全鍼、長嶺氏が新会長に
2024.06.10
伊藤前会長の逝去に伴い
公益社団法人全日本鍼灸マッサージ師会(全鍼師会)は5月26日の令和6年度定時総会において、会長代行だった長嶺芳文氏を新会長に選任した。伊藤久夫前会長が在任期間中の4月中旬に逝去したため、これを引き継ぐ形で就任した。 (さらに…)
全鍼、長嶺氏が新会長に
全鍼、長嶺氏が新会長に
2024.06.10
伊藤前会長の逝去に伴い
公益社団法人全日本鍼灸マッサージ師会(全鍼師会)は5月26日の令和6年度定時総会において、会長代行だった長嶺芳文氏を新会長に選任した。伊藤久夫前会長が在任期間中の4月中旬に逝去したため、これを引き継ぐ形で就任した。 (さらに…)
連載『不妊鍼灸は一日にして成らず』74 生殖鍼灸の夜は明けて3(真の育卵を)
連載『不妊鍼灸は一日にして成らず』74 生殖鍼灸の夜は明けて3(真の育卵を)
2024.06.10
第73回全日本鍼灸学会宮城大会が終わりました。古い付き合いの先生から、初めて知り合った先生まで、出不精で人見知りの私でも親交を深めるのは楽しいものです。
私が務めたランチョンセミナーは、受精卵の質向上のデータとその効果を再現するための基礎研究の解説、それを踏まえた「術者側の4つの要素」と「患者側の4つの要素」の説明、これら8つの要素を満たしてこそ育卵治療はその効果の再現とデータ化が可能になるというお話です。採卵成績が向上するのは決まった治療手順があればこその話です。
鍼灸師の経験を問わず、このプロトコルを厳密に守れば、同様の効果が出せるようになっています。これは個人の感覚に依存せずに、医科学的に確立した手法だからです。ここがもっとも大切なのです。ただ、私は採卵成績が施術介入から3、4カ月後に改善することはホームページなどには一切書きません。それは過去に、明生鍼灸院が中髎穴施鍼の有効性をデータ化した時に、その手法を学ばず「鍼灸が不妊に有効」という言葉だけが一人歩きしたので、それを警戒したのです。 (さらに…)
40ページ以上にわたる「あはき・柔整広告ガイドライン案」が公表
40ページ以上にわたる「あはき・柔整広告ガイドライン案」が公表
2024.06.10
5月20日に開かれた「第10回あはき師・柔整師等の広告に関する検討会」では、「整骨院」の名称使用の可否をめぐる議論が中心となったが、同会議では厚労省から「あはき・柔整広告ガイドラインに記載する内容(案)」が提示されている。広告規制の「趣旨」や「対象範囲」、「広告可能な事項」、「禁止される広告」、「相談・指導等の方法」、「インターネット上のウェブサイト等」、「無資格者の行為」の7項目が設けられ、40ページ以上もの多岐にわたって規制事項等が記されている。重要な点を抜粋しながら複数回に分けて掲載していく。
Ⅰ.広告規制の趣旨について
1 趣旨
あん摩業、マッサージ業、指圧業、はり業、きゅう業(以下「あはき」という。)若しくは柔道整復業(以下「柔整」という。)又はこれらの施術所に関する広告(以下「あはき・柔整に関する広告」という。)については、利用者保護の観点から、あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律(昭和22年法律第217号。以下「あはき師法」という。)、柔道整復師法(昭和45年法律第19号。以下「柔整師法」という。)、その他の規定により制限されてきたところであるが、今般、これらの規定の解釈及び運用を指針に定めることにより、利用者が適切な施術所及び出張による施術(以下「施術所等」という。)を選択するために、必要な情報が正確に提供され、その選択の支援と利用者の安全向上に資するとともに、広告の適正化の推進を図ることを目的とするものである。
また、社会保障審議会医療保険部会あん摩マッサージ指圧、はり・きゅう療養費検討専門委員会及び柔道整復療養費検討専門委員会における、あはき・柔整に関する不適切な広告を是正すべきとの意見や、消費者庁にあはき又は柔整の免許を有していない者等(あはき又は柔整等の免許を有しているが当該免許に係る業以外の行為を提供している者も含み、以下「無資格者」という。)による行為で発生した事故の情報が寄せられていることなどを踏まえ、あはき・柔整に関する広告だけでなく、無資格者による広告も含めた広告の在り方について、検討を行ったものである。 (さらに…)
『ちょっと、おじゃまします』 治せないと悩んだ時に、学びたい治療があったから今がある 大阪府東大阪市 <いわつ鍼灸治療院 善根寺>
『ちょっと、おじゃまします』 治せないと悩んだ時に、学びたい治療があったから今がある 大阪府東大阪市 <いわつ鍼灸治療院 善根寺>
2024.06.10
