2023年度自賠責の柔整施術費、約510億円で2年連続増
2025.06.24
請求件数も約18万件で増加
2023年度において自賠責保険に請求した柔整施術費の総額が約510億円であった。前年度より約38億円増え、2年連続で増加した。損害保険料率算出機構が毎年春に発行する『自動車保険の概況』で公表した。 (さらに…)
2023年度自賠責の柔整施術費、約510億円で2年連続増
2023年度自賠責の柔整施術費、約510億円で2年連続増
2025.06.24
請求件数も約18万件で増加
2023年度において自賠責保険に請求した柔整施術費の総額が約510億円であった。前年度より約38億円増え、2年連続で増加した。損害保険料率算出機構が毎年春に発行する『自動車保険の概況』で公表した。 (さらに…)
今日の一冊 なぜテンプライソギンチャクなのか?
今日の一冊 なぜテンプライソギンチャクなのか?
2025.06.24
泉 貴人 著
晶文社 1870円
イソギンチャクの新種発見数24種で、日本人歴代トップの著者が東大落研で鍛えた話芸をもって、「俺が」「俺の」と超強気にしゃべり倒す。えび天そっくりの表題の他にも「イチゴカワリギンチャク」や「リュウグウノゴテン」など、印象的な名前を付けたその経緯が余すことなく語られる。
「俺様」な文体とは裏腹に分類学の専門書としても詳細に記されており、学問としての楽しさや研究者の奮闘を垣間見ることができる。肩肘張らずに読めるのに、読み終わる頃には分類学の見方が少し変わっている、そんな一冊。
商品紹介 日進医療器『ユニコディスポ鍼 長柄』
商品紹介 日進医療器『ユニコディスポ鍼 長柄』
2025.06.23
「持つ部分」だけ長くした長柄鍼、鍼柄28mmで複雑な手技も
鍼灸器具ブランドの「ユニコ」を展開する日進医療器株式会社(大阪市中央区)が、鍼柄部分を長くした『ユニコディスポ鍼 長柄』を6月23日に新発売した。
鍼体は1寸で、一般的に使用されている鍼柄の長さ(20mm)より8mm長くした長柄仕様。鍼柄が28mmとなったことで、指をかけるスペースが十分確保され、安定した「持ち心地」と細やかな「操作性」を実現。同社によると、経絡治療家の大上勝行氏と共同開発し、「私のように散鍼や細かい手技操作を多用する鍼灸師には、鍼柄の短さがネックになることもあり、日々の臨床でもう少しこうだったらと感じていた部分が、まさに形になった」と太鼓判をもらえたという。
鍼体と鍼柄はステンレス製で、鍼径は0.14mm。指先にフィットしやすい六角鍼管が付き、1箱240本入り(鍼8本と鍼管1本のセット×30)。
製品の詳細や販売に関する問い合わせ等は、日進医療器(0120-993-118)、もしくは同社ホームページまで。
また、同製品の発売を記念して、8月3日には大上氏を講師に招いた特別講演『よくわかる経絡治療講座―長柄鍼で増やせる手技のバリエーション』が大阪市内で催される。経絡治療をこれから学ぶ方のや学生の参加も可能。主催は経絡治療学会阪神部会、共催は日進医療器。申込みは専用フォームを。
連載『柔道整復と超音波画像観察装置』243 超音波画像診断による筋ストレイン評価
連載『柔道整復と超音波画像観察装置』243 超音波画像診断による筋ストレイン評価
2025.06.21
宮嵜潤二(筋・骨格画像研究会)
筋ストレイン(筋損傷)は、スポーツ活動や日常生活で頻繁に発生し、その予防、診断、リハビリテーションは重要な課題である。超音波画像観察は非侵襲的かつリアルタイムに筋組織の状態を評価できるため、筋ストレイン評価に有用と考えられる。本稿では、筋ストレインに対する超音波画像評価の研究動向をレビューする。本レビューは、PubMedを用いて2025年5月31日現在までに公開された文献を検索し、超音波画像が筋ストレイン評価に用いられた11文献を採択した【参考文献一覧】。
筋ストレインは、筋がその伸張限界を超えた際に発生するとされ、筋の硬さや伸張性が損傷リスクに影響を与えることが示唆されている。Yanagisawaら(2011)は、Real-time Tissue Elastography(RTE)が運動後の筋硬度変化を高い再現性で捉えることを示し、超音波画像が筋の変化評価に有用であることを明らかにした。Kayら(2016)は、 (さらに…)
ケガや熱中症などスポーツ中の安全確保で検討会、スポ庁
ケガや熱中症などスポーツ中の安全確保で検討会、スポ庁
2025.06.20
ガイドライン策定に向け、年度末までに意見とりまとめ
スポーツ庁が6月9日、運動やスポーツ中のケガ防止を含む安全対策を議論する検討会を都内で開いた。
