連載『織田聡の日本型統合医療“考”』103 中国・瀋陽への旅
2018.11.10
私が初めて中国へ旅したのは18歳の時でした。北京~上海~南通と、都市から田舎まで見て歩いたのが懐かしいです。当時の北京は、日本と比較しても途上国そのもので、ものすごい自転車の数に圧倒されました。また、渡れない横断歩道、故障車を手で押している者をしばしば見かける高速道路、真っ暗な田舎道から無灯の自転車が突然街路灯のある道へ飛び出し再び暗闇へと消えていく光景……。もちろん、トイレは男女別れていても仕切りがなく汚く、屋台のビールは冷えていない。
そのような中国を28年ぶりに訪問しました。あまりの変わりように驚くと事前に言われてはいましたが、ただただ焦りのみを感じる訪問となりました。今年は香港から深センへと調達へも足を運んでいます。大陸のパワーについては28年前と変わっておらず、人々のギラギラとした生きるエネルギーを感じましたが、デパートでは偽物ばかりが並び、道にはゴミが転がり、「まだまだかな」と感じていました。
ところが、今回瀋陽へと向かい、私の印象は全く異なるものになりました。空港はとても明るくきれいで、日本や米国の地方の空港と比較しても見劣りすることはありません。道路や鉄道などは整備され、現在地下鉄の工事の真っ最中。レストランやホテルも素晴らしく、同時に何棟も建てられた同じデザインのビルも多いこと。何より人々の目に力があり、活気に溢れています。「ここでは日本は負けている」と焦りしか出てきませんでした。
さて、私が開発に関与した、微弱電流を利用したあん摩・マッサージが可能となる手袋『Rakulease』(ラクリス)という機器は、いわゆるEMSの類ですが、今までとは大きく異なるものになっています。既に全国の医療機関や治療院、サロンにも導入が始まりました。非常に評判が良いため、中国の瀋陽に『Rakulease』専用のサロンをオープンしました。前述の瀋陽訪問は、そのオープニングセレモニーに参加するためです。サロンは、富裕層が暮らすマンションの一角にあり、この内装工事の規模と工期を聞き、あまりにも早い工期にびっくりしました。「あぁ、中国がローエンド型破壊的イノベーションを世界の市場に向けて引き起こしている」と感じました。
中国を訪問したことのない方は、機会があれば行かれることをお勧めします。日本の閉塞感でいっぱいの日常に「焦り」というカンフル剤を与えてくれます。日本の医療業界は保守的で、変化が苦手です。ジワジワと迫り来る日本の医療財政の危機に、「このままではマズイ」と気が付いて、どう行動すべきなのか考えさせてくれます。
【連載執筆者】
織田 聡(おだ・さとし)
日本統合医療支援センター代表理事、一般社団法人健康情報連携機構代表理事
医師・薬剤師・医学博士
富山医科薬科大学医学部・薬学部を卒業後、富山県立中央病院などで研修。アメリカ・アリゾナ大学統合医療フェローシッププログラムの修了者であり、中和鍼灸専門学校にも在籍(中退)していた。「日本型統合医療」を提唱し、西洋医学と種々の補完医療との連携構築を目指して活動中。