開業したての鍼灸院に加え、大阪府鍼灸師会の理事と青年委員長と忙しい毎日を送っている岩津優希先生。鍼灸師になって以来、「治したい」という思いのままに、驚くほどのフットワークで様々な活動をしています。
高校の頃は体育科で3年間サッカーに打ち込んだという岩津先生。好奇心で決めた鍼灸の専門学校進学でしたが、いざ学ぶとその奥深さに夢中になったそう。卒業後は大手の鍼灸院に就職しました。ですが、長く通院しても治らない患者さんがいることに思い悩んでしまいます。
「治療を深く学びたい」という気持ちが高まり浮かんだのが、専門学校で出会った清藤直人先生(清藤鍼灸院)でした。学生のころは、先生が教えていたキイコスタイル(長野潔氏が確立し松本岐子氏が発展させた)の技術に興味は持ったものの、難しすぎて無理だと諦める気持ちがあり、授業に身が入らなかったのだとか。ほどなく清藤先生の治療院で働くようになり、並行して整形外科でも研修を受け治療や体の組織のことを学びました。 (さらに…)
連載『織田聡の日本型統合医療“考”』236 紙の即応性と電子の拡張性
連載『織田聡の日本型統合医療“考”』236 紙の即応性と電子の拡張性
2024.06.10
娘が紙の手帳を買って欲しいというので、職場近くの本屋に向かったのですが、6月という中途半端な時期ということもあり種類も少なく、売り場を探すだけでも難儀しました。
紙の手帳の良さと電子手帳の良さを比較して考えるのは、世の中にPalmという電子手帳が登場してから常に問題でした。いやPB-100というカシオのポケコンが発売されてからかもしれません。もっと古くを考えると、TVドラマの西部警察で車にコンピューターが乗せられているのに憧れて、データベースを自作した時(これは全く手帳ではありませんが)からかも。
手書きは、これだけデバイスのスペックが上がった現在であっても、電子より書き込む(=入力)スピードが早いことが多いです。それでも私は研修医の頃、SHARPのZaurusとかPalm社のTreoというデバイスを輸入して使っていました。医薬品や検査についてなど医学情報を電子化して白衣のポケットに常に携帯して、知りたいと思ったら2秒で検索が終わるというのを目指していました。通信速度がそれほど速くない時代でしたからもちろんローカルに辞書を保存していました。 (さらに…)
医歯薬出版から発刊 東洋医学ではじめる出産準備教室―妊産婦と赤ちゃんのための身体づくり・セルフケア
医歯薬出版から発刊 東洋医学ではじめる出産準備教室―妊産婦と赤ちゃんのための身体づくり・セルフケア
2024.06.10
医歯薬出版株式会社より『東洋医学ではじめる出産準備教室 第2版 妊産婦と赤ちゃんのための身体づくり・セルフケア』が出版されている。著者は女性の総合的なケアや産婦人科領域での鍼灸の研究に取り組む辻内敬子氏(せりえ鍼灸室副院長)、編集協力は豊倉節子氏(豊倉助産院代表助産師)。B5判、104頁、2,860円(税込)。
東洋医学で自然治癒力を高め出産に備える知恵を紹介する同書の初版発行から11年。助産に関わるガイドラインの変更を受け、最新の手法や統合医療の情報も盛り込み今回の第2版の発行に至った。東洋医学の説明からはじまり、自分の状態を知る「出産力」セルフチェック、心身を整えるつぼ指圧やお灸によるセルフケア、つわりや便秘など妊産婦のトラブルケア、最後には育児を元気に楽しむための養生やベビーマッサージを伝える。周産期を優しくサポートする一冊。 (さらに…)
連載『中国医学情報』231 乳癌術後上肢リンパ浮腫の鍼併用治療―運動療法とのランダム化比較 ほか
連載『中国医学情報』231 乳癌術後上肢リンパ浮腫の鍼併用治療―運動療法とのランダム化比較 ほか
2024.06.10
☆乳癌術後上肢リンパ浮腫の鍼併用治療―運動療法とのランダム化比較
南京中医薬大学・趙薇らは、乳癌術後の上肢リンパ浮腫で、運動療法単独とそれに鍼を併用した治療を比較(中国鍼灸、2023年10期)。
対象=南通大学付属病院リンパ浮腫外来の73例(2021/11~2022/12)、31~79歳(平均53±10)、KPS:90。浮腫の程度は、軽度(患側と健側の周径差<3cm)31例、中等度(同上3~6cm)34例、重度(同上>6cm)8例。これをランダムに、観察群(鍼併用)36例・対照群(運動療法)37例に分けた。
治療法=治療期間8週間。
<運動療法>深呼吸後、指を伸ばして拳を握り、手関節・肘関節の屈伸運動、その後肩の回旋、腕を伸ばし挙上、腕のレジスタンス運動、毎回10~15分、毎日2回。 (さらに…)
Q&A『上田がお答えいたします』療養費支給申請書の作成日は最終施術日以降の方が無難
Q&A『上田がお答えいたします』療養費支給申請書の作成日は最終施術日以降の方が無難
2024.06.10
Q.
