連載『あはき師・絵本作家 かしはらたまみ やわらか東洋医学』72 素問・三十四『逆調論』
2024.12.25
王様
「人が熱で胸苦しくなるのはなぜだろう?」
岐伯
「それは陰気が少なく、陽気が勝っているからです」 (さらに…)
連載『あはき師・絵本作家 かしはらたまみ やわらか東洋医学』72 素問・三十四『逆調論』
連載『あはき師・絵本作家 かしはらたまみ やわらか東洋医学』72 素問・三十四『逆調論』
2024.12.25
王様
「人が熱で胸苦しくなるのはなぜだろう?」
岐伯
「それは陰気が少なく、陽気が勝っているからです」 (さらに…)
今日の一冊 アリの巣をめぐる冒険―昆虫分類学の果てなき世界
今日の一冊 アリの巣をめぐる冒険―昆虫分類学の果てなき世界
2024.12.24
丸山宗利 著
幻冬舎新書 1144円
「好蟻性昆虫」という言葉を聞いたことがあるだろうか? アリと生活を共にする昆虫の総称で、アリと支え合うもの、一方的に利益を享受するものなど、実に数千に及ぶという。
本書はそうした昆虫に魅せられた著者が、研究者としての半生をまとめたもので、その生態や研究の様子などを精細な写真付きで解説する。彼らは進化の結果、今の姿をしているのだが、あまりの先鋭化に驚くほかない。
また、フィールドワークや収集の様子も細かに描写されており、新種発見の瞬間を追体験した時、きっと声が漏れるだろう。
連載『食養生の物語』139『お酒を嗜む』
連載『食養生の物語』139『お酒を嗜む』
2024.12.23
年の瀬を迎えました。今年は例年より年末年始は休みが長くなり、人と会ってお酒を口にする機会も増えそうです。
「酒は百薬の長」といわれます。食前酒として胃腸の働きを活発にし、血液の循環をよくして気持ちを楽しく盛り上げたり、人間関係を潤滑にしたりと、ちょっとした不調なら吹き飛ばしてしまう面はあるのでしょう。
12月に入って、日本の「伝統的酒造り」が無形文化遺産に登録決定とのニュースが入ってきました。日本酒や焼酎、泡盛といった日本の「伝統的酒造り」がユネスコの無形文化遺産に登録されると決まったのです。奈良時代にはすでに麹を使用して日本酒が造られていたと分かっており、室町時代には「伝統的酒造り」の原型が確立していたとされています。500年以上も前から「米や麦などを蒸す」「こうじを作る」「もろみを発酵させる」など、伝統的な技術が各地の気候や風土に応じて発展しました。自然と深く結びつき伝承されてきたこと、儀式や祭礼など日本の文化で重要な役割を果たしてきたことも評価されているのでしょう。 (さらに…)
連載『柔道整復と超音波画像観察装置』237 変形性膝関節症の治療評価における 超音波画像診断の有用性について
連載『柔道整復と超音波画像観察装置』237 変形性膝関節症の治療評価における 超音波画像診断の有用性について
2024.12.21
宮嵜潤二(筋・骨格画像研究会)
変形性膝関節症(膝OA)は中高齢者に多く見られる慢性関節疾患であり、軟骨の変性、滑膜炎、関節液の増加などが特徴である。従来の放射線診断法は骨構造の評価には優れるものの、軟部組織の変化や炎症の早期検出が困難である。MRIは精度が高い一方でコストや利用可能性に制限があり、これらの代替として注目されているのが超音波画像観察装置である。本レビューでは、超音波による膝OAの診断と治療モニタリングの有用性について、近年の研究を基に評価する。
1.軟骨評価
超音波検査による大腿骨軟骨の評価では、OA群で有意な菲薄化が認められた。Paneらの研究では、OA群(1.49~1.63mm)が健常群(1.68~1.87mm)と比較して薄く(P<0.05)、特に内側顆部での差が顕著であった。Piccoloらの研究ではMRIとの高い相関(r=0.82~0.96)が報告された。
2.滑膜評価
Jiangらの3,755名を対象とした研究では、滑膜肥厚(≥4mm)の有病率は18.1%(男性20.2%、女性16.5%)と報告された。滑膜異常と膝痛の関連について、調整オッズ比は2.39(95%CI: 2.00~2.86)と関連を示した。Okanoらは、グレースケールとパワードプラ法の併用による滑膜炎の活動性評価の有用性を報告し、特に治療効果判定における意義を強調している。Panらの研究では、滑膜増殖の検出において94.92%の感度を示した。 (さらに…)
『ちょっと、おじゃまします』「私ならではの鍼灸」を選んでもらうために 東京都太田区<HARIKO>
『ちょっと、おじゃまします』「私ならではの鍼灸」を選んでもらうために 東京都太田区<HARIKO>
2024.12.18
鍼灸にあらゆるジャンルのセルフケアの指導を組み合わせ、完全紹介制で治療を行う君島三佐子先生。興味や活動は多岐にわたり、話を聞くのも楽しみに訪れる開院当初からの患者さん中心の治療院になっています。
育児を通し、子どもや自身の身体の変化と向き合ってきた君島先生。ヨガのインストラクター資格の取得にはじまり、アーユルヴェーダ、サウナ、食……と様々な方法に興味をもち実践してきました。また小学校教諭の経験もあり、子どもたちと接し続けたいという希望が強い中で、育児と両立して社会と関われる仕事を模索している時に鍼灸に出会い、「自分の興味や経験が全てつながる!」と確信したそう。 (さらに…)
Q&A『上田がお答えいたします』無資格者の広告規制は永遠に取り締まれない?
