『医療は国民のために』249 施術管理者の新要件「研修の受講」への疑問
2018.06.10
健康保険等の医療保険各法で柔整療養費の受領委任取扱いが認められている「施術管理者」の要件が、4月より追加されたのは周知の通りである。しかし、その運用においては不信感を持たざるを得ない。改正通知を発出した厚労省保険局に対するものはもちろん、それにも増して、運用に関わっている柔整業界側に対しても情けない思いでいっぱいだ。
中でも「研修の受講」の運用だ。 (さらに…)
『医療は国民のために』249 施術管理者の新要件「研修の受講」への疑問
『医療は国民のために』249 施術管理者の新要件「研修の受講」への疑問
2018.06.10
健康保険等の医療保険各法で柔整療養費の受領委任取扱いが認められている「施術管理者」の要件が、4月より追加されたのは周知の通りである。しかし、その運用においては不信感を持たざるを得ない。改正通知を発出した厚労省保険局に対するものはもちろん、それにも増して、運用に関わっている柔整業界側に対しても情けない思いでいっぱいだ。
中でも「研修の受講」の運用だ。 (さらに…)
連載『織田聡の日本型統合医療“考”』93 フィンランドの医療
連載『織田聡の日本型統合医療“考”』93 フィンランドの医療
2018.06.10
『Upgraded Life Festival 2018』(5月31日~6月1日開催)に参加するために、フィンランドはヘルシンキへ行ってきました。フィンランドは、日本より「税」は高いですが、日本と同じように「高福祉国家」です。 (さらに…)
連載『中国医学情報』159 谷田伸治
連載『中国医学情報』159 谷田伸治
2018.06.10
☆ドライアイに鍼通電治療と導気鍼法併用
上海中医薬大学・謝汶璋らは、ドライアイ患者で常軌治療と上海市名老中医・張仁の導気鍼法併用を比べた(中国鍼灸、18年02期)。
対象=患者60例、男18例・女42例、平均年齢46.5歳(20~65歳)、平均罹患期間1.6年(0.3~6年)。眼科薬物の受療者は、2週間以上治療停止。これをランダムに常軌群・導気鍼併用群各30例に分けた。 (さらに…)
Q&A『上田がお答えいたします』 運動後療料の名称が不自然?
Q&A『上田がお答えいたします』 運動後療料の名称が不自然?
2018.06.10
Q.
今年度の料金改定で新設された柔道整復運動後療料ですが、これって、単に後療料に310円加算されただけではないのでしょうか?
A.
6月1日から骨折・不全骨折・脱臼の後療料に310円の加算ができる「柔道整復運動後療料」が認められました。 (さらに…)
連載『汗とウンコとオシッコと…』166 Light the lighting
連載『汗とウンコとオシッコと…』166 Light the lighting
2018.06.10
夏の到来が早いかと思えば、自然界はやはり帳尻を合わせてくる。太陽光線が強い時期ではあるのに、風が秋のように涼しく、汗が出にくい。たとえ夏日で30度を超えたとしても、日陰に入れば薄ら寒く感じ、夜になると半袖ではとても無理だ。一枚羽織らないと確実に風邪を引く感じがする。露地モノ野菜でも、初取れキュウリやトマトが店頭に並んでもいい時期のはずだが、まだまだ畑にあって、田植えすら遅かったのが現状だ。
光線振動量と風の冷たさが曲者で、気圧が下がったあとがややこしい。電子レンジのように光線の振動で皮下は熱を持つが、涼しい風で汗が止められることにより、プチ熱中症のようになる。尿が減少し、循環器に基礎疾患がある人は胸が苦しく、動悸がする。背中に痛みを投射すれば巨闕兪や患門が差し込み痛む。通常は浮腫んだりしていないのに、関節が腫れたり、古傷が痛むことが多い。年齢に関係なく同じような状態に陥りやすく、子供や体力のある人は発熱して太陽病の表実症が出てくるのが今の状態だ。
