オン資導入のYouTube説明会、厚労省が今週末に
2024.11.19
投稿日:2023.01.17
日本鍼灸史学会「第30回学術大会」が昨年11月26日、27日に京都教育文化センター(京都府京都市)とオンラインのハイブリッドで開催された。
真柳誠氏(茨城大学名誉教授)の特別講演「『黄帝医籍』について」では、黄帝医籍とは書名に黄帝を冠する中国医学古典籍で、漢代の『素問』『九巻(針経・霊枢)』『難経』、初唐までに編纂された『明堂』『甲乙経』『太素』を総称した氏自身の造語であると説明。各文献の関係性、他の文献に登場する際の内容の相違、誤字や文章自体の疑問など、典籍の内容を研究する真柳氏の専門分野、書誌学では解決できない問題があると話した。素問は一世紀初頭に編纂され全元起注本、王冰次注本を経て亡失。その後、注本に新校正注などを加えたものが度々刊行されたが、これらの多くは内容の相違が著しく解釈も困難なものである。そのような中でも、素問の字句をよく残していたのが1969年発刊の北宋の煕寧本であったとし、その内容をよく引き継いでいるものとして、明の顧従徳本を挙げた。
時代を経て内容が変わってしまう問題にも言及し、誤写や版木の亡失などのほか、政府の手による大きな改変があると話した。時の政権が良い教科書を作るなどの名目で都合の良い内容に改変する場合や、その時の判断で内容の切り捨てや要約、書き換えが加えられていると推察。「元の本に辿りつく手がかりは、文や文字の誤りや修正の跡に気付くことから始まる」と述べ、修正の経緯をさかのぼることで出版順や参照元が明らかにできると語った。
一般講演は「日本の鍼灸」3部、「中国の鍼灸」3部、「書誌・版本」1部の7部構成で、中川俊之氏の講演「本間祥白『鍼灸病證学』の価値について」、澤谷直子氏の講演「『脈経』巻第五の扁鵲脈法について第3報」、水溜亮一氏の講演「『察病指南』五山版と古活字版との比較」など22人の演者が研究成果を発表。質疑応答が交わされた。
次回「第31回学術大会」は同会場にて令和5年11月25日、26日に開催予定。
この記事をシェアする
前の記事
No.6(1/12)次の記事
編集後記あわせて読みたい