Q&A『上田がお答えいたします』無資格者の広告規制は永遠に取り締まれない?
2024.12.15
Q.
あはき師・柔整師の広告に関する厳しい規制が明記されたガイドラインが近いうちに出されると耳にしています。一方、無資格者の行為や広告はほとんど規制されないようですが、なぜ取り締まりができないのですか?
A.
6年以上に及ぶ議論の末、厚労省が設置した「あはき師・柔整師等の広告に関する検討会」がようやく広告ガイドライン(案)を今夏にとりまとめて、発出に向けた手続きを進めているようです。この年末年始あたりに、医政局長通知として発出されるのではと見込んでいます。ご質問の通り、あはき師法と柔整師法により、法令で認められた広告以外は禁止なので、施術者は「あれもダメ、これもダメ!」との趣旨に従ってガイドラインは策定されます。
一方、無資格者の行為については法律が存在しないため、当然取り締まることもできないし、広告を規制する有効な対策も打ち出せません。残念なことに、今回の広告ガイドラインでもそのようになっています。
無資格者に関してガイドライン上で言及されたことは一歩前進かもしれませんが、関係団体等による「自主的な取り組みを促す」との書きぶりで、全く具体的な提言も方向性さえも示されていないのです。ガイドラインの中には、 (さらに…)
連載『未来の鍼灸・柔整を考える』第22回 還元型社会と鍼灸・整骨院―ソーシャル・インパクト・ボンドとは?
連載『未来の鍼灸・柔整を考える』第22回 還元型社会と鍼灸・整骨院―ソーシャル・インパクト・ボンドとは?
2024.12.12
鍼灸・整骨院はコンビニよりも数が多いことが知られています。そう考えると、鍼灸・整骨院が地域にどのように関わっていくのかで地域の健康・医療は大きく変わっていくと思われます。
現在の鍼灸・整骨院の業務は、主に患者さんへの治療です。しかしながら、これからの時代では、治療だけでなく、健康教室やwell-beingに関する事業も地域の健康を考える上で大切になるでしょう。しかし、地方自治体にも潤沢な資金があるわけではないので、現段階では健康教室などの予防事業は保健事業として積極的には行われていません。
ただ、地方自治体の資金が潤沢になることは実質難しいでしょう。となると、行政や地域からお金が貰えなければやらないという発想を変えなければなりません。そこで、注目されているのがソーシャル・インパクト・ボンド(Social Impact Bond;以下、SIB)という考え方である。 (さらに…)
『ちょっと、おじゃまします』刺さない鍼で元気で楽しく生きる手伝いを 東京都品川区
『ちょっと、おじゃまします』刺さない鍼で元気で楽しく生きる手伝いを 東京都品川区
2024.12.11
鍼灸が自分にも人にも助けになると経験をもって実感している小林けさみ先生。刺さない鍼の訪問治療を行っているほかに、鍼灸業界をより良くする活動にも力を入れています。
鍼灸を受けたきっかけは保母だったころ、肩こりや腰痛に効くと勧められたから。刺す鍼は苦手で効果も実感できない中、刺さない鍼を行う一ノ瀬宏先生(鍼灸和友堂)に出会い印象が一変。初めてリラックスして治療を受け「きれいな空気がすーっと入って身体が軽くなった!」と感激しました。 (さらに…)
連載『汗とウンコとオシッコと…』244 賊風
連載『汗とウンコとオシッコと…』244 賊風
2024.12.10
12月に入ってようやく寒くなり一気に紅葉が始まった。だが、日中は15度以上もあり、初めてモミジの紅葉と皐月・シャクナゲの開花を同時に見た。こんな気候は身体に実に堪える。こうなるとまず、衛気の発散が狂い血圧のコントロールが難しくなる。体幹血圧が上昇し、夕方急に眠くなったり、頭痛や眩暈、耳鳴がしたり、逆に朝に起きられず夕方から楽になるケースもある。上焦だけの回転が上がり身熱症状と膈下の厥冷症状が現れ、いわゆる木象と火象が冬になって暴れてしまう上熱下冷虚となるわけだ。