「先生、また左腕が痺れだして……。頸を後ろに倒すと、指先全体に痺れがひどくなるんです。バチンって、目から火が出るような感じで痺れて……」
70代前半の上品な老婆が横転先生に訴えている。 (さらに…)
連載『未来の鍼灸師のために今やるべきこと』17 何故、健康でなければいけないのか?~健康と社会をつなげる~
連載『未来の鍼灸師のために今やるべきこと』17 何故、健康でなければいけないのか?~健康と社会をつなげる~
2018.06.10
これまでは、国民の「健康の物差し」を変えることの意味や、その具体的な方法について紹介してきました。今回からは、それぞれの具体的な方法を線でつなげ、持続可能な健康システムにするにはどうすれば良いのかについて考えていきたいと思います。
予防医療の難しさは、予防が治療ほど切実な問題ではないことに原因があります。 (さらに…)
『ちょっと、おじゃまします』 ~痛みが出にくい身体に~ 大阪市阿倍野区〈今百合整骨院〉
『ちょっと、おじゃまします』 ~痛みが出にくい身体に~ 大阪市阿倍野区〈今百合整骨院〉
2018.06.10
痛みは姿勢や身体の歪みからくる「二次災害」だといい、痛みを取るのではなく痛みが出にくい身体になるよう整えるという大谷先生。患者さんには、「身体が重い、ダルい」など痛みが出そうな徴候を感じたら来院してほしいと伝えています。 (さらに…)
今日の一冊 ディア・ペイシェント
今日の一冊 ディア・ペイシェント
2018.06.10
ディア・ペイシェント
南 杏子 著
幻冬舎 1,728円
患者様プライオリティー。元銀行マンの事務長が唱える「何よりも患者の利益を優先する」という理念によって、総合病院「佐々井記念病院」に勤める医師らの仕事はサービス業と化していた。内科医の真野千晶はクレーマー患者に悪戦苦闘しつつ、医師としてのやりがいも模索。そんな中、「モンスター・ペイシェント」座間敦司が現れる。一方、頼りになる先輩医師・浜口陽子は大きな医療訴訟を抱えていた……。現役医師で、終末期医療の人間ドラマを描いた『サイレント・ブレス』の著者が放つ長編医療小説第二弾。
『医療は国民のために』248 亜急性の表現抹消はやはり事実上の敗北であろう
『医療は国民のために』248 亜急性の表現抹消はやはり事実上の敗北であろう
2018.05.25
柔整療養費の支給対象としての「亜急性」の議論が一応の決着を見た。4月23日に開かれた第14回柔整療養費検討専門委員会で亜急性の表現が「抹消」されることが合意されたのだ。今後は、亜急性という用語は議論されないようだ。合意内容としては、
①厚労省の通知から「急性又は亜急性」の文言を全て削除する。このことから「亜急性」との表現自体が通知から抹消される
②代わって、負傷の原因を徹底的に明確にし、いつ、どこで、どうして負傷したかを施術録に記載しなければならなくなった
③新たに外傷性の定義が明確化され、「外傷性とは、関節等の可動域を超えた捻れや外力によって身体の組織が損傷を受けた状態を示すものであり、いずれの負傷も、身体の組織の損傷の状態が慢性に至っていないものであること」と通知上の明文化が図られることになる
との3点だが、③の表現では、組織の損傷状態の「慢性」という時間軸によって、慢性に至っていないことが新条件として加わったに過ぎず、「慢性に至っていないものであること」の具体的な意味はよく分からない。
