連載『柔道整復と超音波画像観察装置』154 膝損傷の超音波観察
2018.01.25
田中 正樹(筋・骨格画像研究会)
臨床において、膝周囲は病変の頻度の高い部位である。軟部組織が薄い場所なので、外見所見や触診は比較的易しいが、超音波画像観察装置(エコー)を使えば、細部にわたって、より明確に病変を認識することができる。今回は、膝関節水腫の貯溜について報告する。 (さらに…)
連載『柔道整復と超音波画像観察装置』154 膝損傷の超音波観察
連載『柔道整復と超音波画像観察装置』154 膝損傷の超音波観察
2018.01.25
田中 正樹(筋・骨格画像研究会)
臨床において、膝周囲は病変の頻度の高い部位である。軟部組織が薄い場所なので、外見所見や触診は比較的易しいが、超音波画像観察装置(エコー)を使えば、細部にわたって、より明確に病変を認識することができる。今回は、膝関節水腫の貯溜について報告する。 (さらに…)
連載『柔道整復と超音波画像観察装置』153 ファベラの超音波画像観察
連載『柔道整復と超音波画像観察装置』153 ファベラの超音波画像観察
2017.12.25
田中 正樹(筋・骨格画像研究会)
ファベラは、腓腹筋外側頭の起始部にまれに見られる種子骨であり、出現率は10%程度だと言われている。ファベラが存在するというだけでは疼痛を引き起こすことはないとされているが、ファベラそのものの骨折や骨軟骨炎、ファベラに圧迫されることによる腓骨神経障害などが発生する可能性があるので軽視はできない。
1977年、ウィーナーらは、ファベラにおける鋭い疼痛・限局した圧痛・膝伸展時痛の3症状が見られる疾患を「ファベラ症候群」と報告している。これら3症状のほかに腰部前屈制限や膝伸展制限があり、起立位におけるかかと立ち及びつま先立ちで、膝関節後面外側顆に疼痛を認めることもある。ファベラ症候群は、診察する者に疾患の概念が無い場合、膝関節炎や半月板損傷、腸脛靱帯炎などと混同されてしまうケースがある。
ファベラ症候群が疑われる際に超音波画像観察装置(エコー)を用いる場合、ファベラ周囲の軟部組織やfabello-femoral(ファベロ・フェモラル)関節を観察していかなければならない。ファベラには、骨性ファベラと軟骨性ファベラがある。骨性ファベラは音響陰影を伴う高エコー像、軟骨性ファベラは卵円形の低エコー像として描出される。正常例の後外方長軸走査では、大腿骨外側顆の関節面が半円状の高輝度線に描出されるが【画像①】、骨性ファベラが出現する画像では、ファベラより深部は無エコーとなり、ファベロ・フェモラル関節は見ることができない【画像②】。また、短軸走査でもファベラより深部の関節面は無エコーになり、描出されない【画像③】。その場合は膝外側走査を行い、大腿外側顆とファベラが同時に描出されるようにする【画像④】。
ファベラによる疼痛の原因は、関節症性変化や軟部組織の炎症、滑膜炎などが考えられる。よってエコー画像の着目点は、関節面の不整、ファベロ・フェモラル関節周囲の低エコー像などだが、ファベラと外側顆によってアーチファクト(虚像)が映ることがあり、それらが低エコーを有するので、その影を炎症画像と混同しないように注意しなければならない。
エコーでファベラを観察する際は、エコーの特性をよく理解してプローブを当てる方向を考慮し、アーチファクトの存在も意識しつつ、鑑別につなげる必要がある。
連載『柔道整復と超音波画像観察装置』142 腱組織に対する超音波エラストグラフィー研究の 現状について
連載『柔道整復と超音波画像観察装置』142 腱組織に対する超音波エラストグラフィー研究の 現状について
2017.07.25
宮嵜 潤二(筋・骨格画像研究会)
超音波エラストグラフィー(Real time tissue Elastography : RTE)は、2003年に日立メディコ(現日立製作所)が世界で初めて開発・製品化した技術で、非侵襲的に組織弾性を測定するものである。この技術は、主に乳腺腫瘍領域や、近年では肝線維化診断への応用などで発展してきた。08年以降、各社がRTEの製品化に参入しており、現在、機器の小型化、高解像度化に伴い、筋骨格系に対する応用も広がっている。しかし、腱や靭帯に対する研究が現状どのようになされているかは明らかではない。そこで今回は、RTEによる腱・靱帯に関する研究文献の数などから、同分野における研究の現状を調査した。
