連載『アロマテラピーをたずねて』100 不安な気持ちをやわらげるバジルとフランキンセンス
2018.09.25
この連載は今回で100回目になります。平成22年6月にスタートしてからあっという間の8年が過ぎ去りました。つたない文章を毎回読んでくださっている皆さまに、心よりお礼申し上げます。
厳しい夏の暑さを乗り切ってやれやれと思っていた矢先、台風21号、地震と続いて自然の脅威を思い切り見せつけられ、気持ちが沈んでしまいそうになりました。不安やイライラは、たとえ一瞬でも自律神経のリズムを乱し不調の原因を作り出します。交感神経の高ぶりは、血圧や内臓の働きなど全身に影響を及ぼします。血流が悪くなって血栓ができやすくなり、免疫力が低下します。体がコントロールを失う前に、ゆっくり深呼吸をして副交感神経が優位になるようにリラックスすることが大切です。
23年前の阪神大震災で自分が被災者だったときのことを思い出し、その時、良いと思った精油を二つ、ここで紹介しようと思います。まずは「バジル」。この精油は、フェノールメチルエーテル類やリナロールを多く含み、自律神経調整作用があり、健康回復に役立ちます。不安症、不眠症の改善に期待ができ、健胃作用もあって、何よりも無気力に対して強壮作用を表します。精神的に弱っていると感じたときに神経を強壮にする強い力があり、さらに感覚を鋭敏にして集中力を高めてくれます。
もう一つは聖書にも登場する「フランキンセンス」で、「オリバナム」という呼び方をする人もいます。エジプト時代から利用されていた精油で、感情を平静にし、呼吸をスローダウンさせるのに役立ちます。人を慰め、不安な心理状態を平常に戻すのにお勧めです。使用法は、吸入法が一番。精神的な問題には、嗅覚から脳へダイレクトに作用させるのが近道です。呼吸によって気道を通過し、肺に送り込まれて肺を浄化してくれます。ハンカチまたはタオルに精油を1~2滴染み込ませ、姿勢を良くして鼻に近付けて、ゆっくり香りを吸い込みます。その後は息を吐き切るようにします。たったこれだけで、すぐに気分が変わりますよ。
【連載執筆者】
山本淑子(やまもと・よしこ)
山本淑子ハーブ・アロマアカデミー校長
AEAJ認定アロマテラピープロフェッショナル