国として今後、スポーツ活動全般において安全を確保するための包括的なガイドライン(指針)を策定することを目指しており、それに向け有識者らを集めて協議を重ねていく。議論する内容は、外傷への対応や熱中症等による事故のほか、暴力やハラスメント、ドーピングといった幅広い分野に及ぶ。
検討会メンバーには、スポーツ関連団体をはじめ、医師会やアスレティックトレーナー団体も含まれており、最新のスポーツ医科学の知見を踏まえ、議論を深めていくようだ。定期的に会合を開き、今年度を目途に検討会としての意見をとりまとめる予定としている。
産婦人科のエキスパートを育てる『鍼灸師のための周産期ケア講座』、7月から東京で開催
産婦人科のエキスパートを育てる『鍼灸師のための周産期ケア講座』、7月から東京で開催
2025.06.20
産婦人科エキスパート鍼灸師を養成する『鍼灸師のための周産期ケア講座 東京Edition』が、7月27日(日)、8月24日(日)、9月28日(日)の3回シリーズで開催される。会場は東京都渋谷区の国立オリンピック記念青少年総合センターを予定、主催は辻内敬子先生(せりえ鍼灸室)が代表を務める女性鍼灸師フォーラム。
同講座は、5月に東京都はり・きゅう・あん摩マッサージ指圧師会主催で開催された、産婦人科医の百枝幹雄先生(総合母子保健センター 愛育病院院長)による『周産期の基礎知識』を引き継ぐ形で実施。女性鍼灸師フォーラムが長年取り組んでいる「鍼灸×助産プロジェクト」の一環として催し、目標は以下の2つ。
「妊婦さんを治療するために必要な知識と技術を兼ね備えた臨床力を身につけること」
「産科医や助産師と協力して妊婦さんをサポートするコミュニケーション力を磨くこと」
午前は講義で学び、午後は演習を含むワークショップの時間を設けてしっかりと「インプット」する。本講座を修了したら、11月15日(土)、16日(日)に開催される『第39回日本助産学会学術集会』の企業展示ブースにて、医師・助産師・看護師などの医療従事者へ鍼灸の魅力と効果を直接伝えるスタッフとして活動する「アウトプット」の機会もゴールとして設けられている。
7月開催『助産師の視点で鍼灸師にも知っておいて欲しいこと』は鍼灸師で看護師、助産師でもある井上律子先生(せりえ鍼灸室/みやした訪問看護ステーション)、8月開催『産科領域の鍼灸マッサージ 最新エビデンスと治療の実際、ほか』は小井土善彦先生(せりえ鍼灸室院長)、豊久美先生(横浜医療専門学校教員)、9月開催『東洋医学の周産期ケア』は辻内敬子先生が担当する。
また、全回参加者で、この連続講座の「第1回」と位置づけている5月講座の参加を逃した人には、アーカイブ視聴の特典もあり。
「次世代を担う子どもたちを産み育てる女性の健康支援ができる鍼灸マッサージ師が増えることを願っています。そこで、つわり、腰痛、逆子……と、妊婦さんのつらい症状にも対応できるように、共に学びましょう。ご参加をお待ちしています」と辻内先生。
詳しい内容や参加申し込みは女性鍼灸師フォーラムのページからご確認を。
モクサアフリカ、今秋に南アフリカで灸の健康支援を実施
モクサアフリカ、今秋に南アフリカで灸の健康支援を実施
2025.06.19
モクサアフリカが10月に南アフリカで「灸による健康支援」を予定している。この活動は、灸の普及・定着が見込める医療資源の少ない土地において、効果を体感してもらい使用を拡大する、「新規開拓」も視野にいれた取り組みとして継続してきたもの。
モクサアフリカは2008年に設立されたイギリスのチャリティ団体。アフリカのダーバンにある麻薬中毒や結核、HIV患者の支援施設「ベルヘブンハームリダクションセンター(Bellhaven harm reduction center) 」から相談を受け、取り組みを開始した。なお2022年に始まり今回で3回目になる。
前回の2023年は日本から3名、イギリスから2名でチームを結成し、現地の医療従事者やスタッフとともに同センターで7日間に渡り活動。基本となる直接灸やイヤーシードを使い延べ270人に治療をした。「痛みが軽くなった」「体が楽になったと感じる」など効果を喜ぶ声が聞かれ、連日通う患者もいたという。その様子はNHKをはじめ、数々の一般メディアでも取り上げられた。
今回も前回同様にダーバンにて活動を予定している。
口コミで広がり始めた灸。定着には課題も
ボランティアに参加したメンバーは「2022年の活動を開始した当初は、お灸を見たことのない人々に良さを理解してもらうことにとても苦労したけれど、継続のかいあって口コミで広がり続けている」と手ごたえを話す。また、コミュニティの安全性向上もあってか灸を受けに来る女性が増えているとも。