「以前にメニエールでお世話になりましたね」 (さらに…)
連載『中国医学情報』237 眼筋型重症筋無力症への灸頭鍼併用治療効果―現代薬単独群とランダム化比較 ほか
連載『中国医学情報』237 眼筋型重症筋無力症への灸頭鍼併用治療効果―現代薬単独群とランダム化比較 ほか
2024.12.05
☆眼筋型重症筋無力症への灸頭鍼併用治療効果―現代薬単独群とランダム化比較
空軍杭州特勤療養センター・周来らは、眼筋型の重症筋無力症(MG)の患者で現代薬単独群と灸頭鍼併用群を比較(上海鍼灸雑誌、2023年11期)。
対象=同センターの92例。これをランダムに単独群・併用群各46例に分けた。単独群は、平均約45±5歳、平均罹患期間3.64±0.53年、眼瞼下垂片側25例・両側21例。併用群は、平均約44±6歳、平均罹患期間4.05±0.61年、眼瞼下垂片側24例・両側22例。
治療法=両群とも4週間。
<現代薬>常軌治療採用。ピリドスチグミン臭化物製剤と酢酸プレドニゾロンを服用。治療過程中、病状により薬剤量を調整。
<灸頭鍼>現代薬に併用。
①取穴―足三里・合谷・豊隆・三陰交・血海・気海。調整穴:下痢に中脘、発汗過多に水道、歩行障害に委中を追加
②操作―毫鍼で平補平瀉法。得気後に約2cmの灸頭鍼艾を着け点火、毎回30分間、毎日1回、毎週5回
観察指標=
①炎症因子:IL-6・18・27、TGF-β1、補体C3・4、Achrab
②免疫因子:CD4/CD8比、CD4陽性T細胞、CD3陽性T細胞
③生活の質:MG-QOL15
④絶対的MGスコアリングシステム:ASMG(嚥下機能・下肢疲労度・顔面筋筋力・呼吸機能・眼球水平運動度・上瞼筋力・上瞼疲労度・上肢疲労度などで合計60点。中国独自のもの)
結果=「単独群」:治癒15例・著効14例・有効5例・無効12例・総有効率73.9%、「併用群」:治癒19例・著効21例・有効3例・無効3例・総有効率93.5%。
治療前→治療後の指標の一部を示すと、①IL-6:単独群50.38±6.15→34.60±4.19、併用群50.92±6.67→23.18±3.27。②CD4陽性T細胞:単独群54.15±6.06→48.05±5.83、併用群53.61±6.37→39.14±4.94。③MG-QOL15:単独群23.09±4.27→16.04±2.06、併用群23.51±4.67→13.17±2.53。以上、いずれも併用群が単独群より有意に改善(P<0.05)。
☆女性の軽・中等度腹圧性尿失禁の鍼併用治療―骨盤底筋訓練単独群とランダム化比較
山東中医薬大学・姜偉らは、軽・中等度腹圧性尿失禁の女性患者で、骨盤底筋訓練単独群と鍼併用群を比較(鍼灸臨床雑誌、2023年11期)。
対象=済南市中医病院の66例。これをランダムに単独群・併用群各33例に分けた。単独群は、平均57.6±5.93歳、平均罹患期間3.39±1.58年。併用群は、平均56.1±6.09歳、平均罹患期間3.58±1.52年。
治療法=両群とも8週間。
<骨盤底筋訓練>仰向けで膝を曲げ、吸気時に肛門周囲の筋肉を収縮し5~10秒間維持、呼気時に緩め10~15秒間休息、これを10回繰り返す。毎日3度・毎週連続5日(休み2日)。
<鍼治療>
①取穴―「横骨三鍼」:腹部の曲骨穴と左右の横骨穴。以上3穴は、導師の経験により、押手で穴を撫で探り最も圧痛の著明な所を取る(多くは恥骨結合と両側の恥骨にある)
