラムができ、プローブ類も豊富。2種類のハンディプローブやマルチプローブ、更に、筋や腱を保持しやすいVスティック、手にはめて使えるグローブ導子がある。吸引カップを装着することでマルチプローブのバンド固定の手間が省ける吸引ユニットも。
販売に関する問合せは、セラピ株式会社(0120-89-8128)へ。
連載『織田聡の日本型統合医療“考”』98 従来の「消耗型うつ」と最近の「未熟型うつ」
連載『織田聡の日本型統合医療“考”』98 従来の「消耗型うつ」と最近の「未熟型うつ」
2018.08.25
先日、産業医講習会を受けてきました。現在、既に90,000人を超える医師が日本医師会認定産業医に登録しているといい、医師の数が全国30万人ですから、亡くなられた医師の認定登録が放置されているとはいえ、医師の3、4人に1人は産業医であるとの計算になります。「そんなに産業医がいるのか」と驚き、私も研修会に参加することとなりました。
近年、大手広告代理店や研修医などの過重労働が報道され、職場のメンタルヘルス問題に注目が集まっています。実際、3年前の2015年には、精神障害の労災請求件数は1,500件を超え、長時間労働や職場環境による労働者のメンタル不調を予防し、精神的健康を保持増進するための「ストレスチェック制度」がスタートしました。この制度は、あくまでチェックする機会を事業者が従業員に提供するもので、その治療や介入については、産業医と精神科医と事業主が個別に対応していくことになります。
産業医にとっては、このストレスチェックが最近のトピックスの一つであり、その話が非常に面白かったです。筑波大学の松崎一葉先生によると、最近の「うつ」には、従来のうつとは違う「未熟型うつ」というのがあります。一番の違いは、精神的余裕が残っているという点です。従来の「消耗型うつ」が過重なストレスが原因で、やり甲斐と目標喪失による『燃え尽き』であるのに対し、「未熟型うつ」は人格の未熟が原因で、自己愛が強く、根拠のない万能感を持ち、他罰的で無反省、嫌いなことはしたくない、というタイプ。具体例を挙げれば、「会社は精神的不調で休むけれど、消耗はしていないのでディズニーランドには行ける」「SNSに写真をアップしたりして、周りの陰性感情を揺さぶり、そして、それを心の底から、“何が悪いの?”と思っている」など。
従来のうつ患者さんには「激励禁忌原則」というのがあり、「頑張れ!」と言ってはならないとされてきました。ところが、「未熟型うつ」の患者さんに「頑張らなくていいよ」というと、一生頑張らない。「消耗型うつ」の患者さんに「頑張れ」というと消耗して頑張る力が残っていないので追い詰めることになりますが、「未熟型うつ」は、そもそも消耗していないので、「頑張れ」や「頑張っていこうぜ」というのが正解。
うつは多くの不定愁訴を伴い、鍼灸の適応があります。場合によっては「うつ」そのものにも効果が望めるケースもあるでしょう。日々の臨床でそういう患者さんが来られたら、治療しながら、今回の話を思い出してください。そして何より、精神科医や(労働者であるなら)産業医との連携が重要であることには違いありません。
【連載執筆者】
織田 聡(おだ・さとし)
日本統合医療支援センター代表理事、一般社団法人健康情報連携機構代表理事
医師・薬剤師・医学博士
富山医科薬科大学医学部・薬学部を卒業後、富山県立中央病院などで研修。アメリカ・アリゾナ大学統合医療フェローシッププログラムの修了者であり、中和鍼灸専門学校にも在籍(中退)していた。「日本型統合医療」を提唱し、西洋医学と種々の補完医療との連携構築を目指して活動中。
連載『柔道整復と超音波画像観察装置』161 外側型野球肘(離断性骨軟骨炎)の超音波画像観察
連載『柔道整復と超音波画像観察装置』161 外側型野球肘(離断性骨軟骨炎)の超音波画像観察
2018.08.25
小野 博道(筋・骨格画像研究会)
外側型野球肘の代表的な疾患に、離断性骨軟骨炎がある。これは、投球動作時の肘関節外反ストレスにより上腕骨小頭と橈骨頭の衝突が起こって発生する、上腕骨小頭の骨軟骨障害と考えられている。病期は初期・進行期・終末期に分けられ、レントゲン画像上では透亮期・分離期・遊離期に分類される。初期から進行期にかけては無症状のケースが多く、可動域制限や疼痛などの症状が出現する時には既に終末期になっている。終末期には、遊離した骨軟骨骨片が関節に挟まれてロッキングが起き、日常生活に支障をきたすようになるため、野球をやめるという選択をする子供が少なくない。最近の調査では、障害発生に関与するのは10~11歳の年齢のみで、野球開始年齢・経験年数・週間練習時間・ポジションや肘関節痛の既往との関連性はみられず、単なる肘関節外反ストレスによる障害だけではないとも考えられている。
