こころ鍼灸協会オープニングセミナー 心身をケアできる鍼灸師育成へ
2019.11.10
経絡治療や美容鍼、中医学など
一般社団法人こころ鍼灸協会(吉田小百合代表理事)のオープニングセミナーが9月22日、東京都内で開催された。同協会は「こころとからだの両側面からケアができる鍼灸師または医療関係者の育成、仕事支援、社会貢献」を目的に発足。今後の活動の一環として経絡治療や美容鍼、漢方などの様々な講座の開催を予定しており、同セミナーは講師陣の紹介を兼ねたものとなった。
日本伝統鍼灸学会理事で呉竹学園臨床教育研究センターマネージャーの船水隆広氏が『こころの病に鍼治療』をテーマに講演と実技を行った。精神と肉体は一体で分かつことができないという概念を表す「心身一如」は本来、「身」に重きを置いた「身心一如」であったと説明。鬱病などはまず、頭が痛い、だるい、眠れないといった身体症状が先に来るが、これらを改善することで鬱そのものの治療につながると述べ、鍼灸師の得意とするところだと説いた。患者の目を閉じさせた際にまつ毛が震えている、舌診で舌の震えが認められるといった場合は気血両虚、髪がパサついているのは津液不足、腎と深く関わる耳が硬くなっているのは相当な疲労がたまっているから、など診察のポイントを列挙。鬱病の人は胸鎖乳突筋が硬くなっていることが多く、頚部を緩めるのも有効だと話した。実技では、経脈に沿って気を流すため、?鍼を当てて、回して、手で触れる、を繰り返す「さざ波」、2本の?鍼で同時に2カ所を押す「双龍」といった独自のテクニックを披露。セイリン株式会社製のセラミック電気温灸器を?鍼のように用いる使用法も紹介した。
東京医療専門学校専任講師の松峰理真氏は、「Could you fill out this medical questionnaire?(この問診表に記入してくれませんか)」「Could you lie on your back?(仰向けになってもらえますか)」といった、臨床で使える英会話についてレクチャー。また実技では、眼の下のくまが青ければ?血、黒であれば気虚、茶色ならば陰虚、などの知識を交えつつ美容鍼を行った。
心療内科・ベスリクリニック理事長の田中伸明氏は鬱病などの精神疾患の薬物治療に代わるとされる最新の治療法、TMS(磁気治療)を紹介。TMSと鍼灸治療の効果の発生機序を図説して類似性を指摘した。
ほかに、飯田泰久氏(グローバル・ジェロントロジー・センター理事)による『南カリフォルニア大学ジェロントロジー学/美齢学』、針生信氏(株式会社針信代表)の『漢方薬から見る本当の中医学』が行われた。