連載『柔道整復と超音波画像観察装置』238 骨や軟部組織の内部把握にUSを用いた2症例
2025.01.21
田中正樹(筋・骨格画像研究会)
超音波画像観察装置(以下、US)での観察は骨や軟部組織の状態を確認するのに有用であり、外見では分からない内部の把握に威力を発揮する。今回はUSを用いた2症例を紹介する。
16歳男性(高校1年生)バドミントン部で日々練習しているが、3カ月程前より右膝・膝蓋骨下端が痛くなり、徐々に疼痛範囲が広大していき来院する。
柔整師には問診によりジャンパーズニーであることは容易に推測出来るが、触診では状態の程度は把握しづらい面がある。今回の患者は、選手としての立場が一軍メンバーであったため痛みを我慢して練習・試合に出続けていたこともあり病態の程度が心配であった。これからのスポーツ活動内容を決めるためにもUS観察を行った。
膝蓋骨を含む膝蓋靱帯の長軸走査を行った。健側(左)では膝蓋骨表層から膝蓋腱に向かって平行にfibrillar patternを示している。患側(右)では膝蓋骨表層から膝蓋腱全体に炎症を示す低エコー像を呈し、膝蓋骨下端から膝蓋靱帯深層部に高エコー像が描出された。これは腱付着部の骨変化や石灰化像であることが示唆された(画像①)。
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