離断性骨軟骨炎は、初期から進行期の間に投球を禁止させることでそのほとんどが修復されるため、治療は早期発見が鍵となる。今回は、小学校4~6年生の学童野球の選手200名を対象に超音波画像観察装置(エコー)で野球肘検診を行った際の結果を報告する。方法としては、プローブを腕橈関節に対して長軸に当てがい【画像①】、小頭の骨ライン・関節軟骨を描出する。【画像②】は11歳男子の正常な上腕骨小頭の長軸画像である。検診の結果、200名中2名の選手に離断性骨軟骨炎の疑いがあった。一人は捕手(11歳)で、無症状だったが小頭の骨頭部にわずかな不正像を確認【画像③】。整形外科に紹介したところ、MRIによる検査で初期の離断性骨軟骨炎と診断された。現在、投球が少ないポジションに転向して4カ月で、修復傾向にある。もう一人は投手(11歳)で、これも無症状だったが、エコー画像では小頭の骨層部が乱れていたため【画像④】、整形外科に紹介。レントゲン画像から進行期(分離期)と診断され、投球禁止となった。
離断性骨軟骨炎は無症状であることが多い上に、進行していく疾患である。野球に打ち込む子供たちの将来のためにも、簡易的で侵襲性が無いエコーを使った定期的な野球肘検診の実施が必要かつ有効であると考える。
(参考文献)臨床スポーツ医学:Vol.34,No10「少年野球選手に生じる障害への対応と予防」松浦哲也
学生・若手鍼灸師向けイベント『未来を学ぶ』 「産業鍼灸師」の実現を
学生・若手鍼灸師向けイベント『未来を学ぶ』 「産業鍼灸師」の実現を
2018.08.25
―「受療率5%」は「95%の伸びしろ」―
鍼灸専門学校生や若手鍼灸師向けのイベント『未来(いま)を学ぶ』が7月23日、千葉市美浜区の関東鍼灸専門学校で開催された。
川井治療院院長で東京都鍼灸師会理事の川井大輔氏が、鍼灸マッサージ業界の発展や治療家の地位向上のために業界団体が取り組むべきことを提言した。企業が従業員の健康増進によって生産性向上につなげるなど、国も推奨している「健康経営」に着目し、そのような企業の取り組みに業団が参画することを提案。企業の健康イベントに鍼灸師を派遣してサポートするといった具体例を挙げ、最終的に企業内で定期的な施術を行う「産業鍼灸師」の実現を目指す構想を語った。交通事故の自賠責保険に鍼灸治療は適用されにくく、個々の鍼灸師が苦心して保険会社との交渉に当たっている現状に言及。業団が保険会社と施術回数や料金の基準などを取り決め、鍼灸師と保険会社との橋渡しをすればより円滑になるのではないかと述べた。無資格者問題にも触れ、取り締まるだけでなく妥協点も見いださなければならないと指摘。業者の店舗に管理責任者としてあマ指師の有資格者を設置する、有資格者団体における研修を必須化して将来的に国家資格を取得してもらう、といった案を提示した。
また川井氏は、引退する開業鍼灸師には、業団が斡旋する若手に院を引き継がせて独立を助けてもらう代わりに、業団から年金を支給してはどうかと話した。
治療院の口コミサイト「しんきゅうコンパス」を運営するカリスタ株式会社代表取締役の前田真也氏が登壇。鍼灸師に必要なスキルは「患者さんを長く診られる力」だと述べ、開業鍼灸師には加えて経営力が求められると説明した。また、「患者さんの人生を豊かにすることへのこだわり」「人・外部環境のせいにしない」など「伸びる」鍼灸師の条件を提示。「ポジティブさ」も大切だとして、鍼灸受療率が5%しかないと嘆くよりも「95%も伸びしろがあると考えよう」と呼びかけた。
ほかに、美容鍼灸でテレビや雑誌などのメディアに取り上げられているあはき師、倉内夕氏によるデモンストレーションも行われた。
Q&A『上田がお答えいたします』 「筋肉痛」は保険の適用外?
Q&A『上田がお答えいたします』 「筋肉痛」は保険の適用外?
2018.08.25
Q.
協会けんぽの被保険者・患者向けの広報パンフレットに「筋肉痛は保険が使えない」とありました。筋肉痛への治療では療養費は請求できないのでしょうか。
A.
