連載『やわらか東洋医学』72 素問・三十四『逆調論』
2024.12.25
王様
「人が熱で胸苦しくなるのはなぜだろう?」
岐伯
「それは陰気が少なく、陽気が勝っているからです」 (さらに…)
連載『やわらか東洋医学』72 素問・三十四『逆調論』
連載『やわらか東洋医学』72 素問・三十四『逆調論』
2024.12.25
王様
「人が熱で胸苦しくなるのはなぜだろう?」
岐伯
「それは陰気が少なく、陽気が勝っているからです」 (さらに…)
診療所勤務のあマ指師が2,000人割る、令和5年調査
診療所勤務のあマ指師が2,000人割る、令和5年調査
2024.12.24
柔整師も病院・一般診療所ともに減少
病院・一般診療所で働くあん摩マッサージ指圧師と柔整師の減少傾向が止まらない。厚労省が11月22日に公表した「令和5年医療施設(静態・動態)調査」で分かった。(※人数は全て常勤換算従事者数)
病院で勤務するあマ指師は703.2人(前回比231.3人減)、柔整師は364.5人(同74.6人減)となっている。
また、一般診療所ではあマ指師が1,691.2人(同444.9人減)、柔整師が3,316.4人(同332.9人減)だった。平成11年には5,000人以上もいた一般診療所勤務のあマ指師は2,000人を割り込んだ。
病院・一般診療所の中で、医師の指示のもと、理学療法業務に従事するあマ指師や柔整師は、公益社団法人全国病院理学療法協会が設置する「技能認定登録者」や (さらに…)
連載『食養生の物語』139『お酒を嗜む』
連載『食養生の物語』139『お酒を嗜む』
2024.12.23
年の瀬を迎えました。今年は例年より年末年始は休みが長くなり、人と会ってお酒を口にする機会も増えそうです。
「酒は百薬の長」といわれます。食前酒として胃腸の働きを活発にし、血液の循環をよくして気持ちを楽しく盛り上げたり、人間関係を潤滑にしたりと、ちょっとした不調なら吹き飛ばしてしまう面はあるのでしょう。
12月に入って、日本の「伝統的酒造り」が無形文化遺産に登録決定とのニュースが入ってきました。日本酒や焼酎、泡盛といった日本の「伝統的酒造り」がユネスコの無形文化遺産に登録されると決まったのです。奈良時代にはすでに麹を使用して日本酒が造られていたと分かっており、室町時代には「伝統的酒造り」の原型が確立していたとされています。500年以上も前から「米や麦などを蒸す」「こうじを作る」「もろみを発酵させる」など、伝統的な技術が各地の気候や風土に応じて発展しました。自然と深く結びつき伝承されてきたこと、儀式や祭礼など日本の文化で重要な役割を果たしてきたことも評価されているのでしょう。 (さらに…)
『ちょっと、おじゃまします』「私ならではの鍼灸」を選んでもらうために 東京都太田区<HARIKO>
『ちょっと、おじゃまします』「私ならではの鍼灸」を選んでもらうために 東京都太田区<HARIKO>
2024.12.18
鍼灸にあらゆるジャンルのセルフケアの指導を組み合わせ、完全紹介制で治療を行う君島三佐子先生。興味や活動は多岐にわたり、話を聞くのも楽しみに訪れる開院当初からの患者さん中心の治療院になっています。
育児を通し、子どもや自身の身体の変化と向き合ってきた君島先生。ヨガのインストラクター資格の取得にはじまり、アーユルヴェーダ、サウナ、食……と様々な方法に興味をもち実践してきました。また小学校教諭の経験もあり、子どもたちと接し続けたいという希望が強い中で、育児と両立して社会と関われる仕事を模索している時に鍼灸に出会い、「自分の興味や経験が全てつながる!」と確信したそう。 (さらに…)
三和書籍より新刊 東洋医学古典 全訳 神応経
三和書籍より新刊 東洋医学古典 全訳 神応経
2024.12.17
三和書籍より『東洋医学古典 全訳 神応経』が出版されている。著者は中国明代の医師である明劉瑾、訳者は中国鍼灸翻訳家で鍼灸師の淺野周氏(北京堂鍼灸)。A5判、200頁、2750円(税込)。
『神応経』は劉瑾が1425年に自身の師である陳会の教えを著したもので、さらにその先には宋の御殿医・席弘賦につながっている。日本では、1645年に写本が作られたとされている。
