連載『あはき師・絵本作家 かしはらたまみ やわらか東洋医学』71 素問・三十三『評熱論』
2024.10.25
この篇は、熱の病の中でも汗をかいても治らない難しい症例です。
王様
「労風というのは、どんな病なのだ?」
岐伯
「労とは、疲れすぎて、気が消耗して弱っていることです。労風は、病巣が肺の下にあるので、病人は激しく咳き込みます。息がしにくいので肩を上げた姿勢になり、目はぼんやりと上を向いています。鼻水のような粘りのある唾(痰)が出て、風が体に当たるのをいやがり、ブルブル震えて寒がります」
王様
「治すにはどうするのだ?」
岐伯
「まずはこわばった体が寝られる姿勢にしてやります。精気のある人は三日目に、中年の人は五日目に、精気の無い人は七日目に、咳をしたときに青黄色の膿のような鼻水が鼻や口から出てきます。武器の石弓の弾に用いる石ぐらいの大きさがあります。これが出なければ、肺が傷れるので、死にます」
【連載執筆者】
かしはらたまみ
あん摩マッサージ指圧師・鍼灸師
自身の子どもに東洋医学の概念を伝えるため「絵本」という表現を選択。色粘土を使った独自の手法で絵を描いている。これまでに『陰陽五行 まわるき』『おなかがいたくなるまえに』を自費出版し、ブログで『やわらか黄帝内経』も連載。絵本の購入はネット通販サイト・BASE「やわらか東洋医学」から。