筋肉痛に対する施術は保険の対象です。ただ、「筋肉痛」は医学用語ではなく、筋肉に発生する痛みを筋肉痛や筋痛と呼んでいるだけなのです。筋に発生する痛みのメカニズムは現在の医学では明確にされていませんが、有力とされる説を以下に述べます。骨格筋は筋線維の束ですが、疼痛を感じる神経終末は接合していません。しかし、その筋線維を包む筋膜には接合しており、筋の損傷による刺激が加わった際、疼痛を感じるというものです。
以上を踏まえて、打撲・捻挫・挫傷と筋痛との関係性を考察してみましょう。打撲は、筋そのものに直達的な外力がかかることにより筋膜が損傷して疼痛が発生するもの。捻挫は、関節の骨と骨の間に起こる急激な捻れ、あるいは激しい外力により、関節の生理的可動範囲を超えた運動を強制された場合に靱帯や関節包の損傷をきたしたものです。関節周辺を通過している筋にも外力は及んでいるので、筋膜にも微細な損傷が発生することは容易に考えられます。挫傷は筋損傷の総称で、筋損傷の程度の分類でみると第Ⅱ度と第Ⅲ度では筋膜の損傷が明らかです。第Ⅰ度は筋細胞の微細な損傷で、MRI検査において出血所見が認められるだけですが、筋膜そのものが損傷していなくても、筋細胞が破壊されることで筋細胞内に多く存在するATP(アデノシン三リン酸)が細胞外に放出されて疼痛を誘発するという説や、筋膜内の内圧上昇で神経終末を刺激して疼痛を誘発するという説があります。このように、挫傷だけではなく捻挫や打撲でも筋痛は発生すると言えるでしょう。
補足で「遅発性筋痛」と筋損傷の関係にも言及しますと、遅発性筋痛は筋が引き伸ばされる運動、いわゆる伸張性収縮により発生するといわれています。これも詳しい仕組みは解明されていませんが、伸張性収縮では筋形質膜やZ帯の破壊、出血、マクロファージの集積が起こり、血中クレアチンキナーゼや乳酸脱水素酵素の上昇がみられるなど、短縮性収縮よりも筋の障害が強く起こることが生化学的にも明らかになっています。また、運動後24~48時間には筋の傷害や炎症、修復過程と関連するといわれるグルコース6リン酸脱水素酵素の活性が増大することも分かっています。これらのことから、遅発性筋痛は筋の損傷で発生していると理論付けられます。
【連載執筆者】
上田孝之(うえだ・たかゆき)
全国柔整鍼灸協同組合専務理事、日本保健鍼灸マッサージ柔整協同組合連合会理事長
柔整・あはき業界に転身する前は、厚生労働省で保険局医療課療養専門官や東海北陸厚生局上席社会保険監査指導官等を歴任。柔整師免許保有者であり、施術者団体幹部として行政や保険者と交渉に当たっている。
連載『食養生の物語』63 梅肉エキスとドーピング
連載『食養生の物語』63 梅肉エキスとドーピング
2018.08.25
記録的な猛暑の続く今年の夏、私を支えてくれているものの一つが「梅肉エキス」。梅肉エキスとは、青梅を濃縮したエキスのこと。梅干に向くほど黄色く熟する前に収穫した青梅の果肉を磨り潰し、絞った果汁を、元の青梅1kgから20gほどになるまで煮詰めたものです。非常に酸味が強く、クエン酸・リンゴ酸・コハク酸などの有機酸が豊富。疲労回復や血流改善、下痢・便秘、免疫細胞の活性化、静菌作用、食中毒予防・インフルエンザの予防、抗酸化作用など、効能を挙げればキリがありません。夏バテに対しても、クエン酸の作用が体内で生じる疲労物質の乳酸を分解し、基礎代謝を活性化することから、疲労からの早期回復が見込めます。梅肉エキスが知られるようになったのは、平成11年に特有の成分ムメフラールが発見されてから。ムメフラールは梅肉エキスの製造過程で生成されるもので、生梅や梅干には含まれません。テレビの健康番組で「血液サラサラ」が話題となったこともあって、一躍有名になりました。一時はドラッグストアや自然食品店の棚から梅肉エキスがなくなるほどでした。
ところで最近、某メーカーの梅肉エキスから、世界アンチ・ドーピング機構(WADA)が定める禁止物質「ボルジオン」(たんぱく同化ステロイド)が検出されるということがありました。これは自然界にも普通に存在するもので、含有量も極微量。実際にドーピングで効果を上げるほど摂取するには1日当たり2トン以上の梅肉エキスを飲まないといけない計算で、現実的ではありません。しかし、ドーピング検査の焦点は効果の有無ではなく、あくまでも「陽性反応の有無」。当該メーカーも「梅肉エキス中のボルジオンからの副作用、健康被害は存在しないと考えています」としつつ、「アスリート(競技者)の方は、ご使用を中止してください」とのコメントを発表しました。ドーピング検査の検体である尿から検出されれば引っかかってしまう可能性があるので、注意が必要だということです。
平成16年に国際オリンピック委員会(IOC)が実施した調査では、欧米で販売されているサプリメントのうち14.8%にたんぱく同化ホルモンが含まれていることが判明しています。こうしたことから、世界アンチ・ドーピング機構や国際陸上競技連盟(IAAF)は、 サプリメントの安易な使用はしないようにという声明を出しています。また、日本陸上競技連盟(JAAF)からは、「日ごろからバランスのよい食事を摂取するように心がけ、 良好な食習慣を身につけてください。そうすれば、必要な栄養素は食事から安全に摂取することができるのです」との見解を出しています。