これまでの亜急性議論では、柔整業界側から亜急性がオーバーユースに見られる負傷の一般的態様であり、すべからく柔整師の療養費支給申請の対象となるとの従来の考え方に基づき、主張も行われていた。私から見てもこの論調は正当であり、医科学的にも十分説明がつくものであったと感じている。事実、柔整側委員が専門委員会の席上で、柔整養成施設の大学の考察等を交えながら「亜急性は負傷の範囲を指す」ことを論旨に明快に発言された。しかし、保険者側委員や有識者委員がこれを理解できず、そもそも座長が亜急性を全く理解していない。その結果、無視されたといえ、これはいかがなものかと非常に残念である。
現在、柔整療養費は、柔整師バッシングの中で多くの返戻と不支給処分に遭い、毎年大幅な縮小を余儀なくされている。一方、7年連続で外科・整形外科の収入は伸びており、整形の診療報酬と柔整師の療養費の金額を比較すれば、その格差に呆れる。真面目な整形外科では理学療法士や作業療法士が患者のお世話をしてくれているのは評価できるが、レントゲン等の最新医療機器による費用に加え、痛み止めの薬剤の投与など、実際に治療行為として行われているのはほとんど無いといえよう。
また、健保組合の財政的視点から見ても、医科の診療報酬に比べて療養費は圧倒的に安価であると断言できる。ところが、健保組合は柔整師に療養費を支払うくらいなら、病院に行って医者の治療を受けるよう誘導する。今後、健保組合は23~30%の範囲で解散していく。もちろん財政的に持たないからだ。多くの健保組合が解散を余儀なくされ、税金が大量に投入される「協会けんぽ」に移行していくことになる。安価で患者満足度の高い柔整・あはきの療養費をないがしろにする保険者には物申すことなど特にない。
【連載執筆者】
上田孝之(うえだ・たかゆき)
全国柔整鍼灸協同組合専務理事、日本保健鍼灸マッサージ柔整協同組合連合会理事長
柔整・あはき業界に転身する前は、厚生労働省で保険局医療課療養専門官や東海北陸厚生局上席社会保険監査指導官等を歴任。柔整師免許保有者であり、施術者団体幹部として行政や保険者と交渉に当たっている。
連載『先人に学ぶ柔道整復』九 嘉納治五郎(後編)
連載『先人に学ぶ柔道整復』九 嘉納治五郎(後編)
2018.05.25
柔整との接点と治五郎の高弟たち
治五郎のお話の締めくくりとして、彼の柔道整復との接点に触れてみたいと思います。治五郎が創始した講道館柔道は明治中期より柔術各流派を統合し、次第に興隆の徴を表していました。接骨に対しては、「講道館柔道には人の足腰を察するようなことはさせたくない」という見解を当初示していたようです。というのも、大正末期まではいまだに江戸時代の考え方が色濃く残っており、地域医療に対する世間の見方は「士農工商でいえば、工と商の間くらい」の評価でしかありませんでした。武家由来の柔道家が接骨を営むことについて、治五郎が理解を示さなかったのもやむを得ないことでしょう。このように医療行政的に厳しい状態の中で、どうにかして接骨を業としてつなぎとめたのは、天神真楊流をはじめとする各流派の柔術家による秘術としての接骨術が世間に対して治療実績を上げ続け、信頼を得てきたからだといえます。一方、1906(明治39)年には整形外科が一般外科から分離独立し、東京大学内に講座が開設されています。このため、整形外科は接骨業と診療科目が重なり、将来的に両者は競合することが懸念されていました。
こうした中、治五郎は萩原七郎の強い働きかけにより、講道館の高弟である山下義韶を派遣し、全国の接骨家と協力して「柔道接骨術公認期成会」を結成し、接骨術の法制化に協力しました。その結果、「接骨」は、1920(大正9)年に按摩術に準じて免許を与えられることになり、「柔道整復」という名で初めて法規の上で認められることとなりました。
