連載『不妊鍼灸は一日にして成らず』68 性淘汰・実効性比・婚姻贈呈

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投稿日:2023.12.08

あはき連載

 種の保存のためにはメスの数が大切であって、オスの数はそれほど問題ではないと、前回の最後に書きました。私は元来生物学が大好きで、ヒトの生殖はその延長線上として勉強しています。さて生物界ではハーレムを形成し、少数のオスが多数のメスと生殖することがよく知られています。あるアザラシなどは約8割のオスは一度も性交渉なく死んでいく一方で、少数のオスは多数のメスと交渉を持ち、中には10頭以上のメスに数十頭の子を産ませるオスもいます。

 ところで法規制やモラルがない古代社会では、私たちの生殖はどうだったでしょう。「一腹子数(ひとはらこすう)」という言葉をご存知でしょうか。卵生生物では生涯の産卵数を意味し、胎生生物では生涯の出産数を意味します。ヒトが生殖年齢に達して、避妊や中絶をせず性交渉を反復した場合の一腹子数は平均12だそうです。そうすると例えば15歳から45歳までの30年間に妊娠・出産・授乳を12回繰り返すとおおよそ20年間、つまり生殖期間の3分の2は、新たな生殖活動を行えない、つまり子作りをできる女性は見かけの3分の1しかいないことになります。かたや男性の生殖期間を15歳から60歳までと仮定すると、生殖可能な性別比は男性4~5に対して女性は1程度となります。これを「実効性比」といいます。

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