連載『織田聡の日本型統合医療“考”』131 新型コロナウイルス
2020.01.24
昨年末から、新型コロナウイルスの話題がメディアをにぎわせていますね。17~18年以上前のSARS、新型肺炎パンデミックを思い出します。
コロナウイルスは、ヒトや動物の間で感染症を引き起こすウイルスです。風邪症状を引き起こすHCoV-229E・HCoV-OC43・HCoV-NL63・HCoV-HKU1の4種類、深刻な呼吸器疾患SARSを引き起こすSARS-CoVとこれも重篤な呼吸器感染症であるMERS(中東呼吸器症候群)を引き起こすMERS-CoVの2種類と、これまで計6種類が知られていましたが、昨年12月以降、中国湖北省武漢市に居住する者を中心に新型コロナウイルス(nCoV)の患者が断続的に報告されて、7種類目のコロナウイルスとなりました。このウイルスの全塩基配列は既に、中国からWHOに提供されており、検査体制も整備されつつあります。先日、中国より「ヒトからヒトへの感染が確認された」という報告もありましたが、感染ルートの詳細はまだはっきりしていません。テレビのワイドショーなどでもこの話題が扱われていますので、不正確な情報や誤解が広がることも心配されます。鍼灸・柔整の臨床で、もしこのウイルスについて患者さんから聞かれることがあったなら、できるだけ正確な情報の提供に努めていただきたいと思います。国立国際医療研究センター国際感染症センターからのオフィシャルな情報が参考になるでしょう(http://dcc.ncgm.go.jp/)。
ところで、SARSのパンデミックの際には致死率が全体の9・6%、65歳以上で50%以上であったことを考えると、nCoVによる肺炎はこの原稿の執筆時点で3名の死亡者が出ているものの、どうやらSARSほどの致死率ではなさそうです。それでも、日本での流行が懸念されます。予防方法は他の風邪予防と同様で、手洗い、うがい、咳エチケットなど。特に不特定多数の患者さんと接する機会の多い方は、スタンダードプレコーション(標準感染予防策)に努めてください。スタンダードプレコーションとは、全ての人が伝播する病原体を保有していると考えて行動することで、具体的には、①手洗い ②手袋 ③マスク・ゴーグルの着用 ④ガウンの着用 ⑤器具の洗浄等 ⑥リネンの洗浄等が挙げられます。これら全てを実行するのは難しいかもしれませんが、「全ての人が感染源であり得る」という意識は、臨床家として普段から持っていていただきたいものです。
【連載執筆者】
織田 聡(おだ・さとし)
日本統合医療支援センター代表理事、一般社団法人健康情報連携機構代表理事
医師・薬剤師・医学博士
富山医科薬科大学医学部・薬学部を卒業後、富山県立中央病院などで研修。アメリカ・アリゾナ大学統合医療フェローシッププログラムの修了者であり、中和鍼灸専門学校にも在籍(中退)していた。「日本型統合医療」を提唱し、西洋医学と種々の補完医療との連携構築を目指して活動中。