そもそもモクサアフリカは、資源の限られた環境での結核治療に対し、伝統的な灸治療を科学的に検証し、補助的治療法として確立することを目指し設立された。それも踏まえ、このプロジェクトは、伝統医療により現地NPOと協力して、社会的に脆弱な層を支援し、地域主導の運営体系構築を目指すという社会貢献モデルという側面もある。
数日のみの治療体験では灸の定着には程遠く、継続のための現地スタッフの雇用、育成のための資金源づくりなど今後の課題も浮かび上がってきている。
現在モクサアフリカでは一緒に活動できるメンバーを募集中、寄付も募っている。興味のある方や活動に賛同する方はモクサアフリカHPから確認を。
▼モクサアフリカの日本での灸の普及活動の記事も公開中!
『アースデイ東京2025』でモクサアフリカがお灸体験
連載『現場で使える! 治療家のための実践英会話』5 痛みの種類を聞く一言
連載『現場で使える! 治療家のための実践英会話』5 痛みの種類を聞く一言
2025.06.18
痛みの種類を聞く一言
宮口先生/宮 鍼灸師の佐藤さん/佐
佐藤:「昨日は、外国人の患者さんに『どんな痛みか』を聞くのに苦労しました」
宮口:「痛みの種類は重要ですよね。"What is the pain like?" (痛みはどのような感じですか?)というと、痛みの質を尋ねられますよ」
佐藤:「なるほど! 私、"How is your pain?" って聞いちゃって……」
宮口:「あるある(笑)。それだと『痛みの調子は?』という意味になりますね」
佐藤:「そうなんです! 患者さんから"My pain is fine, thank you." (痛みは元気です)って笑われてしまいました」 (さらに…)
全日本鍼灸学会第74回学術大会 鍼灸×フェムテックで新しい医療モデルを
全日本鍼灸学会第74回学術大会 鍼灸×フェムテックで新しい医療モデルを
2025.06.17
5月30日から3日間、全日本鍼灸学会(全日)の第74回学術大会名古屋大会がWINC AICHI(名古屋市中村区)にて開催され、1900人強が参加した。テーマは『女性のみかたⅡ-フェムテックによる女性のWell-beingに貢献する鍼灸』。
AIが鍼灸のEBMを変える
大会会頭講演では清水洋二氏(中和医療専門学校)は今回の裏テーマと前置き、新たな方法による鍼灸のEBM構築の展望について話した。従来は客観性・再現性・普遍性に基づく研究による自然科学的なアプローチが主流であるが、経験則や推測による機序を含む鍼灸は十分なエビデンスを得にくかった。ところが患者の主観的満足度、経験則による治療戦略などのビッグデータをAI解析する社会科学的アプローチにより、新しいEBMが扱えるのではないかと述べた。
現在フェムテックは経産省も推進する注目の成長産業であり、2025年度は世界市場5兆円規模に上るとの報告があるという。鍼灸とフェムテックの融合は新しい医療モデルになり得るとし、鍼灸による女性のQOL向上を社会実装できるよう業界を挙げ取り組む必要性があると訴えた。
(さらに…)
メディカル・サイエンス・インターナショナルより新刊 がっくんといっしょ―エコー解剖のひろば
メディカル・サイエンス・インターナショナルより新刊 がっくんといっしょ―エコー解剖のひろば
2025.06.16
株式会社メディカル・サイエンス・インターナショナルより、『がっくんといっしょ―エコー解剖のひろば』が刊行された。著者は石田岳氏(函館おおむら整形外科病院)。B5判、160頁、4180円(税込)。
本書は、Day1~14の学習プログラムとして構成されており、2週間の学習でエコーマスターを目指す設計だ。プローブの持ち方や画像の見方、そして「構造物をどう探し、どう捉えるか」といった基礎から丁寧に導いてくれる。特に印象的なのが、「筋内腱を狙え!」や「構造物は二点で捉える」といった再現性を明快に示している点。これらは、知識と実際の人体を結びつけようとする施術者にとって心強い指針となる。
さらに、67本もの動画がオンラインで視聴可能で、平面ではつかみにくい動きや感覚を立体的に理解できる。スマホ一つで事足りるので、隙間時間に学習も可能だ。また、随所に挟まれるモノローグの「空想テラス」では、著者自身の体験や学びの背景が綴られており、技術書でありながら、読者の不安や疑問に寄り添ってくれる。エコー観察の入門書として至れり尽くせりの1冊。
上記の書籍を抽選で2名に読者プレゼント
ハガキに希望の本のタイトル、郵便番号、住所、氏名、電話番号を明記し、
本紙編集局(〒530-0057 大阪市北区曽根崎2-2-1 梅新21ビル)まで。
8月12日到着分まで有効。
Q&A『上田がお答えいたします』療養の給付ではなく「療養費」だから存在価値もある
Q&A『上田がお答えいたします』療養の給付ではなく「療養費」だから存在価値もある
2025.06.15
Q.