②操作―治療前に膀胱を空にさせ、0.30×65mmの鍼で、曲骨穴は直刺約50mm、鍼が靱帯や線維軟骨に到り渋滞感があったら停止、局所に刺痛感や会陰部への放散のあるのが良い。横骨穴は、鍼先を曲骨穴方向の恥骨に向け約55mm刺し、局所に刺痛感や会陰部・大腿内側への放散のあるのが良い。そして置鍼30分間。毎日1回・毎週5回
観察指標=
①padテスト:水分摂取後に、60分間決められた動作や運動を行い検査前後のパッド重量を計測
②72時間失禁回数:排尿日記に連続3日間の失禁回数を記録
③国際尿失禁会議の尿失禁症状・QOL評価質問票(ICIQ-SF)
④ハミルトンうつ病評価尺度(HAM-D)
結果=「単独群」:治癒2例・著効5例・有効21例・無効5例・総有効率(有効以上)84.8%、「併用群」:治癒5例・著効14例・有効12例・無効2例・総有効率93.9%で、併用群の総有効率は単独群と有意差あり(P<0.05)。
指標の数値(前→4週後→8週後)は、
①(㎖):単独群8.03±1.59→7.12±1.82→5.21±2.58、併用群7.42±1.66→6.61±1.68→3.30±2.05
②(回):単独群.15±1.35→5.58±1.25→4.06±1.48、併用群5.64±1.25→4.82±1.47→2.13±1.36
③(点):単独群9.97±1.78→8.67±1.83→5.88±2.89、併用群10.10±1.84→8.27±1.51→3.97±2.56
④(点):単独群24.1±2.79→20.3±2.93→15.8±3.66、併用群24.7±1.91→18.4±2.51→10.5±2.59
以上、併用群の8週後の数値はいずれも単独群と有意差あり(P<0.05)。
【連載執筆者】
谷田伸治(たにた・のぶはる)
医療ジャーナリスト、中医学ウォッチャー、鍼灸師
早稲田鍼灸専門学校(現人間総合科学大学鍼灸医療専門学校)を卒業後、株式会社緑書房に入社し、『東洋医学』編集部で勤務。
その後、フリージャーナリストとなり、『マニピュレーション』(手技療法国際情報誌、エンタプライズ社)や『JAMA(米国医師会雑誌)日本版』(毎日新聞社)などの編集に関わる。
連載『先人に学ぶ柔道整復』四十三 天神真楊流柔術(後編)古くは東洋医学を用いて「当身」を説明
連載『先人に学ぶ柔道整復』四十三 天神真楊流柔術(後編)古くは東洋医学を用いて「当身」を説明
2024.12.04
柔整師に縁深い天神真楊流柔術について、今回は「医学要素」を紹介したいと思います。
天神真楊流柔術の伝書『柔術経絡人之巻』(鈴鹿家蔵)にみられるように、1841年の江戸後期頃になると、既に経絡を中心とした東洋医学を大いに援用していることが分かります。創始者・磯又右衛門はおそらく楊心流柔術と真之神道流柔術からの知識・技術に加え、経絡も勉強していたと推察されます。
ただし、全ての医学知識を経絡に頼っていたわけではなく、同流柔術の特徴である当身(急所)に関して、東洋医学の用語を用いて説明をしているのです。例えば、当身「松風」は以下のように記されています。
松風の殺は喉の当也。此経は気往来する所の道路也。人間上焦に咽喉の二つ左右に分れて二管有。一つは水穀の道路。其一也、息管と云物あり。一尺二寸九節ありて、肺の臓に系統して有物なり。此裏に十律備り人間の韻声は此肺より出る也。味は争いを好む。活は則大腸を摩回を致す。諸経の当、是を以可レ知。
この松風では、東洋医学での用語として、「気」「上焦」「水穀」などを使用しています。
また、下記の図で示した『天神真楊流当身』では、当身について説明している人体図において、 (さらに…)
『医療は国民のために』401 オンライン請求は過誤調整等の問題を前に法改正をしないまま運用可能か?
『医療は国民のために』401 オンライン請求は過誤調整等の問題を前に法改正をしないまま運用可能か?