治療者としてトップ・アスリートの治療・サポートにも関わることを考えるのであれば、日頃からこうした情報にも気を配っておきたいところです。
【連載執筆者】
西下圭一(にしした・けいいち)
圭鍼灸院(兵庫県明石市)院長
鍼灸師
半世紀以上マクロビオティックの普及を続ける正食協会で自然医術講座の講師を務める。
連載『アロマテラピーをたずねて』99 ホップの安眠枕でリラックス
連載『アロマテラピーをたずねて』99 ホップの安眠枕でリラックス
2018.08.25
今夏のような暑さが続くと、よく冷えたビールで乾杯するのも楽しみの一つですが、その原料がホップだということをご存じでしょうか。ホップはアサ科のつる性多年草で雌雄異株、和名はセイヨウカラハナソウといいます。原料に使われるのは受粉前の雌株の毬花で、フワフワした松かさのような形の果実です。その中に黄金色の花粉のような「ルプリン」があり、苦味の元となる樹脂や香りの成分の精油が含まれています。泡にも必要な成分で、抗菌力もあるそうです。また、ホップは安眠作用があることが昔から知られ、安眠枕にも利用されていました。
北海道にある某ビール会社のホップ畑を見学させてもらったことがあります。ホップは、3mくらいの電線のようなところに伝わせて、さながら緑のカーテンのように仕立てて栽培していました。薄緑の果実を収穫すると、新鮮なうちにベルトコンベアーでコロコロさせながら葉や茎を取り除き、すぐに冷凍するとのことでした。見学の後でホップを送ってもらい、イギリスのハーブの本を参考にして早速ホップの安眠枕を試作。はがきサイズの布を袋状にして綿とともにホップを詰め、同じく同じく安眠作用のあるラベンダーも入れました。今も私のアカデミーの教室の棚に飾ってありますが、やさしい香りで気分が落ち着きますね。
高齢者やがん患者の中には入眠障害、途中覚醒、長時間覚醒、早朝覚醒など、不眠症の人が多いと聞きます。クスリのような効き目ではありませんが、ハーブや精油でも改善が期待できます。海外の学会でも、平成28年に、芳香器を使用した芳香浴の有効性が報告されています。鎮静作用のある香りの枕が枕元にあったら、それだけで安心して眠れるような気がしますね。他にも、乳がん患者の睡眠時のホットフラッシュ症状にペパーミントとネロリの芳香蒸留水をスプレーした結果、水のスプレーに比べて41%が軽減したとの発表もあります。医療に介入するというより、患者に寄り添うことを考えれば、香りも適切なアプローチとして役立つことが多いと思います。
【連載執筆者】
山本淑子(やまもと・よしこ)
山本淑子ハーブ・アロマアカデミー校長
AEAJ認定アロマテラピープロフェッショナル
『ちょっと、おじゃまします』 ~日本全体を健康に~ 大阪府岸和田市<たにぐち鍼灸整骨院>
『ちょっと、おじゃまします』 ~日本全体を健康に~ 大阪府岸和田市<たにぐち鍼灸整骨院>
2018.08.25
「今の仕事を続けていても、日本全体を変えることはできないと思ったんです」。治療家になった理由をそう語る、谷口範尚先生。中学時代に腰を痛めて通院した整骨院が投球フォームの指導で有名で、メジャーリーガーも来院するほど。その事実に衝撃を受け、運動に携わる職業を志したと言います。ただ、高校卒業後は「自分の可能性を狭めたくない」と大学に進学。在学中、「小学生の姿勢やバランス感覚の悪化、ひいては将来的な寝たきりの発生は、幼児期に原因がある」と考えるようになり、幼稚園の体育の先生になります……が、冒頭の理由でアプローチを変えることにし、数カ月で退職。翌年に柔整専門学校に入学するまで、「一流の仕事を知りたい」とNHKの関連会社に入社し、ドラマ制作に関わったとか。石原さとみさんら芸能人の、華やかな姿の影で地道な準備や努力を重ねる姿に学んだとのこと。
免許取得後、病院などでの勤務を経て開業。祖父の工場があった広い立地を生かし「医学的、科学的根拠を持ったトレーニングができるフィットネススタジオ」を併設。「身体の歪みを放置したトレーニングは体を壊す」が持論で、患者さんには運動指導を「川下」、その前に行う治療を「川上」と説明します。ゴルフやボクシングのプロ選手も通院するほか、来院していた中学生の野球部員が地方の強豪校に「野球留学」することも多く、近年は毎年甲子園球児に教え子がいるとか。
ただ、「良い治療や指導をしても、一治療院の立場では全体を変えられないのは同じこと」。健康寿命を伸ばすには幼児期の姿勢改善だと、自治体へのプレゼンを始めます。現場レベルでは好感触を得てもトップの理解が得られない日々が続きましたが、ついに泉大津市の南出賢一市長という理解者を得て、今年「あしゆびプロジェクト」の開始にこぎ着けました。分かりやすい足指の運動を第一歩として、今後も長いスパンで市民の健康作りを進めていく予定。企業や大学の協力を得て健康寿命の調査も予定しており、「泉大津市から日本全体を変えていきます」と力強く言い切りました。