この「柔道接骨術公認期成会」には、山下のほかにも治五郎の高弟の柔道家がいくらか協力しています。例えば、大阪では戸張滝三郎(1872年~1942年)。のちに大阪調整会の相談役兼顧問を務め、大阪府柔道整復師会の代議員や副会長などを歴任しています。また、講道館関係者では、愛知の米田松三(1892年~1958年)がおり、愛知県柔道整復術組合(現愛知県柔道整復師会)の創設メンバーとして尽力しました。米田は愛知県立第一中学校時代に既に初段を取得していましたが、東京物理学校への進学のため上京した際に、山下の元に住み込み、そこから講道館へ柔道の稽古に通っていました。その後、米田は柔道9段となり、さらに柔整師として愛知県柔道整復師会の第3代会長に就任しています。1928(昭和3)年には施術所を併設した「米田道場」を創設し、この道場は後の米田柔整専門学校へと継承されています。
治五郎の柔道整復に対する関わりは政治的側面が強かったのですが、治五郎の高弟たちの活動により大阪、愛知など大都市で柔道整復の基盤が作られ今日に至っています。
参考文献:加藤高茂、長谷川泰一、江口真一編(1959年、米田松三遺徳顕彰会)『米田松三』ほか
【連載執筆者】
湯浅有希子(ゆあさ・ゆきこ)
帝京平成大学ヒューマンケア学部柔道整復学科助教
柔整師
帝京医学技術専門学校(現帝京短期大学)を卒業し、大同病院で勤務。早稲田大学大学院スポーツ科学研究科博士後期課程を修了(博士、スポーツ科学)。柔道整復史や武道論などを研究対象としている。
連載『織田聡の日本型統合医療“考”』92 ターミナルケアにおける補完医療
連載『織田聡の日本型統合医療“考”』92 ターミナルケアにおける補完医療
2018.05.25
大学院生の頃、愛知県岡崎市の生理学研究所で学位のために研究をしていました。久しぶりにこの岡崎に来て、「日本死の臨床研究会」中部支部総会で特別講演をさせていただきました。「死の臨床研究会」は、死の臨床において患者さんやご家族に対する真の援助の道を全人的立場より研究していくことを目的とし、1977年に創立された研究団体です。山積しているターミナルケアにおける問題に対し、研究会を通して医療提供専門職の啓蒙に取り組んでおられます。
今回の講演内容は「日本型統合医療」についてでしたが、午後に参加者の皆さんとワールド・カフェのスタイルで議論する中で、「なるほど」と思うことが出てきました。特にターミナルケアの現場は、西洋医学的な積極的加療を行わない時期なので、補完医療が活用される場面が多いです。ただ同時に、様々な理由で導入も難しくなっているようです。
ターミナルケアも保険診療の枠組みの中で行う以上、補完医療のような自費で行う診療が介入すると混合診療になりかねません。特に国立病院などの公的医療機関では、保険診療以外の行為を入れるにはハードルが高いと言われます。そこで、多くの補完医療は「ボランティア」という形で参入されていることが多いようです。
ところが、ボランティア団体の中には自己主張が強い団体もあり、複数の団体の間で勢力争いが始まったり、看護師との関係がうまくいかなくなったりして、結局「補完医療のボランティアは一律でお断り」となってしまうことが少なくないようです。また、材料費などの一部負担を患者さんに求める「有償ボランティア」に対する理解が希薄で、補完医療側が「無償ボランティア」という条件に疲弊し、うまくいかなくなってしまうこともあるようです。
