女性鍼灸師フォーラム 第52回学習会 「妊娠中の腰痛」テーマに
2019.02.25
形井秀一氏が講演、実技も
女性鍼灸師フォーラムの第52回学習会が1月27日、東京医療福祉専門学校(東京都中央区)で開催され、筑波技術大学名誉教授で洞峰パーク鍼灸院院長の形井秀一氏が「妊娠中の腰痛」をテーマに講義と実技を行った。
妊産婦の5~7割は腰痛を発症しているとし、苦痛を訴えるのはそのうち約20%、さらに治療を希望するのはその30%で、全妊産婦の3%ほどになると解説。統計では2017年に出産した女性は94万6,065人となっていることから、妊娠中に腰痛の治療を希望したと考えられる女性は約2.8万人に上ると推定でき、臨床で遭遇する可能性が決して低くない数字であると述べた。妊娠中の腰痛の発症原因には、妊娠初期は自律神経の不安定化や骨盤内の血行障害など、後期は姿勢の変化や子宮増大による機械的刺激や腰部の筋の拘縮など、初期・後期に共通する原因としてリラクシン・ホルモンによる関節や靭帯の弛緩があると説明。一般的な治療法は姿勢や日常動作指導、ストレッチなどで、投薬はボルタレンやロキソニンといった催奇形性のある消炎鎮痛剤は避けなければならず、手術は椎間板ヘルニアや子宮筋腫の変性などに限られると話した。
「快適な妊娠・出産を」意識の変化も
形井氏は自身が集積した症例について、55例のうち著効28、有効11と、合わせて全体の7割を占めていると紹介。また、「初診時の腰痛の程度別」では「多少つらいが我慢はできる」25例において「有効以上」16例、「我慢できない、動けない」10例中「有効以上」9例などとなったと提示した。妊産婦も以前は「妊娠中のつわりや腰痛は当たり前。だから我慢するのが当然」という意識だったのが、近年では快適な妊娠期と出産を望むようになってきており、医療側もその変化に応える必要があると指摘した。
実技では、患部が実していれば腎経の築賓を取穴し、築賓が実していれば鍼、虚していれば灸を用い、一方、患部が虚していれば膀胱経の承山や飛揚を取穴し、腎経と同様に実には鍼、虚には灸を使用するとして実演、指導を行った。