「1年以上・月16回以上施術継続理由・状態記入書」を作成し療養費支給申請書に添付して保険者へ申請したところ、「作成日が当該月の最終施術日より前」という理由で不備返戻されました。何が悪かったのでしょうか?
A.
「1年以上・月16回以上施術継続理由・状態記入書」(以下「状態記入書」)は、厚労省において疾病名と合わせてその結果を分析したうえで施術回数の取扱いについて検討することを目的とした書類です。初療日から1年以上経過している患者であって、かつ、1カ月間の施術を受けた回数が 16回以上の患者の申請で、療養費支給申請書に添付させることとなっています。
保険者がいう「作成日」とは、状態記入書の下部に位置する証明欄に記載する日付(以下「証明日」)を指しており、この日付よりも後に施術が行われていることを指摘されたのでしょう。 (さらに…)
富山あはき社団が県と災害支援協定結ぶ
富山あはき社団が県と災害支援協定結ぶ
2024.06.10
能登地震での活動も反映
4月22日、公益社団法人富山県鍼灸マッサージ師会と富山県が「災害時の避難所等における支援活動に関する協定」を締結。県庁で同会会長の澤田勝芳氏が新田八朗県知事と協定書を取り交わした。 (さらに…)
【NHKディレクター×統合医療の専門家】綿密な取材情報を元にした東洋医学の専門書を出版
【NHKディレクター×統合医療の専門家】綿密な取材情報を元にした東洋医学の専門書を出版
2024.06.10
東洋医学はなぜ効くのか―ツボ・鍼灸・漢方薬、西洋医学で見る驚きのメカニズム
講談社ブルーバックス
1,210円(税込)
NHK『東洋医学ホントのチカラ』ディレクターの山本高穂氏と同番組にも出演する統合医療や補完代替医療の専門家・大野智氏(島根大学医学部附属病院臨床研究センター長)の共著『東洋医学はなぜ効くのか―ツボ・鍼灸・漢方薬、西洋医学で見る驚きのメカニズム』が発刊された。
執筆に踏み切ったのは、「テレビで紹介しきれなかった取材情報や世界中の最新研究を伝えて、多くの人に鍼灸と漢方薬の良さを広めたい」との思いから。番組での現地取材は日本だけでなく、アメリカ、メキシコ、イギリス、スウェーデン、イタリア、ドイツ、南アフリカ、ウガンダ、と3大陸にまたがる9カ国にも及び、アメリカやイギリスにおいては東洋医学の認知度が高く研究も活発に行われていると実感したという。
書籍では、西洋医学的視点でみた東洋医学の解説から、根拠を示す臨床試験、最後にはツボ押しのセルフケアも収録する。 (さらに…)
連載『汗とウンコとオシッコと…』238 溢泌(いっぴつ)
連載『汗とウンコとオシッコと…』238 溢泌(いっぴつ)
2024.06.10
今年は「ザ・五月晴れ」といった過ごしやすい日が少なかった。また、季節外れの暑さや涼しさがあり、見上げるとスジ雲が漂い秋の空のようになっている。
今年の司天は「太陽寒水」が入るので、高層の乾いて冷たい風が吹き下ろされやすい年回りだからだ。通常の夏モード(旧暦)で温められた海水と上空からの冷たく乾いた空気が触れ合うと、気化が激しく雲が増え、雨が多くなるのは当然だ。故に前半は涼しく暑さがずれるという状況になる。
これは気象庁の予報と大きく外れていないので、古代人の気象観察の力量には頭が下がる次第である。こうなると、痺の病が多くなり、今年は稼ぎ時という嫌な言葉が頭によぎる。
「2カ月前から右足の甲に痺れがあるんです。腰椎ヘルニアと診断されて、薬を飲んでいますがかえって悪くなっているような感じがして……」と訴えるのは馬場さんという50代後半の身体ががっしりした男性。中小企業の役員で奥様の紹介で来院した。腰椎ヘルニアの特異的な所見はなく、年齢的に肝数値は標準、糖尿もなく、健康診断でも比較的健康である。毎週ゴルフに行ってカートに乗らずに人生後半戦を謳歌していた矢先の話だと言う。