さらに、補完医療の知識が医療従事者側に不足しているために生じる問題もあります。補完医療側も自らを理解してもらおうと、医療従事者に対して施術を行い、まず信頼を得てから患者さんの施術へつなげる努力をされるところもあるそうですが、ここで医療従事者側が「何か取り入られるのではないか」と不安を感じたり、「看護師を洗脳しようとしている」と管理者が断ったりするケースもあり、信頼を得ようとする行為が「洗脳」とみられることもあるようです。特に補完医療のような、「一見怪しく」思われるような施術と対峙した時に相手が不安を感じるのも理解できます。
様々な意見を伺ってみると、やはり多職種が自らのサービスについて情報共有する「話す場所」を増やすことが肝要です。実はこのような場所に最も足が遠いのは「医師」ですので、日常業務の効率化を図って心の余裕を作り、関心が持てるような環境が必要といえますね。
【連載執筆者】
織田 聡(おだ・さとし)
日本統合医療支援センター代表理事、一般社団法人健康情報連携機構代表理事
医師・薬剤師・医学博士
富山医科薬科大学医学部・薬学部を卒業後、富山県立中央病院などで研修。アメリカ・アリゾナ大学統合医療フェローシッププログラムの修了者であり、中和鍼灸専門学校にも在籍(中退)していた。「日本型統合医療」を提唱し、西洋医学と種々の補完医療との連携構築を目指して活動中。
連載『柔道整復と超音波画像観察装置』158 小胸筋に対するエコーガイド下による鍼の試み
連載『柔道整復と超音波画像観察装置』158 小胸筋に対するエコーガイド下による鍼の試み
2018.05.25
宮嵜 潤二(筋・骨格画像研究会)
小胸筋は呼吸補助筋として機能することから、呼吸困難に対する鍼治療の対象としてしばしば用いられる。しかし、小胸筋周囲には神経、血管、肺胸膜など、刺鍼に注意を要する組織が多くリスクを伴う。そこで、超音波画像観察装置(エコー)ガイド下による小胸筋刺鍼を試みた。
同意の得られた健康な男性3名に対して、中府(LU1)内下方でプローブ外方より、平行法でのエコーガイド下による鍼刺入を行った【図】。エコー画像上で解剖構造を確認した後、安全な刺鍼を行うための刺入位置、方向、角度及び深度を考慮。刺鍼時のプローブは滅菌カバーで覆った。カバーとプローブの間には空気が入らないよう、エコー用ゼリーを入れた。観察部位は十分なアルコール消毒をし、刺鍼部位にかからないよう滅菌ゼリーを使用。刺鍼手技やプローブ操作は滅菌グローブを着用して行った。鍼は直径0.24mm、長さ50mmのディスポーザブル鍼「ユニコ」(日進医療器社製)を用い、エコーは「HI VISION Avius」(日立アロカメディカル社製)及び18-5MHzリニア型プローブEUP-L75を使った。
エコー画像上で鍼体を捉えながら血管を回避し、小胸筋に達することができた【画像①】。また、小胸筋に達した際に鍼尖が小胸筋の筋膜を捉え、筋膜の牽引及び変形を起こす状態をエコー画像下で確認しながら手技を加えることが可能であった【画像②】。響きや得気と言われる、鍼治療時に独特の感覚が得られたのは3例中1例のみで、それらが生じたのは小胸筋筋膜到達時だった。
エコーにより、鍼が小胸筋筋膜に到達した時の鍼尖の位置を推定することができた。しかし、響きや得気が必ずしも筋膜や組織への到達の指標にはならないということが分かり、これらの刺入感覚のみを指標とした手技では深刺や組織穿刺の恐れがあることが示唆された。エコーガイド下による刺鍼は、血管や神経のある部位や深層組織に対する過誤を回避できる可能性があると考えられる。
Q&A『上田がお答えいたします』 あはき療養費の往療料は施術料金と包括化されて「無くなる」?
Q&A『上田がお答えいたします』 あはき療養費の往療料は施術料金と包括化されて「無くなる」?
2018.05.25
Q.
6月からのあはき療養費の料金改定では、往療料の大幅な見直しが行われるそうですね。無くなってしまうのではないかと不安です。
A.
