あはき療養費検討専門委員会 第12回会議
2017.02.25
業界「あはき独自の新たな受領委任を」
保険者「保険者機能を発揮する環境が先」
2月15日、あん摩マッサージ指圧、はり・きゅう療養費検討専門委員会の第12回会議が都内で開かれた。昨年末より月1、2回のペースで開催されており、平成28年度中に明確な方向性を示すと期限を定めている「受領委任導入」について議論が行われた。
保険者側委員の髙橋直人氏(全国健康保険協会理事)は、事務局の厚労省が今回提示した、償還払いと代理受領と受領委任での不正・給付費を比較した資料(下図参照)に言及。代理受領から受領委任に変更した場合、不正や給付費は変わらないとする記載に対し、「資料の作り方がおかしい。受領委任を持ち出さなくても、単に代理受領において、施術所としか契約できず、請求代行業者とは契約できないとする規制を加えれば良いだけだ」と厚労省に疑念を示した。これに対し、日本鍼灸師会理事の中村聡氏が、あはき療養費の請求は後期高齢者医療広域連合と市町村国保が大半を占めており、その後期高齢者医療広域連合では全都道府県、国保では7割以上が代理受領に応じている現状を鑑みれば、給付費は変わらず、ましてや急増するとは考えにくく、また受領委任導入で施術所の指導監督も可能になると主張した。
■厚労省提出の支払方法で比較した図
全日本鍼灸マッサージ師会副会長の往田和章氏は、「柔整の受領委任をそのままあはき療養費に導入してほしいと要望しているわけではない」と新たな仕組みとしての導入を提案。鍼灸・あん摩マッサージと柔道整復では、疾患や年齢など患者層は大きく異なり、医師の同意という存在が適正な運用に寄与する点を強調した。有識者委員の清水惠一郎氏(東京内科医会副会長)は、「高齢社会が進展し、疾病構造が変わってきたので、当然柔整とは異なる新しいシステムを作らなければならない。でなければ、この議論は永遠に続いてしまい、その間、困るのは患者さんです」と述べた。
保険者側は依然として受領委任導入に強く反対しており、今以上に保険者機能を発揮できるよう国が推進・指導していくことが適正化につながるとし、この議論よりも優先すべきだと求めた。