谷口範尚先生 平成15年、大阪体育大学卒業。平成19年、大阪凰林医療学院卒業。同年柔道整復師免許取得。平成24年、国際東洋医療学院卒業。同年はり師、きゅう師免許取得。37歳。
今日の一冊 イップス 魔病を乗り越えたアスリートたち
今日の一冊 イップス 魔病を乗り越えたアスリートたち
2018.08.25
イップス―魔病を乗り越えたアスリートたち
澤宮 優 著
角川書店 1,620円
「捕手にボールが届かない」元日本ハム投手・岩本勉。「パターする腕に電気が走った」プロゴルファー・横田真一。「一塁への送球がスライドしてしまう」元ヤクルト内野手・土橋勝征――。集中していなくてはいけない局面で身体が震えたり固まったりしてしまう「イップス」。その原因は科学的に解明されておらず、心理面に起因するとも技術面に起因するとも言われている。イップスを克服した5人のアスリートと、それを支えた指導者や医師らに取材、いかにして彼らがイップスを乗り越えたのかを探る。
編集後記
編集後記
2018.08.25
▽今年の夏は、「暑いなんてものじゃない」ですね。新聞には「酷暑」の文字が躍り、テレビの天気予報では新たに「暑さ指数」なんてものが飛び出し、連日注意を促されますし、熱中症で搬送された人も調査開始後、過去最高とか。しかもこの猛暑、世界的なものらしく、米カリフォルニア州のデスバレーでは52.8℃。「殺人暑」と言っても言い過ぎではないですよね。先日の盆休みには、暑気払いがてら、息子と近くの大型プールに出かけました。みんな考えることは同じで、黒山の人だかり。しかも、入場チケットを買う販売機にも長蛇の列が。結局、30分近く屋根のないアスファルトの上で待たされるはめに。プールに入る前に熱中症になりそうで、こちらの列にも「監視員」の必要性を猛烈に感じました。(和)
第2回あはき・柔整等の広告検討会 業界側が広告事項の追加等を提案
第2回あはき・柔整等の広告検討会 業界側が広告事項の追加等を提案
2018.08.10
―保険適用・料金ほか、整骨院表記も可能に―
7月18日、2回目となる『あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師及び柔道整復師等の広告に関する検討会』が都内で開かれた。年度内のガイドライン作成に向け、今回はあはき・柔整業界側の広告規制見直しに関する意見・要望等が示された上で、議論が交わされた。
意見・要望等を述べたのは、全日本鍼灸マッサージ師会(全鍼師会)、日本鍼灸師会(日鍼会)、日本盲人会連合(日盲連)、日本柔道整復師会(日整)の4団体。いずれの団体も (さらに…)
『医療は国民のために』253 「ICD-11」に東洋医学や鍼などの伝統医学に関するコードが新設
『医療は国民のために』253 「ICD-11」に東洋医学や鍼などの伝統医学に関するコードが新設
2018.08.10
今般、国際疾病分類第11回改訂版(ICD-11)が公表された。ICDとは、「疾病及び関連保健問題の国際統計分類(International Statistical Classification of Diseases and Related Health Problems)」のことで、通常は略称で「国際疾病分類」と呼ばれている。異なる国や地域から、異なる時点で集計された死亡や疾病のデータの体系的な記録、分析、解釈及び比較を行うため、世界保健機関憲章に基づき、世界保健機関(WHO)が作成した分類だ。
実は、前職の厚労省保険局医療課に在籍していた時にはなじみが深く何度も目にしていたが、柔整・あはきという東洋医療の分野に身を置いてからは、特にご縁もなかったので忘れてしまっていた。それが今回の約30年ぶりの改訂で、「ICD-11の第26章」として、伝統医学の病態(traditional medicine)が新たな章として追加されたというのだ。また、着目したいのは、五臓の基本概念や陰証、陽証などの分類、そして外傷や傷害に対する治療目的の「鍼」が、医療行為として章立てて分類されたのである。ICD-11に関しては、心的外傷後ストレス症(PTSD)の簡略化やゲーム症(Gaming disorder)の追加、性別不合(gender incongruence)などが大きな注目を集めているが、私としては東洋医学や伝統医学に関するコードの新設を大いに歓迎したい。
というのも、依然として鍼灸施術が国民全体に広まっていない現状にある。また、鍼灸師の社会的地位があまりにも低く、収入面も極めて不安定な状況だ。一方で、臨床の第一線で活躍されている鍼灸師の中からは、「何がICD-11だ。このような稚拙な記載で満足しているようではまだまだ甘すぎる!」との否定的意見も聞かれるかもしれないが、それでも私は価値ある第一歩であると評価したい。厚労省など国内の行政部局に鍼灸担当セクションが一つもない中での「成果」なのだから、全ては全日本鍼灸学会関係者の尽力で実現したと理解している。