同書は『東洋医学臨床論』でも触れられているものの、訳本がないので、淺野氏が訳したという。『甲乙経』や『資生経』と同じく、中国鍼灸の基礎として多大な影響を与えているといい、募穴も背兪穴も、下合穴も母子穴も、絡穴も原穴も、郄穴も含めた疾患ごとの配穴、さらには刺鍼する穴位の順序まで記載されている。
淺野氏は思い付きのような我流には根拠がないと厳しく叱責する。だからこそ、古典を読み込んで理解し、その根拠を手の内に入れた上で、自分なりの推論や刺鍼方法を開発すべきだという。
上記の書籍を抽選で2名にプレゼント
ハガキに希望の本のタイトル、郵便番号、住所、氏名、電話番号を明記し、
本紙編集局(〒530-0057 大阪市北区曽根崎2-2-1 梅新21ビル)まで。
2025年2月10日到着分まで有効。
日本小児はり学会第18回学術集会 「小児はりの臨床」を講演と体験で学ぶ
日本小児はり学会第18回学術集会 「小児はりの臨床」を講演と体験で学ぶ
2024.12.16
日本小児はり学会の第18回学術集会が11月17日に森ノ宮医療大学(大阪市住之江区)で開催された。テーマは『小児はりの臨床』。
(さらに…)
Q&A『上田がお答えいたします』無資格者の広告規制は永遠に取り締まれない?
Q&A『上田がお答えいたします』無資格者の広告規制は永遠に取り締まれない?
2024.12.15
Q.
あはき師・柔整師の広告に関する厳しい規制が明記されたガイドラインが近いうちに出されると耳にしています。一方、無資格者の行為や広告はほとんど規制されないようですが、なぜ取り締まりができないのですか?
A.
6年以上に及ぶ議論の末、厚労省が設置した「あはき師・柔整師等の広告に関する検討会」がようやく広告ガイドライン(案)を今夏にとりまとめて、発出に向けた手続きを進めているようです。この年末年始あたりに、医政局長通知として発出されるのではと見込んでいます。ご質問の通り、あはき師法と柔整師法により、法令で認められた広告以外は禁止なので、施術者は「あれもダメ、これもダメ!」との趣旨に従ってガイドラインは策定されます。
一方、無資格者の行為については法律が存在しないため、当然取り締まることもできないし、広告を規制する有効な対策も打ち出せません。残念なことに、今回の広告ガイドラインでもそのようになっています。
無資格者に関してガイドライン上で言及されたことは一歩前進かもしれませんが、関係団体等による「自主的な取り組みを促す」との書きぶりで、全く具体的な提言も方向性さえも示されていないのです。ガイドラインの中には、 (さらに…)
予防鍼灸研究会第19回定例会 鍼灸院でできる認知行動療法
予防鍼灸研究会第19回定例会 鍼灸院でできる認知行動療法
2024.12.13
予防鍼灸研究会の第19回定例会が11月24日(日)にオンラインで『鍼灸臨床に活かす認知行動療法』をテーマに開催された。会長の金井友佑氏は認知行動療法(Cognitive Behavior Therapy :CBT)は患者に寄り添って心身の治療を行う鍼灸師にとって親和性があり、患者のさらなるQOLの向上に貢献できるとして、気づきや学びを持ち帰ってほしいと呼びかけた。
傾聴・共感・受容を意識、不眠や慢性疼痛にも効果
脇英彰氏(帝京平成大学ヒューマンケア学部鍼灸学科講師)は『鍼灸師による低強度認知行動療法の導入とその重要性』と題して、低強度CBTの方法や鍼灸師との親和性について解説した。
CBTとは、ストレスや困難な状況で固まった考えや行動を柔軟にしたり、楽に過ごせるように変容させたりすることを目的とした心理療法のことで、脇氏は「低強度CBT」について、「自分でもできるCBT」と説明し、軽度のうつ、不安、不眠などを抱える患者の相談に乗り、支援を行うものとした。CBTを行う際の前提として、患者に対する傾聴・共感・受容があり、患者の悩みに寄り添うことを意識して欲しいと語った。 (さらに…)
連載『未来の鍼灸・柔整を考える』第22回 還元型社会と鍼灸・整骨院―ソーシャル・インパクト・ボンドとは?