なぜ往療料を根本的に見直さなければならないのか。それは、あはき療養費検討専門委員会で「マッサージ療養費において施術料よりも往療料が多くなっているという現状を見直す必要性がある」との指摘があったからです。以下に、専門委員会での往療料に係る議論の要点を挙げます。
●現行の2km増すごとの770円加算(最大2,310円)を見直し、距離加算は行わない方向であること
●距離加算の廃止が困難な場合は、取り急ぎ距離加算を引き下げて施術料や往療料に順次振り替えていくこととして、その実施状況を見ながら、平成32年度までには距離加算を廃止、施術料と往療料を「包括化」した「訪問施術制度」の新たな導入に向け検討した上で、結論を得ることとすること
●往療料の距離加算の水増し、複数患者の施術に対する重複算定、「歩行可能者に対する往療料算定の増加」と極めて不適切であり、往療料関係の不正は不正請求の事例の6割に上っている。だからこそ、往療料の不正対策に今こそ取り組むとともに、抜本的見直しを行うこと
このように厳しく整理されたことに鑑みれば、将来的に往療料そのものが無くなることが予想されます。ただし、往療料の加算要件としての基本的な考え方は上述の「訪問施術制度」に色濃く反映され、離島や中山間地等の地域での加算は温存されることになるでしょう。
いずれにしても、距離加算が往療料に振り替えられて包括化されることから、料金改定が実施される6月から「4kmを超えたら2,700円」といった定額料金になり、距離が増すごとに費用が増加していくという仕組みは無くなるでしょう。次の料金改定でも段階的にこのような改定が行われ、最終的には、「往療料の単独算定」は存在しなくなります。なぜなら、その時には施術料金と往療料加算算定は完全に包括化されているからです。
【連載執筆者】
上田孝之(うえだ・たかゆき)
全国柔整鍼灸協同組合専務理事、日本保健鍼灸マッサージ柔整協同組合連合会理事長
柔整・あはき業界に転身する前は、厚生労働省で保険局医療課療養専門官や東海北陸厚生局上席社会保険監査指導官等を歴任。柔整師免許保有者であり、施術者団体幹部として行政や保険者と交渉に当たっている。
連載『食養生の物語』60 踏まれてもオオバコ
連載『食養生の物語』60 踏まれてもオオバコ
2018.05.25
春から夏にかけてはダイエットが話題になりやすいシーズン。たまには、流行りのダイエット法を話題に取り上げてみましょう。今のトレンドは、糖の吸収を抑えることでしょう。水溶性食物繊維が糖をコーティングし、糖の吸収を穏やかにする役割があるとして、オオバコダイエットが注目されています。主にオオバコの茎や葉をお茶にして飲用するか、全草をパウダーにしたものを水に溶いたとろみのある状態で飲むようです。豊富な食物繊維をうまく活かしたダイエット法と言えそうですね。
「オオバコ」の名は、葉が広く大きいことから「大葉子」と名付けられたとされています。生命力が強く全国に広く分布し、地方によってさまざまな呼び名があります。カエルッパ(蛙っ葉)、カエル葉などという名前も。オオバコの葉は火で炙ると膨らむのですが、その姿がカエルの腹に似ていることから付けられたと言われています。花を咲かせるのは4月から9月頃にかけて。水を吸収することで糊のような粘液を含んでおり、踏みつけられると出てくるこの粘液が種子を守り、動物や人間の足を介して運ばれていくという生態があり、登山道など人が多く歩く場所によく自生しています。漢方ではオオバコの全草を「車前草」、種子を「車前子」と呼びますが、これも牛車や馬車が多く通る轍(わだち)によく生えることから付いた名だとされています。
オオバコ特有の粘液には人の粘膜を修復する働きがあり、気道の粘膜、のどの調子を整え、咳を鎮める効果があります。水溶性と不溶性の食物繊維がともに豊富なので、腸内環境を整え、便秘や下痢への効果も期待できます。便秘への効能については、厚生労働省の「特定保健用食品」として認可を受けているものもありますね。腸内環境が整うことでお肌の状態も整えるので、吹き出物やアトピー肌にも有効です。また、冒頭で取り上げたように糖の吸収を穏やかにすることから、コレステロール値や血糖値の降下作用など生活習慣病予防も期待できます。また、種子である車前子は、生薬としては、腎炎などで尿が出にくいときの利尿作用や、浮腫みの改善、下痢止めとして用いられています。