検索対象は、03年以降の、ヒトの腱に対してRTEを使用した研究の英語論文とした。検索はPubmedを使用して、キーワードを「ultrasound(超音波)」・「elastography」と、「tendon(腱)」「ligament(靱帯)」「muscle(筋)」で行った。
結果を【図1】に示す。筋骨格系に関する論文は03年から散見されるが、08年頃から大きく増加している。08年以降はシーメンス、GE、東芝、フィリップスなどの各社がRTEに参入し始めた年であることが要因だと考えられる。
12年頃まで論文数の伸びは停滞するも、13年から再び大きく増加している。なお12年以降には、Shear wave imaging方式の Shear Wave Elastography(SWE)の使用が急増している【図2】。
10年にSSI、12年にはシーメンスから相次いでSWEの新しい機器が発表されたこととの関連が考えられる。SWEは、用手的加圧を必要とするStrain imaging方式と比べて、剪断弾性波の伝搬速度により測定することで、定量性に優れているため、研究用途の応用が進んでいるものと推察される。RTEを用いた腱組織に対する研究報告のうち、14年以降の29%(66文献中19文献)がSWEを使用しており【図3】、 SWE普及との関連も示唆された。
RTEによる腱組織研究の対象組織別の論文の内訳を、【表】に示す。腱を対象とした論文の47.3%がアキレス腱の研究で、膝蓋腱と合わせると約60%を占めていた。これらのことから、アキレス腱や膝蓋腱など大径の組織に比べて、細径の腱や組織に対してRTEを使用するには課題があるものと考えられた。
【表】腱組織における対象別の論文数(110文献中)
tissue
n
%
Achilles tendon
52
47.3
pateller tendon
12
12
flexor tendon
9
9
rotator cuff
6
6
Systematic Review
3
3
extensor tendon
2
2
ACL
2
2
others
24
24
本調査において、筋骨格系に対するRTE研究では、近年、腱組織に対してSWEを使用した研究が増加していることが明らかとなった。今後はアキレス腱や膝蓋腱以外の腱組織に対するアプローチが重要であると考えられた。
連載『柔道整復と超音波画像観察装置』143 胸郭出口症候群の一症例
連載『柔道整復と超音波画像観察装置』143 胸郭出口症候群の一症例
2017.02.25
松本 尚純(筋・骨格画像研究会)
スマートフォンの普及が進むにつれ、過度の操作や長時間にわたる使用などによって、ストレートネックや手の痺れなど、上肢に障害を抱えた患者が増えてきている。今回は、胸郭出口症候群について述べる。
患者は40歳女性。最近、ヨガを習い始めた。手を挙げるようなポーズをとると、途端に左手が痺れるという主訴で来院。左手を少しでも挙げると、痺れ感や知覚異常、冷え感が直ちに発生するという。以前は、このような症状をあまり感じなかったとのことである。左上肢のアドソンテスト陰性、ライトテスト陽性、モーリーテスト陰性、ルーステスト陽性、エデンテスト陽性、アレンテスト測定不能。
徒手検査では斜角筋症候群ではなく過外転症候群が疑われたが、念のため超音波画像観察装置で斜角筋や腕神経叢、鎖骨下動脈、腋窩動脈を描出してみた。
前斜角筋、中斜角筋、腕神経叢、総頸動脈を描出したのが、【画像①】と【画像②】である。烏口突起をランドマークに腋窩動脈を描出したのが【画像③】、腋窩動脈の長軸が【画像④】。肩関節90°外転、外旋位、肘関節90°屈曲位で描出したのが【画像⑤】である。小胸筋により圧迫され、血行が失われているように見える。
このように、患者には視覚的に患部の状況を見せて、治療方針を説明していく必要があると考える。