連載『織田聡の日本型統合医療“考”』121 『カル・リプケン ワールドシリーズ』に帯同して
2019.08.25
8月上旬よりアメリカ・ミズーリ州ブランソンにて開催された『カル・リプケン ワールドシリーズ』(12歳以下の硬式野球国際大会)に参加した日本代表チーム「若武者NIPPON」をボランティアで支援してきました。
ブランソンは1960~80年代のアメリカ文化を軸とした様々なエンターテインメントがそろったファミリー向けの保養地として知られています。そんな街にある『Ballparks of America』には5つの小さな球場(通常の3分の2のサイズ)があり、全て人工芝の素晴らしいもの。電光掲示板や入退場の音楽などもあり、気分が盛り上がるような演出で、初めての子どもたちは驚き、慣れるまでに時間がかかったようです。さらに、審判はまるでメジャーリーグの審判であるかのようなごつい体。ところが、ピッチャーの反則投球をほとんど「ボーク」にしないといった判定の甘さで、これも子どもたちを惑わせたようです。
大会は、世界各地から参加している国の代表チーム(アメリカ以外)がリーグで戦い、その後トーナメントで優勝チームを決定し、さらにその後、アメリカの州代表チームの中で優勝したチームと戦うという流れです。日本代表は、さすがは3連覇している緻密で繊細なプレーでリーグ戦では圧倒し、リーグ1位で通過しました。しかし、準決勝で体格が全く違う南米のチームにパワー負けしてしまい、敗退してしまいました。結局、1位はメキシコ、2位はプエルトリコとなり、非常に残念でしたが、プエルトリコのエースは私より背が高いなど、とても12歳とは思えない体格の相手によく頑張ったと思います。そんな中、準決勝の試合に負けた直後に韓国代表の選手が、真っ先に日本選手の前に列をなして出迎えてくれたのが印象的でしたね。
若武者NIPPONは「昭和魂とサイエンス」を掲げており、今回、私が代表を務める健康情報連携機構の医師、歯科医師、薬剤師、鍼灸師、柔整師、管理栄養士が帯同し、科学的に子どもたちのケガ予防とパフォーマンスの維持を目的とした支援を行いました。アメリカではなかなか食べることのできない日本食を管理栄養士がホテルの厨房で調理し、提供しました(中には選手村まで運ぶ場合も)。また、試合前後には『ラクリス』(微弱電流を利用したあん摩・マッサージが可能となる手袋)を中心としたケアを行い、ストレッチやケガ予防のテーピング、鍼を使う場面も少しありました。選手や親御さんからの質問・疑問にも答え、選手のメンタルのケアまで、連日早朝から夜遅くまで充実した時間を全体として過ごしました。
大会中、どんな症状にどう対処したのかなど、次回に詳細を書きます。
【連載執筆者】
織田 聡(おだ・さとし)
日本統合医療支援センター代表理事、一般社団法人健康情報連携機構代表理事
医師・薬剤師・医学博士
富山医科薬科大学医学部・薬学部を卒業後、富山県立中央病院などで研修。アメリカ・アリゾナ大学統合医療フェローシッププログラムの修了者であり、中和鍼灸専門学校にも在籍(中退)していた。「日本型統合医療」を提唱し、西洋医学と種々の補完医療との連携構築を目指して活動中。