日本不妊カウンセリング学会 第18回学術集会 『不妊チーム医療と鍼灸の役割』テーマに
2019.07.10
不妊鍼灸の最新の論文など紹介
NPO法人日本不妊カウンセリング学会の第18回学術集会が6月7日、東京都港区のニッショーホールで開催された。テーマは『不妊チーム医療と鍼灸の役割』。
学術集会長を務めたアキュラ鍼灸院院長の徐大兼氏が会長講演を行った。胚移植前後の鍼灸治療の効果について検証した最新の研究として、2018年12月に「Reproductive Biomedicine Online」に掲載された論文を紹介。鍼灸治療を受けた群と補助的治療を受けていない群とを比較すると、鍼灸治療群に妊娠率の増加、生産率の増加、流産の減少が認められており、特に、低妊娠率や反復不成功例の女性の場合、著しい効果が示唆されていると述べた。また、産婦人科や高度生殖医療を行うクリニックなどで鍼灸師による鍼灸治療を導入するメリットに言及。不妊治療がなかなか進まない患者は医師に不安を抱いて転院を考えるようになることもあるといい、そういった不安を鍼灸師がヒアリングすることで解消し、転院やブログなどへのネガティブな書き込みを抑止することができると述べた。
シンポジウムは栗林由美子氏(治療室&香りの教室ユーカリの木)、中村一徳氏(なかむら第二針療所、厚仁病院生殖医療部門鍼灸ルーム)、小松範明氏(キュアーズ長町、仙台ARTクリニック統合治療室鍼灸ブース)、外石晶子氏(鍼灸治療院セラキュア、京野アートクリニック高輪鍼灸ルーム)、木津正義氏(明生鍼灸院、俵IVFクリニック鍼灸室)らが登壇した。中村氏は、RCT以外で治療効果の有効性を証明するためには鍼灸介入前後の比較と分母の大きさが重要であるとし、これまで行ってきた65人・1,645個の卵子の鍼灸開始前・後の比較について紹介した。また、鍼灸治療の評価方法として、脈診などの東洋医学的診察を経ることなく、直接的に効果の検証を行った方がはるかに実践的で異論の余地が無いと説いた。
ほかに安野富美子氏(東京有明医療大学保健医療学部鍼灸学科教授)による特別講演『女性のライフサイクルに応じた鍼灸ヘルスケア』が行われた。



