連載『先人に学ぶ柔道整復』二十七 星野良悦(中編)

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投稿日:2021.08.10

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大槻玄沢門人帳。門人として土岐柔克や冨川良元、中井亀輔らの氏名がみえる(クリックで拡大)

工匠・原田孝次による身幹儀完成と弟子たちの助力

 江戸時代中期に作られた世界初の原寸大骨格模型・身幹儀(星野木骨)――今回はその作製エピソードとどう世に広く知れ渡ったかを見ていきます。

 祖父・良知が営む星野診療所が、広島城下を南北に貫く本川の西岸にある堺町(西国街道から北へ1本目の道に面する)にあり、良悦は幼少の頃からその医術の手ほどきを受けていました。祖父の亡き後は、父・知近が診療する脇でその療法を習い覚え、明和8(1771)年の17歳の頃には父の代診をするまでになっていました。その年の4月、街道沿いの旅籠「千鳥屋」のおみよという名の赤子が顎関節脱臼で診療所に駆け込んできました。父・知近は対処するも「治せぬ」ということで、水夫町に無住心大射無限流の道場を開いていた田中道長という骨接ぎ名人に整復を依頼します。良悦がおみよを連れて行き、道長は見事に顎を整復。その際、良悦は整復の手並みを拝見したいと申し出たが、秘伝の活法ということで断られてしまう。おみよが治り安堵した一方で、この時、医師としての敗北も悟ったようです。

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