連載『未来の鍼灸・柔整を考える』第22回 還元型社会と鍼灸・整骨院―ソーシャル・インパクト・ボンドとは?
2024.12.12
鍼灸・整骨院はコンビニよりも数が多いことが知られています。そう考えると、鍼灸・整骨院が地域にどのように関わっていくのかで地域の健康・医療は大きく変わっていくと思われます。
現在の鍼灸・整骨院の業務は、主に患者さんへの治療です。しかしながら、これからの時代では、治療だけでなく、健康教室やwell-beingに関する事業も地域の健康を考える上で大切になるでしょう。しかし、地方自治体にも潤沢な資金があるわけではないので、現段階では健康教室などの予防事業は保健事業として積極的には行われていません。
ただ、地方自治体の資金が潤沢になることは実質難しいでしょう。となると、行政や地域からお金が貰えなければやらないという発想を変えなければなりません。そこで、注目されているのがソーシャル・インパクト・ボンド(Social Impact Bond;以下、SIB)という考え方である。 (さらに…)
『ちょっと、おじゃまします』刺さない鍼で元気で楽しく生きる手伝いを 東京都品川区
『ちょっと、おじゃまします』刺さない鍼で元気で楽しく生きる手伝いを 東京都品川区
2024.12.11
鍼灸が自分にも人にも助けになると経験をもって実感している小林けさみ先生。刺さない鍼の訪問治療を行っているほかに、鍼灸業界をより良くする活動にも力を入れています。
鍼灸を受けたきっかけは保母だったころ、肩こりや腰痛に効くと勧められたから。刺す鍼は苦手で効果も実感できない中、刺さない鍼を行う一ノ瀬宏先生(鍼灸和友堂)に出会い印象が一変。初めてリラックスして治療を受け「きれいな空気がすーっと入って身体が軽くなった!」と感激しました。 (さらに…)
連載『汗とウンコとオシッコと…』244 賊風
連載『汗とウンコとオシッコと…』244 賊風
2024.12.10
12月に入ってようやく寒くなり一気に紅葉が始まった。だが、日中は15度以上もあり、初めてモミジの紅葉と皐月・シャクナゲの開花を同時に見た。こんな気候は身体に実に堪える。こうなるとまず、衛気の発散が狂い血圧のコントロールが難しくなる。体幹血圧が上昇し、夕方急に眠くなったり、頭痛や眩暈、耳鳴がしたり、逆に朝に起きられず夕方から楽になるケースもある。上焦だけの回転が上がり身熱症状と膈下の厥冷症状が現れ、いわゆる木象と火象が冬になって暴れてしまう上熱下冷虚となるわけだ。
「以前にメニエールでお世話になりましたね」 (さらに…)
セイリン社主催「開業支援イベント」、大阪開催で23社が出展
セイリン社主催「開業支援イベント」、大阪開催で23社が出展
2024.12.09
セイリン株式会社主催の『鍼灸・柔整開業支援イベントin大阪』が12月1日、TKPガーデンシティPREMIUM心斎橋(大阪市中央区)で開催された。
開業ノウハウが知れる講演会やセミナーが開かれたほか、開業に必要な器具・支援サービスなどを提供する企業・団体23社が出展。当日は、鍼灸師・柔整師・学生が会場に足を運んだ。
出展企業(23社)
【開業支援サービス・医療器具企業】株式会社ヴィクトリー/株式会社シグマテクノロジー/株式会社ビューティガレージ/VIVI美顔鍼えみり先生/株式会社ポータルズ/税理士法人しんぎ/株式会社ミルキーウェイ/ハリトヒト。(合同会社haritohito)/株式会社高田ベッド製作所/FOURLIFEグループ
【グループ院】株式会社あい・グループ/日本セラピー株式会社/株式会社クラシオン/有限会社トータルケアまえいけ/株式会社HSコーポレーション/株式会社アイリス/エルフレッチェ鍼灸接骨院グループ/株式会社介護NEXT/株式会社SYNERGY JAPANぷらす鍼灸整骨院グループ/株式会社F-nine