春から葉を大きく成長させるという点で、陰陽論では陰性のもの、漢方薬としても同様に体を冷やす「寒」の性質のものとして分類されています。ですので、冷え体質の人や妊婦は避けるほうが良いでしょう。また、摂り過ぎるとお腹が張り、便が緩くなって下痢気味になりかねませんので、注意が必要です。
体に良いものでも摂り過ぎて、自分のお腹がカエルのようにならないようにしたいですね。
【連載執筆者】
西下圭一(にしした・けいいち)
圭鍼灸院(兵庫県明石市)院長
鍼灸師
半世紀以上マクロビオティックの普及を続ける正食協会で自然医術講座の講師を務める。
連載『アロマテラピーをたずねて』96 認知症予防に効果ローズマリー
連載『アロマテラピーをたずねて』96 認知症予防に効果ローズマリー
2018.05.25
ローズマリーの青白い小さい花が、初夏の陽射しを浴びて満開です。地中海沿岸に分布するこのハーブが日本に渡来したのは、江戸時代初めの文政年間といわれています。シソ科の常緑低木で和名マンネンロウ、生薬名は迷迭香(めいてつこう)で、まっすぐに伸びる立性タイプと匍匐(ほふく)性タイプがあります。立性のローズマリーを庭に植えたことがありますが、私の身長くらいに成長しました。匍匐性タイプは、放置すると枝が暴れて見た目が悪くなるので、しっかり剪定をする必要があります。
有効成分はロスマリン酸で、抗酸化作用や殺菌作用が特長です。古代ギリシャの時代から記憶力や集中力を高めると伝えられ、若返りのハーブとしても有名でした。ハーブティーの要領で浸出液を作り、家庭でも化粧水やヘアリンス、入浴剤に役立てることができます。消化促進作用もあるので、脂っこいラム肉の料理などにもよく合います。
南フランスでは、「4人の盗賊のビネガー」というローズマリーにまつわるエピソードが知られています。昔、ペストが流行っていた時代に、ペストに罹患した人の家ばかりを狙って侵入していた泥棒がいたとのこと。彼らを逮捕すると、ビネガー(酢)に、ローズマリー、セージ、タイム、ラベンダーを浸けてハーブビネガーを作り、それを殺菌剤代わりに体に塗って侵入していたことが分かったという話です。
最近では、ローズマリーに含まれているロスマリン酸には「アルツハイマー型認知症」の予防効果が期待できるとの発表があります。脳組織内に沈着するアミロイドβタンパクの線維化を抑え、神経細胞の死滅を防止してくれる働きがあるとのこと。ロスマリン酸はポリフェノールの一種で、ペパーミントやスペアミント、レモンバームなどシソ科のハーブに多く含まれています。精油の場合は、モロッコやフランスで栽培されるシネオールタイプ、スペイン産のカンファータイプ、コルシカ島のベルベノンタイプの3種類が出回っています。精油はそれぞれの作用も異なるので、専門家のアドバイスを参考にしてください。
【連載執筆者】
山本淑子(やまもと・よしこ)
山本淑子ハーブ・アロマアカデミー校長
AEAJ認定アロマテラピープロフェッショナル
『ちょっと、おじゃまします』 ~アスリート界への還元を~ 大阪市阿倍野区<カラダコンディショニングミツ>
『ちょっと、おじゃまします』 ~アスリート界への還元を~ 大阪市阿倍野区<カラダコンディショニングミツ>
2018.05.25
「アスリートの世界は海外と比べて遅れていて、一握りを除いて『食っていける世界』とは言い難い。選手をサポートするネットワークを作って、そんな現状を変えたいんです」。そう語るのは、柔道整復師の光田昌平先生。学生時代から打ち込んできた柔道は4段、総合格闘技PANCRASE(パンクラス)で4年間プロ選手として活躍した根っからのスポーツマンです。
高校卒業後、推薦で専門学校に進学し柔整師免許を取得するものの、「まだ選手を続けたい」と、病院のリハビリ科に勤務しながら格闘家として活動する「二足のわらじ」の道へ。結婚を機に現役を引退後は、縁のあった整骨院で10年にわたり分院長を任されることに。この院も病院と連携しており、病院勤務と合わせて約15年間、医師と身近に接し、レントゲンやエコーについて教わったり、時に内科の業務を見学するなどしてきた経験が、独立した今も治療に生かされているそうです。