柔整療養費のオンライン請求導入がいつ頃になるのか、最近特に気になるところですが、既に先行実施している医科等の「療養の給付」と同様、もしくはこれに準じた形でスタートするとしたら、法令上の違いによる問題が生じるはずでは?
A.
その通りです。私がこれまで何度もお伝えしている通り、まずもって、療養費と療養の給付とでは「帰属主体」が全く異なります。
おさらいですが、健康保険制度は原則強制加入で、医療を受ける必要が生じた時に、迅速で効率的に保険医療機関等から医療給付を「現物」で受けるためのものです。医療を提供する者が「労働の対価」として報酬を受け取るという建てつけとなっているからこそ診療報酬であり、これはオンラインで請求しようが変わりません。そして、当然のことながら (さらに…)
『ちょっと、おじゃまします』“恩返し”ではなく“恩送り”を胸に 京都市中京区<むろまち鍼灸>
『ちょっと、おじゃまします』“恩返し”ではなく“恩送り”を胸に 京都市中京区<むろまち鍼灸>
2025.06.13
「未来の健康を、今いっしょに作る。それが僕の仕事」。そう語るのは、京都市中心部で『むろまち鍼灸』を営む平野健一先生。常に学び、挑戦を続けるその姿勢は、多くの患者さんや後進の治療家たちに影響を与えています。そんな平野先生が、鍼灸師を志したのは高校3年生の頃。もともと動物が好きで、将来は獣医になりたいと思っていたところ、知り合いの医師から「鍼灸師なんてどう?」と勧められたのが転機になりました。自身は鍼灸治療を受けたことがなく、そこで初めて鍼灸や東洋医学を知ったといい、独自の面白さにひかれる形で明治鍼灸大学(現・明治国際医療大学)への進学を決めました。 (さらに…)
『鍼灸師・柔整師のための痛み学―UPDATE』4 痛みの中心レベル
『鍼灸師・柔整師のための痛み学―UPDATE』4 痛みの中心レベル
2025.06.12
痛みの観察では、大まかな原因を問診で探り、どの組織の問題かを感度・特異度・尤度の高い検査で絞り込みます。一般的には、ここまでで病態把握は終わりとなりますが、症状が複数ある場合や痛みが長期化している場合は、さらにもう1つ考えなければならないことがあります。それが、「痛みの中心レベル」です。痛みの中心(病態)は、末梢、脊髄、脳の3つのレベルに分かれており、それぞれのレベルに応じて症状の現れ方が異なります。
末梢レベルでは、問題が関節や骨、神経、筋肉といった末梢組織のみに限定しており、痛み以外の症状はほとんど存在しないのが特徴です。ぎっくり腰や変形性膝関節症などと患部は痛いものの、それ以外に症状が存在しない場合は、末梢レベルと考えられます。
一方、脊髄レベルは末梢レベルから少し状態が変化します。 (さらに…)
鍼灸メーカー中心の新団体「OMFES」発足、企業側から鍼灸発展を目指す
鍼灸メーカー中心の新団体「OMFES」発足、企業側から鍼灸発展を目指す
2025.06.11
「他団体と連携」「独自の展示会業務」「国へ提言」などに取り組む
鍼灸材料の製造企業を中心に、新たな団体として今春発足した「東洋医学未来推進協会」(OMFES・オムフェス)が5月30日、名古屋市内で設立総会を行った。