【業団】一般社団法人全国鍼灸マッサージ協会/公益社団法人大阪府鍼灸師会/公益社団法人大阪府鍼灸マッサージ師会
「開業経験者の生の声を聞きたい」「信頼のある企業が企画したイベントなので」
参加者の関心が高く、熱心に聞き入っていたのが4題あった講演会。株式会社光井コミュニティ代表・光井宏氏が (さらに…)
第32回日本刺絡学会学術大会 刺絡の有効性を東西医療の両観点から討論
第32回日本刺絡学会学術大会 刺絡の有効性を東西医療の両観点から討論
2024.12.06
第32回日本刺絡学会学術大会が9月29日にタワーホール船堀(東京都江戸川区)で開催された。テーマは『刺絡鍼法の可能性-こんなときは刺絡だよね?』。
故・工藤訓正氏の足跡振り返り刺絡の原点を考える
会頭講演では、工藤哲也氏(鍼灸和揚堂院長)が『刺絡の原点』をテーマに、刺絡治療に力を尽くした叔父の故・工藤訓正氏について語った。医師であった訓正氏が刺絡の効果を確信したのは第2次世界大戦に遡る。現在のベトナムの野戦病院で流行したマラリアに井穴刺絡が多大な効果を発揮し「刺絡をした患者で死亡した人はいない」と話すほどだったという。
帰国後は脳卒中の患者を多く診る中で予防を突き詰めるようなり、頚・肩のこりの解消にたどり着いた。「頚肩の凝りは、真綿で頚を絞め血液を下がらなくするようなもの」と工藤氏は伝え、局所のみでなく頚・肩も合わせて治療し、全身のバランスを整えれば自然治癒力も高められると説いた。
また、工藤氏は「刺絡は補瀉や気を整えると考えるのは違和感がある」とも強調。血液の滞りを取り除くアプローチを直接施す荒治療の類であり、この後に鍼灸の治療をすれば効果的だと話した。生前に訓正氏が背部を吸玉と灸頭鍼で治療する画像も公開された。
「こんなときは刺絡だよね?」という場面を共有。実践のための課題も
シンポジウム『刺絡鍼法の可能性』では石木寛人氏(国立がん研究センター中央病院緩和医療科)、堀口葉子氏(同病院緩和医療科)、原オサム氏(積聚会)、小栗重統氏(啓愛会美希病院)、上馬塲和夫氏(日本アーユルヴェーダ協会)、工藤哲也氏が討論を行った。座長は関信之氏(関墨荘堂鍼灸治療院)。
関氏が刺絡の効いた例を尋ねると、工藤氏は「鍼だけで難しい場合に刺絡は効果的」と治療の可能性が広がる旨を伝え、上馬塲氏も中国では鍼灸に推拿など何かを組み合わせて治療するのがポピュラーだと話し、カッピングを利用して筋膜をリリースする「スライディングカップ」という手法を紹介。法に触れない範囲で東洋医学を広く活用し患者を診る必要性を語った。小栗氏は座骨神経痛への有効性を実感していると話した。
原氏は気と陰陽観で身体を診る中で、手術痕を含む外傷は通過障害が多く「傷を治すため様々なものが停滞する」と説明した。また主訴に捉われず、「生命力の低下」の原因を改善する必要性を強調した。
石木氏は、がん患者の重度はグレード1から5までで評価されるが、比較的軽度とされるグレード1では痛みや食欲の問題を抱えながら日常を送らなければいけないという現状があるという。関氏が「がんが鍼灸で悪化することはあるか?」と問うと、石木氏は「一本の鍼で複数刺したところ、刺鍼箇所に沿いがんの発生がみられたとの発表や、手技療法においてリンパ節をしこりと見誤りつぶして拡散したとの報告があった」と回答、病変への刺鍼による拡散リスクや見極めの難しさを指摘した。
関氏が「血行改善による悪化の可能性」を問うと、堀口氏は「可能性はあるが、抗がん剤を早く排出し、生命力を上げる効果も期待できる。患者さんには気分が良くなるのは体にいいこと、と話している」といい、上馬塲氏は「免疫学の視点からは、メンタルが免疫機能に影響すると分かってきている」と話した。
