第12回柔道整復学豊郷台シンポジウム カンファレンス訓練、卒業生呼びかけ
2019.08.25
柔整・栃木社団付設診療所の紹介も
第12回柔道整復学豊郷台シンポジウムが7月28日、帝京大学宇都宮キャンパス(宇都宮市豊郷台)で開催された。
基調講演では、施術者、医師ら4人が登壇し、「柔道整復を考える」をテーマに講演した。
古川洋太郎氏(帝京大学医療技術学部平成28年度卒業生)は、病院勤務の経験と周囲への聞き取り調査を基に、他職種との共通言語の不足を問題視。柔整学のカリキュラムにレントゲン読影やリハビリテーションの知識、カルテの取り扱いのほか、カンファレンスに関する訓練を拡充すべきだと呼びかけた。帝京大学医療技術学部教授の櫻井庄二氏は、柔整養成校のカリキュラム改正に伴って「柔道整復術の適応」「職業倫理」「柔道整復術適応の臨床的判定」といった倫理・専門性に関わる科目が増設されたことに触れたほか、来年4月からは高等教育段階の教育費負担軽減新制度が導入され、実務経験のある教員による授業科目を卒業単位数の1割以上配置することになったと述べた。
公益社団法人栃木県柔道整復師会会長の片岡祥二氏は、栃木県庁保健福祉部との情報交換・研修会や、付設診療所「とちのきクリニック」の運営など同師会の取り組みを紹介。平成29年度の調査では、関東一都七県中、栃木は療養費による平均所得が1位だとして、取り組みの成果を示唆した。また、同クリニックについて、勤務医師の須田利樹氏が講演し、同師会の会員が紹介した患者を無料で診察し、診断と治療の評価を行うもので、受傷後2週間以内なら交通事故で警察に提出するための診断書も発行しているといった取り組みを紹介。レントゲン撮影、局所エコー検査なども行うが、投薬・注射などは原則的に行わず、あくまで同会員の勉強と、治療の裏付けのためのものだとした。また、須田氏は、付設診療所が存在するのは全国の柔整社団でも4団体のみで、実質的に機能しているのは同院のみだと述べた。
このほかに、須田氏による骨折治療に関する招待講演、大学院生発表などが行われた。