横転先生は「痺れているのは母趾側?」と問う。 (さらに…)
連載『未来の鍼灸・柔整を考える』第16回 エンゲージメントと健康管理
連載『未来の鍼灸・柔整を考える』第16回 エンゲージメントと健康管理
2024.06.10
人口減少社会の日本では、人材の確保が難しいのが実情です。そのため、企業は労働力を確保するために、新規採用を増やすか、働く人の生産性を高めるかのどちらかを選択しなければなりません。とはいえ、人口減少社会の中で新規採用を増やすことは難しいことから、現在の従業員の生産性を高めるためのアプローチに力を入れるようになっています。
そこで、人材価値を十分活用できているかどうかを知るための方法として、「従業員エンゲージメント」という考え方があります。従業員エンゲージメントとは「働く人がもつ、企業や仕事そのものへの熱意や思い入れの程度を表す指標」のことであり、働く人のココロ(心)に企業としてどれだけ寄り添えているかの程度を表しています。
そのため、多くの企業は従業員エンゲージメントを定期的に測定し、それを向上させるために従業員のコンディションやチームにおける懸念点を解消していく必要があります。従業員エンゲージメントが改善されると退職率が減少するだけでなく、仕事の効率も良くなり、生産性が上がることが示されています(図)。
(さらに…)
今日の一冊 生きものハイウェイ
今日の一冊 生きものハイウェイ
2024.06.10
佐々木 洋 著 / 中村一般 絵
雷鳥社 1,760円
「生きものハイウェイ」とは生きものたちが通る道のこと。何気ない住宅街や近所の川縁など、当たり前の景色の中にもそれは無数に伸びている。電線の上に、植え込みの中に。
本書ではそうした生きものハイウェイを10のフィールドに分類、プロの自然解説家としても活躍する著者の佐々木氏がそこを通る生きものたちについて紹介し、中村氏の柔らかなイラストがそのイメージを膨らませる。
いつもの帰り道だって、立派なハイウェイコース。少し気を向けるだけで、そこにある息吹を感じられるはず。
編集後記
編集後記
2024.06.10
▽愛飲している酎ハイの『タコハイ』が駅をハイジャックするような大キャンペーンをしていて、笑えます。京急蒲田駅の入口に「京急蒲タコハイ駅」との看板を掲げ、地元飲食店も巻き込み様々な催しを展開……が、すぐさま批判が上がり、看板を撤去する事態となっています。
「公共性の高い駅にふさわしくない」と訴えられ、一方のサントリーも「業界の自主基準などにのっとり、不適切な飲酒防止に努め、配慮し……」とし、今後関連広告も減らすとか。酒の進みに影響しそう。
冗談はさておき、広告については柔整あはき業界でも検討会が再開。ガイドライン案も出てきて、どうなるか。無資格者に対しては、依然「自主的取組みを促す」との書きっぷりで大丈夫か? こちらは笑えない人も多いはず。(和)
広告検討会 日整、「整骨院不可」の見直し要望
広告検討会 日整、「整骨院不可」の見直し要望
2024.05.24
反省やお詫びを交え「今一度、議論を」
10回目となる「あはき師・柔整師等の広告に関する検討会」が5月20日、都内で開催され、1年3カ月ぶりに議論が再開した。
これまでの会議を踏まえ、厚労省から「ガイドライン(GL)に記載する内容(案)」が提示されたが、柔整側メンバーである日本柔道整復師会(日整)が一転して、既に合意形成された「整骨院の名称を不可」とする事項の見直しを求める訴えを出した。反対意見が出たものの、継続審議となり、GLの議論と並行して引き続き話し合いが行われることになった。
反対出るも継続審議へ望みつなぐ
「整骨院」の名称については、大臣告示に規定されておらず、法令で認められていないとの理由で、検討会においてその使用の是非をめぐって大きな論点となり、前回の第9回会議で「今後、整骨院を新規で名乗る場合に使用できない」とする案が合意された。なお、この案では、既に整骨院を使用する施術所には当面の猶予を与える緩和措置も盛り込まれている。 (さらに…)