会場から「刺絡が業界でアンタッチャブルなものと扱われる傾向について打開策は?」との質問が上がると、工藤氏は「そもそも三稜鍼は我々のアイテムだと認識すべき。問題を起こさないための対策が学会の使命で、講習会において感染防止から手法まで認定制度を設け指導している。学校で正確に教育してもらう努力も我々の仕事である」と述べた。原氏は「養成校での指導において学生は刺絡に大変興味があると感じる。過去の事件の経過やトラブルも話し、適切に教えなければいけない」と訴えた。
小栗氏は「毫鍼と比べると交絡因子を排除しやすく、有意差を確認しやすい」と標準化への希望をにじませ、石木氏は診療報酬の委員を務めた経験から「厚労省に響くのは医療費が減るということ。回数や時間のデータ化で可視化して示せば、標準化の可能性が高まる」とアドバイスした。
刺絡を指導できる教員を育てる
日本刺絡学会会長の清水尚道氏(森ノ宮医療学園専門学校校長)は「学校教育において刺絡の指導は、まだ段階を踏む必要があるが、新しい東洋医学臨床論に刺絡は記載されることとなった。教員が刺絡をできるよう、当会では教員向けの基礎講習会を無料で行っている。学校教育の進め方についても地道にまとめている」と話し、会場にも協力を呼びかけた。
他にも、王醫仙氏(日本董師奇穴針灸学会主)の講演『董師奇穴・急症絡刺』や一般演題5題が行われた。
連載『中国医学情報』237 眼筋型重症筋無力症への灸頭鍼併用治療効果―現代薬単独群とランダム化比較 ほか
連載『中国医学情報』237 眼筋型重症筋無力症への灸頭鍼併用治療効果―現代薬単独群とランダム化比較 ほか
2024.12.05
☆眼筋型重症筋無力症への灸頭鍼併用治療効果―現代薬単独群とランダム化比較
空軍杭州特勤療養センター・周来らは、眼筋型の重症筋無力症(MG)の患者で現代薬単独群と灸頭鍼併用群を比較(上海鍼灸雑誌、2023年11期)。
対象=同センターの92例。これをランダムに単独群・併用群各46例に分けた。単独群は、平均約45±5歳、平均罹患期間3.64±0.53年、眼瞼下垂片側25例・両側21例。併用群は、平均約44±6歳、平均罹患期間4.05±0.61年、眼瞼下垂片側24例・両側22例。
治療法=両群とも4週間。
<現代薬>常軌治療採用。ピリドスチグミン臭化物製剤と酢酸プレドニゾロンを服用。治療過程中、病状により薬剤量を調整。
<灸頭鍼>現代薬に併用。
①取穴―足三里・合谷・豊隆・三陰交・血海・気海。調整穴:下痢に中脘、発汗過多に水道、歩行障害に委中を追加
②操作―毫鍼で平補平瀉法。得気後に約2cmの灸頭鍼艾を着け点火、毎回30分間、毎日1回、毎週5回
観察指標=
①炎症因子:IL-6・18・27、TGF-β1、補体C3・4、Achrab
②免疫因子:CD4/CD8比、CD4陽性T細胞、CD3陽性T細胞
③生活の質:MG-QOL15
④絶対的MGスコアリングシステム:ASMG(嚥下機能・下肢疲労度・顔面筋筋力・呼吸機能・眼球水平運動度・上瞼筋力・上瞼疲労度・上肢疲労度などで合計60点。中国独自のもの)
結果=「単独群」:治癒15例・著効14例・有効5例・無効12例・総有効率73.9%、「併用群」:治癒19例・著効21例・有効3例・無効3例・総有効率93.5%。
治療前→治療後の指標の一部を示すと、①IL-6:単独群50.38±6.15→34.60±4.19、併用群50.92±6.67→23.18±3.27。②CD4陽性T細胞:単独群54.15±6.06→48.05±5.83、併用群53.61±6.37→39.14±4.94。③MG-QOL15:単独群23.09±4.27→16.04±2.06、併用群23.51±4.67→13.17±2.53。以上、いずれも併用群が単独群より有意に改善(P<0.05)。
