Q&A『上田がお答えいたします』 これまでの「整骨院」は認めるがこれからの「整骨院」は認めない
2020.02.10
Q.
広告規制のガイドラインはいつまでたっても出ませんね。広告の検討会での議論のポイントだけでも教えてください。
A.
厚労省が事務局となって議論を進めてきた広告の検討会も8回目でほぼ問題点が出尽くした感があります。今後は早急にガイドラインのとりまとめに着手していくでしょう。私が着目しているのは以下の4点です。
まず、「『治療院』という表記を認めない」。私たち治療家は患者さんの疼痛を取り除き治癒に導く施術を提供しています。これは治療ですが、広告検討会では「治療」の表記を認めないといいます。だから「治療院」は広告できなくなります。
次に「『鍼灸整骨院』を認めない」。鍼灸と柔整は法律が異なり専用の施術室も異なるのだから、併記してはダメだというのです。
3点目は「『整骨院』も認めない」。厚労大臣告示によれば「ほねつぎ又は接骨」とあるのだから接骨院はよいが整骨院はいけないというのです。
そして、「ガイドライン発出後から適用して従前の届出済みの施術所には遡及しない」ということになっているのですが、そうなると将来長きにわたって整骨院と接骨院が混在し続けることになり、ダブルスタンダードができてしまいます。法令用語で「当分の間」とは実質的に永久を指すようにも思われますが、それなら全て認めるということでいいではありませんか。こんな表記にこだわって認めないなどと何の意味があるのでしょうか。患者さんが医師と施術者を間違えたり、治療院と医療機関を混同したりすることなどあるでしょうか。表記や広告の問題は全て、あはき・柔整が医業ではなく医業類似行為とされてしまったことが原因です。あはき法の規定の解釈どおり、あはき・柔整が医業の一部であると認識できれば、議論の問題点はおおむね解決できるのに、そうはなっていません。
広告のガイドラインは3月までに策定され、1年間の周知期間を設けて、令和3年度の実施となるようタイムスケジュールが組まれそうですが、詳細はまさにこれからというところです。
【連載執筆者】
上田孝之(うえだ・たかゆき)
全国柔整鍼灸協同組合専務理事、日本保健鍼灸マッサージ柔整協同組合連合会理事長
柔整・あはき業界に転身する前は、厚生労働省で保険局医療課療養専門官や東海北陸厚生局上席社会保険監査指導官等を歴任。柔整師免許保有者であり、施術者団体幹部として行政や保険者と交渉に当たっている。