ハリトヒト。マーケット 「教員、学生を支援できていない」?
2019.11.25
養成校、教員の在り方で提言など
『ハリトヒト。マーケット』が10月27日、関東鍼灸専門学校(千葉市美浜区)で開催された。
鍼灸業界、鍼灸学生向けウェブマガジン『ハリトヒト。』の製本化第二弾を記念したイベント。これまで掲載してきたロングインタビューのインタビュイーの中から、内原拓宗氏(関東鍼灸専門学校副校長)、赤星未有希氏(鍼灸師、がん情報ナビゲーター)、横山奨氏(アイム鍼灸院)、松田博公氏(鍼灸ジャーナリスト、黄帝内経研究家)が講演や対談を行い、企業や団体などのブースも出展した。
内原氏は業団や各流派、保健所、医師、税務署、メーカーといった就業鍼灸師を取り巻く環境について図説。教員は通常の教育だけでなく、これらに対する理解を深めた上で業界の水先案内人として学生をサポートしなければならないと指摘。しかし実際は学校の中にこもっていることが多く、十分にできていない現状にあると述べた。また、看護師やPTなどの他の医療職に比べ業団の組織率が低いことや、学術団体に所属している鍼灸師の数が全体から見るとわずかに過ぎない点に言及。養成校が、業団や学会と卒業生とをつなげられていないのが要因の一つだと説いた。
学生、色々な流派学びたい
内原氏からの「どんな養成校が望ましいか、養成校に何を求めるか」との主旨の質問に対して複数の参加者から意見が挙がった。教員経験を経て開業したという甲野功氏(あじさい鍼灸マッサージ治療院)は、近年の養成校が国試対策を重要視している実態に触れた一方で、臨床の大切さも強調。「国試に受かりさえすればいい」という生徒向けと、「卒後すぐに開業したいので臨床も充実してほしい」というニーズに応える二つのコースを設けるのはどうかと述べた。小貫英人氏(日本伝統鍼灸学会理事)は養成校では実技教育が不足しているとして、「卒後養成校」を提言。関東圏など同じエリアの複数の養成校が共同で、諸流派の臨床家を招いて実技の授業を行う場を設けるといった案を挙げた。鍼灸学科2年生の学生は、通っている学校は授業時間外のセミナーが豊富だが、スポーツや美容といったカテゴリーの内容が多いと指摘。古今の流派や治療法を学んで、自分に合ったものを見つけたいと訴えた。
▲企業などもブースを出展。施術体験も