OMFESは、「鍼灸業界の課題解決を目指すこと」を目的に、業界内外の団体との連携や付設展示の運営、行政・業界に向けた提言などに取り組んでいくとして、4月1日に発足。会長には押谷小助氏(株式会社山正会長)が就任したほか、副会長に小倉洋介氏(セイリン株式会社副社長)と松尾知美氏(株式会社いっしん代表取締役)が就き、17社の会員企業と賛助会員1社(下図に一覧)で旗揚げされた。
総会冒頭のあいさつで押谷氏は、日本の人口が減少することが今後見込まれ、このままでは鍼灸産業の市場も2、3割程度減少してしまうと懸念を示すとともに、「現在、鍼灸の受療率が5%前後と言われる中で、業団、学会、教育機関、そしてメーカー・販売会社が連携して動かなくては、この厳しい状況を脱することができず、また (さらに…)
連載『汗とウンコとオシッコと…』250 魔法瓶
連載『汗とウンコとオシッコと…』250 魔法瓶
2025.06.10
ヤマボウシの花が散りだし、突出した赤い実をちらほら見かけるようになった。南天の白い花の群生が円錐状に突出し、緑の葉にコントラストの強い紫陽花が梅雨の到来を誘うように咲き誇っている。だが、この初夏は涼し過ぎる。普通ならじとじとと汗ばむ季節ではあるが、冷たい風が体表を素早く気化させて、汗が出たという感覚を奪ってしまう。また体表が冷えるので喉が渇いた感覚も作らない。そのために血が粘り内圧が上がり腫物を形成しやすいのだ。 (さらに…)
全日「2024年高木賞」、村橋氏ら埼玉医大グループが受賞
全日「2024年高木賞」、村橋氏ら埼玉医大グループが受賞
2025.06.09
受賞論文「慢性一次性筋骨格系疼痛への鍼治療効果」
観察研究の重要性高いとの評価
全日本鍼灸学会は5月31日、会員の優秀なる研究業績を称える「高木賞」の授賞式を第74回学術大会名古屋大会内で行った。
2024年の高木賞を受賞したのは、村橋昌樹氏(埼玉医科大学病院東洋医学診療科)らの『観察データを用いた慢性一次性筋骨格系疼痛に対する鍼治療効果の検討』だった。高木賞の選出は2019年以来の6年ぶりとなる。
選考委員長の吉田成仁氏が壇上で総評を行い、今回の候補論文13本について、「研究目的の意義」や「独創性」、「研究方法」、「再現可能性」、「学問領域への新たな貢献」などの側面から、科学的な基準に適合しているかも含めて総合的に評価したと述べた。
村橋氏らの高木賞受賞論文については、「慢性一次性筋骨格系疼痛に対する鍼治療の臨床での有効性を検証しており、観察研究の重要性や貢献度が高く、内容としても質の高い原著論文で賞に値する」と、選考委員会の結論を伝えた。
また併せて、研究業績に対して今後の期待や激励の意味を込めた「高木賞奨励賞」も選出され、松浦悠人氏(東京有明医療大学保健医療学部鍼灸学科)らの『Acupoints used in acupuncture-based randomized controlled trials for major depressive disorder: A systematic review』が受賞した。
がんサバイバーにあはき師が「オンコロモーション」を!
がんサバイバーにあはき師が「オンコロモーション」を!