今後は、伝統医学に関する章立てがされるほどなのだから、はり師が医療機関内で堂々と治療目的の鍼施術ができるようにすべきである。そうなれば、雇用確保の観点から、まさに画期的なことだ。医療行為であれば医療機関内で行われるのは当然のことであり、鍼灸師も独立開業権に固執する必要がなくなるのではあるまいか。
私は鍼灸治療を保険で受けられる運動に取り組んでいるが、まずは治療としての鍼施術を保険医療機関で実施できるよう保険の適用を大幅に変革したい。既存の鍼灸院を擁護する立場も理解できるが、それでも日本鍼灸師会や全日本鍼灸マッサージ師会は会員からの非難を恐れず大所から議論をしてほしい。その一つの契機として、今回の改訂版を捉えてもらいたいと願う。
【連載執筆者】
上田孝之(うえだ・たかゆき)
全国柔整鍼灸協同組合専務理事、日本保健鍼灸マッサージ柔整協同組合連合会理事長
柔整・あはき業界に転身する前は、厚生労働省で保険局医療課療養専門官や東海北陸厚生局上席社会保険監査指導官等を歴任。柔整師免許保有者であり、施術者団体幹部として行政や保険者と交渉に当たっている。
全柔協ら、国交省と面談 自賠責の不正請求を防ぐ提案
全柔協ら、国交省と面談 自賠責の不正請求を防ぐ提案
2018.08.10
―自賠責にも審査会設置を―
自賠責保険の柔整施術費に係る取り扱いが厳しさを増す中、公益社団法人全国柔整鍼灸協会(岸野雅方理事長、全柔協)の幹部らが7月18日、国土交通省を訪れ、自賠責担当者と面談を行った。
全柔協によると、近年の自賠責における柔整施術関連の諸問題について意見交換を行う中で、不正請求を未然に防ぐために「自賠責保険における審査会の設置」を要請したという。長い歴史の中で安定的な制度運営を行ってきた点を強調し、消極的な姿勢を見せる国交省側に対し、全柔協側は、「まず、業界側で自主的に審査会を立ち上げることも想定している。自賠責で一番の問題と言われている施術日数のごまかしは確実に減ると考えており、その実効性を第三者の目から見て、制度に取り入れるか否かを検討してほしい」と提案した。
全柔協側は併せて、「請求において医師の同意書を必須にしようと損害保険会社や医師会が動いている」「接骨院に通院している患者には医師は後遺障害証明書を書かない、と患者に伝えている損保会社もある」といった情報提供も行い、指導するよう求めた。
労災保険のあはき施術 8月の施術から料金改定
労災保険のあはき施術 8月の施術から料金改定
2018.08.10
―往療加算、包括化で2段階 療養費の改定と同様に―
労災保険のマッサージ及びはり・きゅう施術に係る施術料金等が、8月以降の施術分から変更される。厚労省労働基準局長が平成30年7月27日付で文書を発出。往療距離加算については、療養費と同様に、包括化されて2段階となった。
連載『不妊鍼灸は一日にして成らず』5 テキサス狙撃兵の誤謬
連載『不妊鍼灸は一日にして成らず』5 テキサス狙撃兵の誤謬
2018.08.10
誤謬(ごびゅう)とは、「論証の過程に論理的または形式的な明らかな瑕疵があり、その論証が全体として妥当ではないこと」です。
表題は、大量のデータから都合の良いデータのみを抽出し焦点を当てることによって生じる誤謬のこと。納屋の壁に何発も発砲した後で最も弾痕が集中したところに的を描き、「自分は狙撃の名手だ」と主張するテキサス人がいたというジョークに由来しています。私たちは、この狙撃兵のようなことをしていないでしょうか。鍼灸院に来院された方が妊娠されたとして、それが偶然なのか鍼灸の効果なのかを証明するのはたやすいことではありません。
「妊娠数」という表現をあちこちで見かけますが、これこそまさに「都合の良いデータだけを公表している」わけです。しかし、実際に他に良い目安が無いので、生殖医療の世界では汎用されてしまっている現状があります。
ある時、親御さんに連れられて7歳の男の子が来院しました。耳鼻科で突発性難聴と診断されたとのこと。突発性難聴の回復は時間との戦いです。早く治療を開始しないと治るものも治らなかったりするので、親御さんも必死でした。
ところが、当院で聴力を検査すると「異常無し」。前日の耳鼻科での検査では明らかに低下していたのに、です。そこで治療は行わず、「明日もう一度耳鼻科で検査してもらい、異常があればすぐに治療を始めましょう」ということになりました。翌日お母様から電話があったのですが、やはり治っていたとのことでした。ほとんどの鍼灸院には、聴力検査機器など置いていないでしょう。しかし治療の精度を上げるためには誤謬は避けなくてはならないので、当院では数年前から必要に応じて聴力検査を行っています。あの時もし検査をせずにそのまま治療をしていたら、翌日の回復をもって「エセ名鍼灸師」の誕生です。
同様の事象が大量に起こるのが、逆子(骨盤位)治療です。多数来院されていますが、その約2割(現時点で427人中81人)が初診時には逆子ではありませんでした。産婦人科で逆子と言われて鍼灸院に来るまでに2割の人が自然に治るとしたら、放置した場合と鍼灸を行った場合とで比較して、どれほどの有意差を証明できるでしょうか。
それを考える以前に、少なくとも私は、逆子治療にはエコーが必須だと思います。エコーを備えていなければ約20%の患者さんが目的にふさわしくない治療を受け、そして「鍼灸のおかげで治った」と誤信されるのです。もしかしたら、頭位で治療を受けて逆子になることもあるかもしれません。