『医療は国民のために』391 寝違えは療養費の対象? 今さらながら問いただしたい
『医療は国民のために』391 寝違えは療養費の対象? 今さらながら問いただしたい
2024.05.24
寝違えとは、眠っていて目が覚めた時に、首周辺または肩にかけて痛みが出る症状をいい、首を動かすと痛みが出るし、痛みで首を動かせない場合もある。柔整師は、過去から頸椎捻挫(頸部捻挫)や肩関節捻挫の負傷として療養費支給申請書を提出し、当然、業務範囲として捉えてきたところだ。
一方、整形外科側はどのように考えているのか。日本整形外科学会のホームページによれば、「何が起こって痛みが出ているかについては、いろいろな意見がありますが検査や画像でとらえられるような変化がないのが一般的なので、正確な原因であるという証拠はありません。 (さらに…)
日本鍼灸師会第5回医療連携講座 腰痛治療から医療連携を考える
日本鍼灸師会第5回医療連携講座 腰痛治療から医療連携を考える
2024.05.24
3月31日に日本鍼灸師会の『第5回医療連携講座―腰痛の医療連携』が呉竹医療専門学校(さいたま市大宮区)とオンラインで開催、約200名が参加した。
レッドフラッグを念頭に
税田和夫氏(埼玉医科大学総合医療センター整形外科教授)は医師の目線で腰痛の診断と治療を解説した。『腰痛診療ガイドライン2019』では腰痛の85%が非特異的腰痛とされ、部位の特定にとらわれず命や重大な後遺症にかかわる疾患の可能性を検証し治療すべきと述べた。
注意すべきレッドフラッグを「FACET(椎間関節)」になぞらえ①Fracture(骨折)、②Aorta(腹部大動脈瘤、大動脈解離)、③Compression(脊髄圧迫症候群)、④Epidural abscess(硬膜外膿瘍、骨髄炎)、⑤Tumor(脊椎腫瘍、骨転移)と伝えた。また痛みが感覚と情動からなり、特に慢性疼痛においては痛覚が過敏になるアロディニアの要素も考慮すべきと語った。
医師の腰椎治療では、原則として下肢症状のない腰痛は手術しないと述べ、腰椎椎間板ヘルニアを例にフローを解説した。まずは、下肢や大腿神経の伸展テストなどで神経所見の有無を確認し、鎮痛剤や筋弛緩剤など投薬し様子をみるという。所見が認められ回復がなければ手術をする。
患者に多いのが「手術で根治できる」との誤解だと話す。腰部脊柱管狭窄症手術292例でしびれの残存率が約8割という調査結果もあり、さらにしびれ消失群に至っても、満足度が5点満点中4.1点であったと報告。「あるべき部位の切除、長い期間神経が圧迫された負荷などにより、手術で元の状態に戻るわけではない」と話した。
下肢症状がない腰痛においては治療の優劣が明らかでないといい、薬剤投与や物理療法のほか鍼灸も世界で認知されていると述べた。
山口智氏(埼玉医科大学医学部東洋医学科客員教授)は非特異的腰痛の鍼灸治療を解説した。腰痛の概念はかつて脊椎の障害だったが、現在は身体・精神・社会的要因による疼痛症候群となり鍼灸の強みが生かせる分野であると強調。
鍼灸治療の対象としては①筋・筋膜・靭帯、②椎間関節・仙陽関節、③椎間板、④神経根・神経、⑤下肢の要穴を上げた。鍼灸治療で疼痛とともに、VAS、QOLをが向上したとの研究結果なども示し、「心身一如」を裏付けた。筋筋膜性疼痛の治療の実技供覧も行った。
河原保裕氏(アコール鍼灸治療院院長)は東洋医学的な観点から黄帝内経や素問、霊枢と古典を引用し痛みを解説したのち、崑崙による膀胱経の操作から中枢部の痛みのポイントを絞り込む様子をみせた。また、圧痛や硬結でなく、愁訴が軽減するポイントを探ると教えた。
同意書を書いてもらうには?