☆女性の軽・中等度腹圧性尿失禁の鍼併用治療―骨盤底筋訓練単独群とランダム化比較
山東中医薬大学・姜偉らは、軽・中等度腹圧性尿失禁の女性患者で、骨盤底筋訓練単独群と鍼併用群を比較(鍼灸臨床雑誌、2023年11期)。
対象=済南市中医病院の66例。これをランダムに単独群・併用群各33例に分けた。単独群は、平均57.6±5.93歳、平均罹患期間3.39±1.58年。併用群は、平均56.1±6.09歳、平均罹患期間3.58±1.52年。
治療法=両群とも8週間。
<骨盤底筋訓練>仰向けで膝を曲げ、吸気時に肛門周囲の筋肉を収縮し5~10秒間維持、呼気時に緩め10~15秒間休息、これを10回繰り返す。毎日3度・毎週連続5日(休み2日)。
<鍼治療>
①取穴―「横骨三鍼」:腹部の曲骨穴と左右の横骨穴。以上3穴は、導師の経験により、押手で穴を撫で探り最も圧痛の著明な所を取る(多くは恥骨結合と両側の恥骨にある)
②操作―治療前に膀胱を空にさせ、0.30×65mmの鍼で、曲骨穴は直刺約50mm、鍼が靱帯や線維軟骨に到り渋滞感があったら停止、局所に刺痛感や会陰部への放散のあるのが良い。横骨穴は、鍼先を曲骨穴方向の恥骨に向け約55mm刺し、局所に刺痛感や会陰部・大腿内側への放散のあるのが良い。そして置鍼30分間。毎日1回・毎週5回
観察指標=
①padテスト:水分摂取後に、60分間決められた動作や運動を行い検査前後のパッド重量を計測
②72時間失禁回数:排尿日記に連続3日間の失禁回数を記録
③国際尿失禁会議の尿失禁症状・QOL評価質問票(ICIQ-SF)
④ハミルトンうつ病評価尺度(HAM-D)
結果=「単独群」:治癒2例・著効5例・有効21例・無効5例・総有効率(有効以上)84.8%、「併用群」:治癒5例・著効14例・有効12例・無効2例・総有効率93.9%で、併用群の総有効率は単独群と有意差あり(P<0.05)。
指標の数値(前→4週後→8週後)は、
①(㎖):単独群8.03±1.59→7.12±1.82→5.21±2.58、併用群7.42±1.66→6.61±1.68→3.30±2.05
②(回):単独群.15±1.35→5.58±1.25→4.06±1.48、併用群5.64±1.25→4.82±1.47→2.13±1.36
③(点):単独群9.97±1.78→8.67±1.83→5.88±2.89、併用群10.10±1.84→8.27±1.51→3.97±2.56
④(点):単独群24.1±2.79→20.3±2.93→15.8±3.66、併用群24.7±1.91→18.4±2.51→10.5±2.59
以上、併用群の8週後の数値はいずれも単独群と有意差あり(P<0.05)。
【連載執筆者】
谷田伸治(たにた・のぶはる)
医療ジャーナリスト、中医学ウォッチャー、鍼灸師
早稲田鍼灸専門学校(現人間総合科学大学鍼灸医療専門学校)を卒業後、株式会社緑書房に入社し、『東洋医学』編集部で勤務。
その後、フリージャーナリストとなり、『マニピュレーション』(手技療法国際情報誌、エンタプライズ社)や『JAMA(米国医師会雑誌)日本版』(毎日新聞社)などの編集に関わる。
令和5年分の柔整・あはき政治団体の収支報告、総務省公表
令和5年分の柔整・あはき政治団体の収支報告、総務省公表
2024.12.03
総務省が11月29日、毎年定期公表している「政治資金収支報告書」の令和5年分をホームページ上に公開した。
政治団体に対しては、政治資金規正法により1年間の収入と支出の総額やその内訳の一部などの情報提示が義務付けられ、柔整・あはき業界の政治団体も公表されている。
主だった業界団体の令和5年収入額(総収入から繰越額を引いた額)を見ると、柔整では、日本柔道整復師連盟(長尾淳彦代表)が7,062万円(支出額6,324万円)だった。