また、エコーは逆子の妊婦さんの就寝時の臥位の方向を決めるのにも必須です。逆向きに寝ると、治らない方向に動くからです。当院では、逆子をエコーで診る前に必ず触診で確認し、延べ千数百回は触診とエコー画像の答え合わせをしてきました。その結果、上腹部にある大きな塊が骨盤なのか頭なのか、丸い塊のほんのわずかな凹凸で判断できることが分かりましたが、胎向を含めて判別不可能なケースが極めて多く、「触診だけでの判断は絶対にすべきではない」という結論に達しました。
ところで、東京・渋谷のアキュラ鍼灸院では「鍼灸師がエコーを使用するのは認められない」と保健所から指導が入ったことがあります。しかし、院長でJISRAM理事の徐大兼先生が「逆子の治療が認められているのに逆子かどうかを診ることがどうしてダメなのか」と反論されたところ、認められるようになりました。当院でも保健所が認めています。このように私たちJISRAMは鍼灸師の権利を守り、更には色々な産婦人科と密に連絡を取るなどして信頼と連携の拡大にも草の根で取り組んでいるのです。
【連載執筆者】
中村一徳(なかむら・かずのり)
京都なかむら第二針療所、滋賀栗東鍼灸整骨院・鍼灸部門総院長
一般社団法人JISRAM(日本生殖鍼灸標準化機関)代表理事
鍼灸師
法学部と鍼灸科の同時在籍で鍼灸師に。生殖鍼灸の臨床研究で有意差を証明。香川厚仁病院生殖医療部門鍼灸ルーム長。鍼灸SL研究会所属。
日本AT学会の第7回学術大会 スポーツ中の心臓突然死、どこでも
日本AT学会の第7回学術大会 スポーツ中の心臓突然死、どこでも
2018.08.10
一般社団法人日本アスレティックトレーニング学会(広瀬統一代表理事)の第7回学術大会が7月7日、8日、横浜市内で開催された。同学会は、学問領域としてのアスレティックトレーニング学の確立、アスレティックトレーナーの社会的認知の向上等を目的に平成24年に設立。学術大会には2日間で約380人が集まった。
教育講演1『スポーツ現場における心臓突然死ゼロを目指して』では、医師で慶應義塾大学スポーツ医学研究センター専任講師の真鍋知宏氏が登壇した。発症後24時間以内に死亡する「突然死」は国内で年間7万人に上り、その6割以上は「心臓性突然死」だと説明。スポーツ中の事例では、2011年夏にサッカー元日本代表選手、2012年ロンドン五輪前のノルウェー水泳選手がともに急性心筋梗塞で帰らぬ人となり、社会的に話題に上ったが、その原因・発生頻度を含む統計データは乏しく、詳細な検討があまり行われていないと指摘した。その中で真鍋氏自身が関わった近年の調査に触れ、2011年4月から2018年3月までの461のマラソン大会(総参加数300万人以上)において、57例の心肺停止例があったとし、その発生率は「10万人あたり1.69人」だったと報告。また、心肺停止と走行距離・時間との間に相関はみられず、「どの地点でも心肺停止は起こり得る」と強調した。さらに、全競技を調査対象に、日本臨床スポーツ医学会が2016年より実施している『J-SPORTSCAR study』にも言及し、現時点で心臓超音波検査などのメディカルチェックが予防に有用だと示されていると話した。
高校運動部でトレーナー介入増
国際武道大学の西山侑汰氏による一般演題『高校運動部活動におけるトレーナー介入実態の経年的推移』では、ある大学の2011年度から2018年度までの新入生(3,937名)に対し、「高校の部活動でトレーナーがいたか」と質問したところ、2015年度以降はトレーナー介入率が45~52%で、増加傾向にあると報告された。サッカー・陸上・野球部での介入が目立ち、介入内容は「治療(マッサージなど)」の回答が多かったとした。
このほか、杉山ちなみ氏(株式会社リボンプロジェクト)の大会長講演『アスレティックトレーニング学のアートを探る』などが行われた。
第1回健康回復フォーラム『かがやき』
第1回健康回復フォーラム『かがやき』
2018.08.10
―パラアスリートらが登壇 障害の特性知って―
一般社団法人日本健康回復協会(藤本斉理事長、JHRA)の「第1回健康回復フォーラム かがやき」が7月8日、東京都内で開催された。
衆院議員で2020年東京オリンピック・パラリンピック大会推進議員連盟事務局長の馳浩氏が基調講演を行った。健常者、障害者を問わずスポーツを楽しむことで理解を深め合う「ユニファイドスポーツ」を紹介。鍼灸マッサージ師や柔整師はその場を支える側に立ってほしいと訴えた。また、2年前に痛風を患った際には「スポーツに関わる人間がこれではいけない」と反省したと説明。健康になった今も週5回、1日1時間程度の運動を行っていると述べ、治療家もスポーツに携わるのであれば、そのぐらいの意識を持つべきだと呼びかけた。