小林潤一郎氏(小林はりきゅう院院長)は医師への紹介状や報告書の書き方を解説した。医師が同意書を断る理由は、「忙しい」「保険併給の可否をはじめ法律を理解していない」「受付で断る決まりである」など、発行する理由は様々だと報告。それをふまえ、他施設の鍼灸併用事例を上げ必要性を伝える、医師の領域である負傷名の特定をしないなど、お願い状記述のコツを伝えた。
また、在宅診療に注力するクリニックは比較的頼みやすい、新規開業時は挨拶しておくなど、依頼先探しのポイントにもふれた。施術報告書においては、医師向けの文書である意識を持ち、東洋医学の専門用語は避け、現代医学用語を用いることなど要点を解説。医療連携のための文書作成の重要性を強調し「患者の視点で鍼灸以外も視野に入れ最善の手段を考える必要がある」と訴えた。
質疑では報告書作成の際、「夜間の運動器痛の改善」を「夜間痛が取れた」など、医科に報告すべきレッドフラッグを放置したと誤解を受ける記述に注意すべきと声が上がった。また、紹介状を書きたくない理由に「たったの1,000円しか受け取れない」という医者の内情も話された。
同会の地域ケア委員会からは、菅野幸治氏(鍼灸治療楓鈴堂院長)と藤森文茂氏(日野春治療院院長)が医師や医療専門職との緊密な連携の必要性や、信頼関係の構築法などを伝えた。また、同委員会の取り組み「地域ケアZoom行脚」では、地域での鍼灸師の活躍や参入の成功例、困りごとなどを共有・意見交換していると話し、参加をよびかけた。
連載『先人に学ぶ柔道整復』四十 真之神道流柔術(前編)武術(殺法)において陰陽を重視
連載『先人に学ぶ柔道整復』四十 真之神道流柔術(前編)武術(殺法)において陰陽を重視
2024.05.24
今回から、天神真楊流柔術の源流の一つである「真之神道流柔術」を取り上げていきます。真之神道流柔術は江戸後期に大阪・同心の山本民左衛門によって創流され、天神真楊流柔術の伝書『当流大意録』において、磯又右衛門が楊心流柔術と真之神道流柔術とを合流して創始したとの記述があります。このことから、天神真楊流柔術と深い関係があることが分かります。
同流の伝書には『真之神道流上檀巻』、『柔術秘学抄』、『九箇条之極意』などがあり、これらの史料と『当流大意録』を参考にその成立と考え方について解説します。
真之神道流柔術は楊心流柔術から分派されたこともあり、手形手数(技の形や数)や名(技の名称)が楊心流柔術と重複するところが数多くみられます。民左衛門は楊心流柔術の303手から抜粋し、初段・中段・上段と段位を定め、また技の数も68手に絞りました。また、同流の要点は、心と体の動きを一致させ、陰陽を自在にすることとあります。そのため、戦場で組討ちとなった際、甲冑を着用し動きが不自由な状態にあっても、寝起きや行動が自由にできるとあります。以下、伝書より引用。 (さらに…)
アースデイ 東京2024 204名にお灸体験 モクサアフリカジャパン
アースデイ 東京2024 204名にお灸体験 モクサアフリカジャパン
2024.05.24
灸の普及と結核治療における灸の有効性の研究に努めるチャリティ団体「モクサアフリカジャパン」が4月13日、14日に代々木公園(東京都渋谷区)で行われた『アースデイ東京2024』に出展。天候にも恵まれ2日間で204名が灸を体験した。ボランティアには遠くは岩手県や沖縄県など、全国から治療家や学生総勢40名が集まった。
もぐさの消費を増やして生産を促進させたい
モクサアフリカジャパンの同イベント参加は今年で4回目。今年準備した体験は直接灸と竹塩灸で、参加者から一種類1,000円、両方で1,500円の寄付を募る。「直接灸はモクサアフリカの活動の基本として海外でも用いている。直接灸に使う最上級のもぐさを作るヨモギも技術も日本にしかない。たくさんの人に知ってもらって、消費を増やして、生産者を底上げしたい」と山川義人氏(モクサアフリカジャパン事務局)。 (さらに…)
上田孝之氏の新刊、好評発売中 療養費問題の最前線
上田孝之氏の新刊、好評発売中 療養費問題の最前線
2024.05.24
療養費の「今」が分かる!保険者や行政も無視できない、「療養費マニュアル」の決定版がKindle対応電子書籍で発売!
本紙で連載執筆中の上田孝之氏(元厚労省療養指導専門官)の新刊『療養費問題の最前線 令和5年度版―知らないと損する療養費の現状』が、5月17日に株式会社日本医療福祉新聞社から電子版で発刊した。価格1,250円。初の電子書籍でAmazonの電子書籍サービスKindleで配信。 (さらに…)