あはきでは、日本鍼灸師連盟(中村聡代表)が664万円(同722万円)のほか、全日本鍼灸マッサージ師連盟(伊藤久夫代表)が295万円(同267万円)、全国病院理学療法連盟(平野五十男代表)が103万円(同117万円)となっていた。
今日2日から紙の保険証の発行停止、「オン資」義務化へ
今日2日から紙の保険証の発行停止、「オン資」義務化へ
2024.12.02
従来の健康保険証の新規発行が12月2日で終了し、マイナンバーカードと一体化した「マイナ保険証」へ本格的に移行した。
療養費(受領委任払い)を取り扱う柔整・あはき施術所でも、医療機関等と同様に、カードリーダーやスマホを用いてマイナ保険証から患者本人であることを認証する「オンライン資格確認」(オン資)が原則義務化された。
ただ、医療機関や薬局における「マイナ保険証の利用率」は10月時点で15.67%と低く、施術所においても「来院患者がマイナ保険証を持参・保有していない」といったケースが起こり、急な対応に追われることも想定される。
厚労省が施術所内で保険資格を確認する方法などをケースごとに示しているので、下記に掲載する。
『医療は国民のために』401 オンライン請求は過誤調整等の問題を前に法改正をしないまま運用可能か?
『医療は国民のために』401 オンライン請求は過誤調整等の問題を前に法改正をしないまま運用可能か?
2024.12.01
今秋より議論が再開された柔整療養費のオンライン請求について、仮に法改正を行わずに導入されるとしたら、いくつか法令と通知の間で齟齬が生じる問題が発生するだろう。国側も既に把握しているようで、「過誤調整としての相殺処理」や「保険者の有する支給決定権を審査支払機関へ権限移譲」をはじめ、「署名・代理署名の取扱い」などを議題に取り上げる予定としているようだ。
療養費は法令上の帰属主体が被保険者(国保は世帯主)であるから、これを「施術者の債権」とするためには、療養の給付と同様の扱いとする法改正を要する。また、保険者の裁量に委ねられている現在の支給決定権についても、社会保険診療報酬支払基金・国保連を審査支払機関に権限移譲する問題も同じだ。つまり、既に走り出している医科・歯科・調剤でのオンライン請求システムに (さらに…)
「あはき・柔整は国家資格」85%認識、埼玉県が意識調査
「あはき・柔整は国家資格」85%認識、埼玉県が意識調査
2024.11.29
埼玉県が今秋、主に県民を対象とした『あん摩マッサージ指圧・はり・きゅうに関する調査について』をインターネット上で実施した。2500人弱の回答があった中、「あはき・柔整施術に国家資格が必要」であることを知っている回答者が8割を超え、また「施術を受けた経験がある」と答えた割合が約半数となる45%強だった結果が示された。
2500人弱の回答者のうち、あはき・柔整施術の「経験あり」45.6%
同調査は9月5日から11日までの間、インターネット上の専用アンケートフォームを用いて行われた。回答したのは、県政の課題についてのアンケートに答えてもらう「県政サポーター」2460人で、性別構成は男性が54.9%、女性が43.7%(未回答1.4%)。年齢層は40歳以上の回答者が全体の85%を超え、「50歳代」が28.1%と最多で、「60歳代」が20.3%、「70歳以上」が19.6%、「40歳代」が18.4%と続く。職業に関しては、「勤め(全日)」が36.9%で最も多く、次いで「その他、無職」が19.0%、「勤め(パート・アルバイト)」が17.2%、「専業主婦・主夫」が14.9%、「個人事業主・会社経営者」が9.8%などだった。
「あはき・柔整の施術を業とするには、国家資格が必要であることを知っているか」の質問には、「知っている」が85.0%と大半を占めていた。