2024.12.01
今秋より議論が再開された柔整療養費のオンライン請求について、仮に法改正を行わずに導入されるとしたら、いくつか法令と通知の間で齟齬が生じる問題が発生するだろう。国側も既に把握しているようで、「過誤調整としての相殺処理」や「保険者の有する支給決定権を審査支払機関へ権限移譲」をはじめ、「署名・代理署名の取扱い」などを議題に取り上げる予定としているようだ。
療養費は法令上の帰属主体が被保険者(国保は世帯主)であるから、これを「施術者の債権」とするためには、療養の給付と同様の扱いとする法改正を要する。また、保険者の裁量に委ねられている現在の支給決定権についても、社会保険診療報酬支払基金・国保連を審査支払機関に権限移譲する問題も同じだ。つまり、既に走り出している医科・歯科・調剤でのオンライン請求システムに (さらに…)
連載『生殖鍼灸から始まる領域拡大』2 慌ただしい1日
連載『生殖鍼灸から始まる領域拡大』2 慌ただしい1日
2024.11.25
7年前に左鼠径ヘルニアの手術する際、術式の選択を提案され、私は「帝王切開する人の気持ちを理解するために開腹で」と告げました。そして今回、鶏卵大の右鼠径ヘルニアの術式は腹腔鏡下を選択。諸検査と共に、人生初めて胃カメラと大腸カメラを受けることにしました。
前夜からの絶食。下剤の服用。「この下剤は、数滴で下痢します」と脅されたものの、10ml(200滴以上分)を服用しても、脂っこいラーメンほどの下痢はせず。さて検査後はすぐに仕事に戻らねばならないので、麻酔なしで行いました。まずは胃カメラ。口からチューブを入れられ、ごぼごぼと嚥下反射を起こしつつ奥へ奥へ。胃の中がよく見えるように空気を入れて膨らませると、よだれとゲップがとめどなく出てきます。背中をさすってもらい10分足らずで終了。 (さらに…)
今日の一冊 ペンギンは歴史にもクチバシをはさむ 増補新版
今日の一冊 ペンギンは歴史にもクチバシをはさむ 増補新版
2024.11.25
上田一生 著
青土社 3,520円
本書は日本でも大人気のペンギンの不思議な生態……ではなく、人間とのかかわり、いわばペンギン文化史が語られる。
長い間、ペンギンは人類にとって食料・資源であったといい、大航海時代以降の乱獲など現代の価値観では野蛮にも映る数々の所業に触れる。その後、20世紀初頭から他生物との共存「動物愛護」へと大きく潮流が変わり始めたことで関係は一気に変化し、現代のそれへと近づいていく。
近年、彼らは環境変化に敏感であることが分かっており、個体数の減少は人類が地球に与える影響そのものと警鐘を鳴らす。
連載『食養生の物語』138『令和の米騒動から』
連載『食養生の物語』138『令和の米騒動から』
2024.11.23
今年話題になった言葉を選ぶ「新語・流行語大賞」の候補に、「令和の米騒動」がノミネートされました。米が一部の売場から消え、価格が高騰したのは記憶に新しいでしょう。出来が悪かったところに、地震や台風の影響から備蓄する動きが重なったのが原因のようです。
実際には30年前の「平成の米騒動」のときほど収穫量が減ったわけではなく、米不足は落ち着きを取り戻しつつあります。一方で、加工用になる米粒が小さく安価な米の収穫量は減っており、米の価格上昇はまだ続きそうです。昨今の物価上昇において値上げも仕方のないことかもしれません。 (さらに…)
『ちょっと、おじゃまします』 患者さんが納得するまで、諦めちゃいけない 大阪市東住吉区<はり処せと>
『ちょっと、おじゃまします』 患者さんが納得するまで、諦めちゃいけない 大阪市東住吉区<はり処せと>
2024.11.22
「治療家は絶対に諦めちゃいけない」。力強く語るのは、はり処せとの瀬戸健司先生。治療家を目指したきっかけを尋ねると、独立開業する職につきたかった、とサッパリした回答。知識ゼロから整骨院でアルバイトを始め、並行して西日本柔道整復専門学校へ通い、柔整師免許を取得しました。鍼灸師免許も取得し、大阪や奈良の治療院に勤めたのち、奈良で訪問治療を中心に開業。その後、大阪に移り、はり処せとを開業したといいます。
瀬戸先生が今、最も注力しているのはルート鍼という治療法。 (さらに…)
連載『柔道整復と超音波画像観察装置』236 変形性膝関節症の一症例と描出のポイント
連載『柔道整復と超音波画像観察装置』236 変形性膝関節症の一症例と描出のポイント
