連載『先人に学ぶ柔道整復』四十三 天神真楊流柔術(後編)古くは東洋医学を用いて「当身」を説明

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投稿日:2024.12.04

柔道整復連載

 柔整師に縁深い天神真楊流柔術について、今回は「医学要素」を紹介したいと思います。

 天神真楊流柔術の伝書『柔術経絡人之巻』(鈴鹿家蔵)にみられるように、1841年の江戸後期頃になると、既に経絡を中心とした東洋医学を大いに援用していることが分かります。創始者・磯又右衛門はおそらく楊心流柔術と真之神道流柔術からの知識・技術に加え、経絡も勉強していたと推察されます。

 ただし、全ての医学知識を経絡に頼っていたわけではなく、同流柔術の特徴である当身(急所)に関して、東洋医学の用語を用いて説明をしているのです。例えば、当身「松風」は以下のように記されています。

 松風の殺は喉の当也。此経は気往来する所の道路也。人間上焦に咽喉の二つ左右に分れて二管有。一つは水穀の道路。其一也、息管と云物あり。一尺二寸九節ありて、肺の臓に系統して有物なり。此裏に十律備り人間の韻声は此肺より出る也。味は争いを好む。活は則大腸を摩回を致す。諸経の当、是を以可知。

 この松風では、東洋医学での用語として、「気」「上焦」「水穀」などを使用しています。

 また、下記の図で示した『天神真楊流当身』では、当身について説明している人体図において、

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