モットーは「患者さんのライフスタイルに飛び込む」こと。「スポーツ選手なら、無理を押しても間に合わせないといけない試合がある。自分にも腰椎分離症に苦しんだ経験がありますから、よく分かります。もちろん一般の方の仕事も同じこと」と語り、患者さんの目的意識に合わせて治療計画を組み立てます。施術は経験を基に編み出した独自の手技を中心に、フォームや姿勢に着目、局所治療に留まらず全体を治すことを心がけています。
スポーツ界への還元に向け、トレーナーや治療家による交流の場を定期的に主催。ロシアのナショナルオリンピックトレーニングセンターやスポーツ先進国として知られるフィンランドの施設を見学するなど、より良い環境を模索しています。「素質のある選手がやめていく悲しい光景を少しでも減らし、セカンドキャリアの道も広げていきたいんです」と語ってくれました。
光田昌平先生 平成17年、北信越柔整専門学校卒業。同年柔道整復師免許取得。平成27年開業。36歳
今日の一冊 生命を支えるATPエネルギー メカニズムから医療への応用まで
今日の一冊 生命を支えるATPエネルギー メカニズムから医療への応用まで
2018.05.25
生命を支えるATPエネルギー メカニズムから医療への応用まで
二井將光 著
ブルーバックス 1,080円
筋の収縮や神経の伝達、物質の輸送、代謝、遺伝子の複製などに不可欠なエネルギーを持つ、ATP(アデノシン3リン酸)。ヒトを含めた全ての生物の生命活動はATPによって支えられており、成人の場合、1日で消費されるATPは65~70kgに上る。また、ATPを取り巻く酵素やタンパク質に不具合が生じると、様々な難病や癌、胃潰瘍、骨粗鬆症、認知症などを引き起こすという。ATP研究の第一線を走り続けてきた著者が、ATP合成の仕組みから医療への応用まで、最新の知見を交えながら解説する。
『医療は国民のために』247 「協定」と「契約」を合わせた「協約」の新規締結に向けて尽力を
『医療は国民のために』247 「協定」と「契約」を合わせた「協約」の新規締結に向けて尽力を
2018.05.10
これまで私は柔整療養費の「協定」と「契約」の違いや歴史的経緯を踏まえ、協定を廃止して契約に統一する必要性について訴え、講演会でも主張してきた。そろそろ機が熟してきた感がある。実現の具体的な時期が「いつ」とは言えないが、「方向性」は間違いなくできている。なぜなら、今年10月スタートのあはき療養費の受領委任において、協定は除外され、「契約一本」で実施されることが決定されたからだ。今後、公益社団法人日本柔道整復師会(日整)や各都道府県社団がいかに反論しても時勢がこれを許さないだろう。 (さらに…)
連載『不妊鍼灸は一日にして成らず』2 経緯
連載『不妊鍼灸は一日にして成らず』2 経緯
2018.05.10
「減数分裂で卵子は変な分裂をするんや。卵子にはすごい栄養が要るらしいで!」。高校時代、後に某国立大学の生物学の教授になる親友が私にそう言いました。よもやこの一言が今の私の研究にリンクするとは、その頃は夢にも思いませんでした――。
細胞観察の精度は、50~60年前から普及し始めた電子顕微鏡によって飛躍的に向上しました。 (さらに…)
連載『織田聡の日本型統合医療“考”』91 待つ時間と移動の時間~医療のイノベーション~
連載『織田聡の日本型統合医療“考”』91 待つ時間と移動の時間~医療のイノベーション~
2018.05.10
幼い頃、私は体が弱く、幼稚園の出席日数も2年間で半分程度でした。その分、他の子よりも病院での思い出が多くあります。今でもまあ覚えているもので、実家近くのよく通った、今は無き診療所の待合室の間取りとか、壁に貼られたポスターとか、県立病院の待合室のソファーを伝って歩いて母親に「ジッと座っていなさい」と怒られたこととか、駐車場の片隅にあるたこ焼き屋を、買ってもらえず恨めしそうに眺めて帰る車中とか……考えてみると、病院でのほとんどの思い出は待っていた時の記憶です。 (さらに…)