2024.11.21
松本尚純(筋・骨格画像研究会)
総務省統計局によると2022年9月15日時点で、日本の65歳以上の高齢者は3,627万人で、総人口に占める割合は29.1%と過去最高を記録している。同時に高齢人口の増加に伴い、健康維持を目的としたスポーツやウォーキング、筋トレなどに励む人も相対的に増加し、荷重関節である膝痛に悩む来院者は増加傾向にあるように感じている。繰り返し使用することにより発生する軽度~重度の膝関節の負傷も散見する中で、今回は変形性膝関節症(以下膝OA)について紹介する。
80歳男性。歩行中、右膝崩れを起こし負傷。両側の膝OA。歩行痛および内側裂隙部周辺の疼痛、軽度腫脹。徒手検査による前、後十字靭帯並びに内外側側副靱帯の損傷なし。有痛性跛行。
【画像①】のようにO脚で明らかな変形がある場合には、大腿骨内側顆もしくは脛骨内側顆に骨棘がみられる。また内側側副靱帯より中心部に腫脹や水腫の状態も確認した。
(さらに…)
『ちょっと、おじゃまします』鍼灸好きの輪が広がる治療院に 兵庫県姫路市<美容鍼灸サロンGRITGRIN>
『ちょっと、おじゃまします』鍼灸好きの輪が広がる治療院に 兵庫県姫路市<美容鍼灸サロンGRITGRIN>
2024.11.18
鍼灸は自身の個性を強みにできる仕事だと話す實明日香先生。鍼灸の良さを患者さんと共有することを楽しみながら、身体・美容の両方の不調やトラブルの治療をしています。
自身は鍼灸を受けたことなかったのですが、開業が目指せる職業であるところに魅力を感じ養成校に入学しました。ところがその直後、環境の変化で体調を崩してしまい養成学校の附属施術所で全身治療を受けることに。初めて身体の不調のみならずメンタルにも効果があることを実感しました。また、 鍼灸院はケガやトラブルが生じてから来院する場所だというイメージをもっていましたが、学生の頃から助手として勤務した治療院では、不調が強い症状に発展する前に定期的に来院するなど、鍼灸治療が生活の一部になっている患者さんが多く「私もそんな治療院をしたい」と感じたそう。 (さらに…)
Q&A『上田がお答えいたします』「法令」と「通知」はどちらが優先される?
Q&A『上田がお答えいたします』「法令」と「通知」はどちらが優先される?
2024.11.15
Q.
療養費における受領委任は、「委任行為」という位置づけなので民法が適用されると考えますが、民法とは別に、健康保険法や国民健康保険法などの保険運用に特化した個別の法律もあります。また厚労省通知もあり、これら法令との間で齟齬や不一致があった場合、どれが優先されるのでしょうか。
A.
なかなか専門的な難しいご質問ですね。民法は広く国民生活に関わる決め事を規定している大掛かりな法律で、これを一般法と言います。一般法とは、その分野に対して一般的に適用される法であり、特別法がない限り適用されます。そして、健康保険法や国民健康保険法は特別法になりますので、一般法より常に優先します。このことから、一般法である民法と特別法である健康保険法等で異なった規律を定めている場合、特別法である健康保険法の適用を受けます。結果として、一般法の民法の規律が排除され、健康保険法等の規律が適用されることになります。
では、厚労省の保険局長通知の法令との優先度はどうでしょうか。受領委任の取扱いを定めたこの保険局長通知は民法に優先する、と厚労省は公言しています。例えば、 (さらに…)
連載『未来の鍼灸・柔整を考える』第21回 パブリックヘルスとしての東洋医学
連載『未来の鍼灸・柔整を考える』第21回 パブリックヘルスとしての東洋医学
2024.11.12
健康寿命の延伸が国の目標となった現代では、パブリックヘルス(公衆衛生)の基本にあるのは病気の治療や予防だけでなく、well-beingの向上を含めた健康的なライフスタイルを推進することです。
そもそも、パブリックヘルスとは「共同社会の組織的な努力を通じて、 疾病を予防し、寿命を延伸し、身体的・精神的健康と能率の増進をはかる科学・技術である」とされています。また、パブリックヘルスは集団の健康を対象にするものとされ、個人の疾病を対象にするものは臨床医学といいます。
そのため、健康・医療に対するパブリックヘルスの考え方は、社会や環境、時代とともに変化するはずです。特に現在では健康寿命の延伸が求められています。 (さらに…)