パネルディスカッション『障害者アスリートの現状と代替医療との接点―東京パラリンピックに向けて、代替医療が出来る貢献とは?』は藤野好正氏(ふじの整骨院院長、リオパラリンピック視覚障害者柔道帯同トレーナー)、門田正久氏(理学療法士、日本障がい者スポーツ協会強化委員)、廣瀬誠氏(同パラリンピック視覚障害者柔道銀メダリスト)、三浦浩氏(同パラリンピックパワーリフティング5位入賞)が登壇した。藤野氏は、視覚障害者と一口に言っても、夜は一人では全く行動できない人、逆に昼間の野外は明る過ぎてつらい人というように様々であると解説。一人ひとりの特性を知った上で接していかなければならないと話した。門田氏は、日本障がい者スポーツ協会の認定資格「障がい者スポーツトレーナー」は毎年定員割れが危惧されるほど応募が少なかったが、東京パラリンピックの開催が決定した途端に激増したと指摘。中には「ハクをつける」ためだけに資格を取ろうとしている者もいるとして、本当にスポーツが好きで支援をしたいという志のある人物を求めると呼びかけた。廣瀬氏は、視覚障害者柔道の練習環境は年々改善されてきているが、一方でサポートしてくれる人たちの負担が大きくなっていると指摘。自分は競技を引退したが、スポーツで培った「人間力」を社会に還元すべく、今後は選手の強化などに尽力したいと語った。三浦氏は、自分の場合、競技直前に鍼などで筋を緩められるのは困ると解説。トレーナーは一方的に自分の意見を押し付けないでほしいと述べ、競技特性と障害の特性を併せて知ってほしいと訴えた。
ほかに、鍼灸・柔整専門学校の生徒を対象に、接骨院や鍼灸院を運営する企業らによる就職説明会「就職フェスタ」が行われた。
商品紹介 いっしん『ディスポ鍼 I’SSHIN』
商品紹介 いっしん『ディスポ鍼 I’SSHIN』
2018.08.10
―鋭い鍼尖と柔らかい鍼管―
株式会社いっしん(神戸市)の『ディスポ鍼 I’SSHIN』。
鋭い鍼尖と操作しやすい「すべり・硬さ・たわみ」の鍼。押手が安定する肉厚構造と管角の「r」状の丸みによる肌への当たりの柔らかさが特徴の鍼管。「治療家のこだわりを形にした」と同社。サイズごとに成形された素材を機械で研磨して均一な鍼尖を実現、三度にわたる超音波洗浄など全工程で安心・安全も追求した。
販売に関する問合せは同社(078-251-8111)へ。
連載『織田聡の日本型統合医療“考”』97 難病指定医の指定に係る研修で衝撃!
連載『織田聡の日本型統合医療“考”』97 難病指定医の指定に係る研修で衝撃!
2018.08.10
東京都の難病指定医の指定に係る研修を受けてきました。難病医療費助成の制度のほか、指定難病として、潰瘍性大腸炎と網膜色素変性症について学びました。
難病の患者に対する医療等に関する法律(いわゆる難病法)が施行されたのは平成27年1月1日で、まだ3年ほどしか経ちません。昭和47年に難病対策要綱が策定され、予算事業として医療費助成が行われてきたものが、消費税を財源とする医療費助成制度として構築されたのです。旧事業では56疾患が対象とされていましたが、難病法の施行当初に110疾患、その後段階的に指定が進み、現在では331疾患に拡大されています。3年で6倍です!
この制度で最低限押さえるべき事項をまとめてみます。まず、難病と指定難病について。「難病」とは、原因が明らかでなく、治療方法が確立していない稀な疾患で、長期の療養を必要とするものを指します。「指定難病」とは、難病の中でも患者数が人口の0.1%に満たないもので、客観的な診断基準が確立しているものを指します。
次に指定医と指定医療機関について。「指定医」とは、難病を診断して「臨床調査個人票」を書くことができる医師です。初回から臨床調査個人票を書ける難病指定医と、更新時のみ書ける協力難病指定医に分けられます。難病指定医に臨床調査個人票を書いてもらった患者さんは、都道府県へ申請をします。都道府県の審査が終わると医療受給者証が交付され、「指定難病患者」と認定されます。指定難病患者の方が医療費助成を受けることができるのは、「指定医療機関」を受診した場合に限ります。たとえ難病指定医がいる医療機関でも、指定医療機関に指定されていなければ、受診しても助成を受けることができません。今回の研修を受けたことで私は難病指定医に、私のクリニックも指定医療機関となるはずです。
ところで、今回の講義中に網膜色素変性症の解説の中で、「見えなくなった患者さんは眼科に行かなくなる」という言葉を聞き、衝撃を受けました。対策には「眼科医のみならず、あらゆる職種に協力を仰ぐ必要がある」ようで、例えば、眼鏡店のロービジョンケアへのさらなる介入や、特殊支援学校・視覚障害者団体との情報共有にスマートサイトを活用するというものでした。視覚障害者が近くにいるあはき業界こそ、ロービジョンケアに協力できるのではないかと感じます。
【連載執筆者】
織田 聡(おだ・さとし)
日本統合医療支援センター代表理事、一般社団法人健康情報連携機構代表理事
医師・薬剤師・医学博士
富山医科薬科大学医学部・薬学部を卒業後、富山県立中央病院などで研修。アメリカ・アリゾナ大学統合医療フェローシッププログラムの修了者であり、中和鍼灸専門学校にも在籍(中退)していた。「日本型統合医療」を提唱し、西洋医学と種々の補完医療との連携構築を目指して活動中。