2025.06.06
大鍼師会、今年度より人材養成の講座始める
「がんサバイバー」に特化した運動機能の回復を支援する「オンコロモーション」に取り組む動きが鍼灸業界で出てきている。
大阪府鍼灸マッサージ師会(廣野敏明会長、大鍼師会)が、今年度より研修事業として「オンコロモーション認定指導員養成講座」を開き、日頃の臨床で遭遇することの少なくない癌患者の術後ケアやQOL向上のサポートができる施術者を育成し、癌治療後のがんサバイバーの社会復帰に寄与しようとしている。
オンコロモーションとは、オンコロジー(腫瘍学)とモーション(動作)を組み合わせた造語で、公益財団法人大阪対がん協会が提唱した考えだ。癌の治療を受けた患者は、筋力の低下や手術による関節可動域の制限など、身体機能の低下を起こすケースが多く、これらに対し、運動を推奨するとともに、「癌にひるまず、いつもと同じ生活を送るために前向きに取り組むよう背中を押していく」との思いで名付けられた。
大鍼師会が今回の養成講座をスタートさせるきっかけとして、数年前に大阪対がん協会から打診を受けたという。背景には、 (さらに…)
連載『中国医学情報』243 通年性アレルギー性鼻炎に無痛麦粒灸併用治療 ほか
連載『中国医学情報』243 通年性アレルギー性鼻炎に無痛麦粒灸併用治療 ほか
2025.06.05
☆通年性アレルギー性鼻炎に無痛麦粒灸併用治療―ステロイド単独とランダム化比較
山東省濰坊(いほう)市の濰坊医学院中医学院・張揚らは、通年性アレルギー性鼻炎患者に麦粒灸併用治療を行い、ステロイド剤単独治療と比較(中国鍼灸、2024年9期)。
対象=濰坊市中医病院鍼灸科・耳鼻科の98例(中医弁証は肺虚感寒型)。これをランダムに、灸群・薬群各49例に分けたが、各群2例脱落し最終的に94例(男46例・女48例)、各群47例。灸群は平均32±12歳・罹患期間1~9(平均5.1±1.9)年、薬群は平均32±11歳・罹患期間2~8(平均4.8±1.5)年。
治療法=治療期間4週間。全員がステロイド剤(「糠酸莫米松(Eloson)」)の鼻炎スプレーを、起床時・入眠前各1回、第1~2週は鼻腔各側2回スプレー、第3~4週は各側1回スプレー。
<灸治療>
①取穴―肺兪・膏肓・足三里(以上左右)と身柱
②モグサ―高級モグサを使用。大きさは、ゴマ粒大(長さ約3mm、中間直径約0.8mm)~麦粒大(長さ約6mm、中間直径約1.5mm)
③操作―最初は腹臥位で肺兪・膏肓・身柱、次に仰臥位で足三里に施灸。ツボの部位を消毒し、乾燥したら少量のワセリンを塗る。そこにモグサ(患者の耐えられる大きさを選ぶ)を置き点火し、燃え尽きたらピンセットで灰を除去。各穴3壮。終了後は綿棒で灰を払う。患者には、施灸箇所の皮膚を乾燥させ、擦らないように注意する。施灸回数は2日1回。身柱では、施灸1週間ほどして灸瘡が出来たら3日1回とする。左右あるツボでは、片側のみ3回後に反対側に施灸(もし灸瘡が出来たら、すぐ反対側に変更)。 (さらに…)
第59回現代医療鍼灸臨床研究会、「疲労」に挑む鍼灸の最前線
第59回現代医療鍼灸臨床研究会、「疲労」に挑む鍼灸の最前線
2025.06.03
第59回現代医療鍼灸臨床研究会が4月29日にオンラインで開催された。『疲労と鍼灸―臨床最前線』と題して、疲労のメカニズムや治療方法、鍼灸の新たな活躍領域など、複数の角度で発表が行われた。
「起床後3時間」で見抜く本当の疲労
基礎講座では山崎翼氏(明治国際医療大学鍼灸学部鍼灸学科)が『疲労の病態と鍼灸治療』と題して講演。疲労と疲労感の違いや評価方法、鍼灸治療の新たなアプローチについて、多角的な視点から解説した。座長は坂口俊二氏(関西医療大学大学院)。
疲労とは、心身への過負荷により活動能力が低下した状態であり、発熱や痛みと並ぶ生体の重要なアラームであると説明。休息を促すためのサインでもあり、疲労感はその自覚的な感覚を指すと補足した。次に、疲労には肩こり、腰痛、頭痛などの身体的疲労と、イライラ、不安、食欲不振といった精神的疲労の2種類があるとし、そのどちらも自律神経の乱れや神経細胞の酸化が主な原因であると述べた。
また、疲労の深刻度を測る一つの目安として、 (さらに…)
連載『先人に学ぶ柔道整復』四十四 三浦勤之助(前編)東京帝国大教授の柔道との関わり
連載『先人に学ぶ柔道整復』四十四 三浦勤之助(前編)東京帝国大教授の柔道との関わり
2025.06.02
今回のシリーズは、大正9(1920)年の内務省令「按摩術営業取締規則」の改正により柔整師が公認されたことに尽力した三浦勤之助を取り上げます。
三浦は元治元(1864)年に福島県高成田村(現・伊達市)で生まれました。 (さらに…)