あはき・柔整が疾病によって医療保険(療養費)を使用できる点については、「知っている」が68.6%で、「知らない」(31.4%)を上回った。あはき・柔整の施術経験の有無に関する問いに対しては、「受けたことがない」が54.4%で、「受けたことがある」が45.6%との結果となった。
半数以上が「整体等の民間療法が資格を要さず業ができる」を知らない
また、同調査ではカイロプラクティックや整体等の無資格業に関する設問も設けられていた。「民間療法(いわゆるカイロや整体)は無資格でも業とすることができることを知っていますか」との質問では、「知らない」が54.0%と半数を超え、「知っている」(46.0%)を上回っていた。
回答者からの意見・要望も募っており、「カイロと柔道整復の違いがわからない」「資格や保険適用や料金体系などを必ず入り口に掲示する制度を創設してほしい」「人の身体に直接施術するわけですから、民間のものでも構わないので必ず有資格者であってほしいなと思います」などの声があった。
同県の保健医療部医療整備課は、「県ではこれまで無資格者による施術に対する県民への注意喚起を県広報紙、FMラジオ及びホームページで行ってきた。一方、医業類似行為に対する利用者の認知度及び理解度を把握する機会がなかったことから、このようなアンケートを実施した。今回の結果を今後の業務の参考としたい」と話す。
参照:埼玉県ホームページ「第259回簡易アンケート『あん摩マッサージ指圧・はり・きゅうに関する調査について』の結果を公表しました」
オン資の導入状況、11月17日時点で柔整64%、あはき25%
オン資の導入状況、11月17日時点で柔整64%、あはき25%
2024.11.25
厚労省「義務化直前となり、速やかな準備を」
12月2日からオンライン資格確認(オン資)の導入が柔整・あはき施術所で原則義務化される中、その導入状況が厚労省より公表された。
11月17日の時点で、全国にある4万7,574の柔整施術所のうち、オン資利用申請を済ませているのが3万617施設で64.4%だった(準備完了は2万5,683施設で54.0%)。
また、あはき施術所は全国3万5,694施設のうち、利用申請済が9,128施設で25.6%(準備完了は5,927施設 で16.6%)。
同導入状況は、厚労省が11月22日にYouTube上でライブ配信した「オン資導入に関する説明会」の中で示され、これを踏まえ、「12月2日からの義務化が直前となっており、未導入の施術所は準備をお願いしたい」と速やかな導入に向けた対応を促した。
なお、オン資の導入に際して、高齢等の理由で「やむを得ない事由」がある施術所については「義務化の対象外」とする特例措置が設けられている。(関連記事はこちら)
連載『生殖鍼灸から始まる領域拡大』2 慌ただしい1日
連載『生殖鍼灸から始まる領域拡大』2 慌ただしい1日
2024.11.25
7年前に左鼠径ヘルニアの手術する際、術式の選択を提案され、私は「帝王切開する人の気持ちを理解するために開腹で」と告げました。そして今回、鶏卵大の右鼠径ヘルニアの術式は腹腔鏡下を選択。諸検査と共に、人生初めて胃カメラと大腸カメラを受けることにしました。
前夜からの絶食。下剤の服用。「この下剤は、数滴で下痢します」と脅されたものの、10ml(200滴以上分)を服用しても、脂っこいラーメンほどの下痢はせず。さて検査後はすぐに仕事に戻らねばならないので、麻酔なしで行いました。まずは胃カメラ。口からチューブを入れられ、ごぼごぼと嚥下反射を起こしつつ奥へ奥へ。胃の中がよく見えるように空気を入れて膨らませると、よだれとゲップがとめどなく出てきます。背中をさすってもらい10分足らずで終了。 (さらに…)