連載『汗とウンコとオシッコと…』253 秋来たる
2025.09.10
3カ月に渡る暑さは日本の熱帯化を伺わせる。6月中に梅雨が明け、北海道で40度の気候、東北で伊勢エビがみられるなど、昔では考えられないことだらけだ。残暑が厳しい昨今、脱水予防で体幹部に血流が流れ込み、暑いというのに血圧が下がらない現象が続き、循環器や精神の疾患が増えている。特に高齢者がこの影響をダイレクトに受けるようだ。 (さらに…)
連載『汗とウンコとオシッコと…』253 秋来たる
連載『汗とウンコとオシッコと…』253 秋来たる
2025.09.10
3カ月に渡る暑さは日本の熱帯化を伺わせる。6月中に梅雨が明け、北海道で40度の気候、東北で伊勢エビがみられるなど、昔では考えられないことだらけだ。残暑が厳しい昨今、脱水予防で体幹部に血流が流れ込み、暑いというのに血圧が下がらない現象が続き、循環器や精神の疾患が増えている。特に高齢者がこの影響をダイレクトに受けるようだ。 (さらに…)
『ちょっと、おじゃまします』 育児をがんばる保護者にお灸教室を通し「自分の事も大切にして」と発信
『ちょっと、おじゃまします』 育児をがんばる保護者にお灸教室を通し「自分の事も大切にして」と発信
2025.09.09
大阪市の子育て支援施設で保護者のためのお灸教室『お灸できるDAY』を定期的に開催している大住真喜紅先生。出産・育児をきっかけに鍼灸師の仕事を一旦は離れましたが、お灸を教えることで子育て中の保護者を支える新たな鍼灸師の道を見出し活躍しています。
東洋医学に興味を持ち鍼灸師になった大住先生。卒後はペインクリニックや鍼灸院で勤務していましたが、出産を機に治療家としての仕事から離れることになりました。マタニティビクスやママヨガなどの産後教室に参加したり、地域の児童館で子育て仲間と集まったりと、居場所を見つけ支え合って育児を行ううちに、講座の主催や子育て支援サークルのイベントの手伝いをするように。2016年には大阪市の子育て支援施設「つどいの広場ぐぅぐぅ」のスタッフとして働き始めました。
子育て支援を通した活動にやりがいを感じていたころコロナ禍で施設は開館できなくなってしまいます。その時期は、インスタ発信など試行錯誤し支援を続けていたそう。ようやく規制が緩和され、制限をしながら対面で話せるようになると、相談できる人がなく一人で育児をしている親たちの孤独がありありと伝わってきたといいます。
そんな時「鍼灸師の私にできることがあるんじゃない?」という思いが浮かんできたと大住先生。偶然にも「全国地域すこやかお灸協会」のインスタ投稿が目に留まり、迷わず参加を申し込みました。お灸教室の開き方を教えるセミナーに参加すると、「私にもできることがある」と自信が湧いたと話します。さっそく広場の代表に「お灸教室」の開催を相談すると快諾してくれたそう。 (さらに…)
商品紹介 日進医療器『ユニコ金粒』
商品紹介 日進医療器『ユニコ金粒』
2025.09.08
24金メッキ粒の貼付型接触粒が透明シートで、9月発売
鍼灸器具ブランドの「ユニコ」を展開する日進医療器株式会社(大阪市中央区)が、「24金メッキ粒」を使用した家庭用貼付型接触粒『ユニコ金粒』を9月からリニューアル発売している。
耳つぼ療法など、美容や健康維持を目的とした「ツボ刺激」に幅広く活用できる一般医療機器で、直径10mmのパッチシール型。コリを感じる部位や特定のツボに直接貼付して使用する。フィルムが無色透明なので、顔や手などの露出部位に貼り付けても目立ちにくい。素材には防水性に優れたポリエチレンフィルムを使用するほか、低アレルギー性アクリル系粘着剤を採用している。
国内製造による高品質で、金粒の外径は1.5mm。1袋に96粒入り(1シート32粒×3枚)。治療院価格は990円(税込)。
販売に関する問い合わせは、同社(0120-093-118)へ。
製品情報はホームページ(https://www.unico-net.jp/product/782)より。
連載『中国医学情報』246 多嚢胞性卵巣症候群の不妊症に棒灸併用治療 ほか
連載『中国医学情報』246 多嚢胞性卵巣症候群の不妊症に棒灸併用治療 ほか
2025.09.05
☆多嚢胞性卵巣症候群の不妊症に棒灸併用治療―排卵誘発剤単独群とランダム化比較
江西省婦幼保健院・楊易らは、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)による不妊患者で、排卵誘発剤単独群と棒灸併用群を比較(上海鍼灸雑誌、2024年10期)。
対象=江西中医薬大学付属病院のPCOS 64例(中医診断:腎陽虚)、平均27±4歳。これをランダムに併用群・単独群各32例に分けた。罹患期間は、併用群3.59±1.66年、単独群3.70±1.70年。
治療法=治療は計3カ月間。
<排卵誘発法>
Clomiphene(クロミフェンクエン酸塩)服用。
<棒灸法(熱敏灸)>
①取穴―腹部:関元・子宮(臍下4寸、中極の外方3寸)・帰来、腰部:腎兪・命門・次髎、下肢部(左右):三陰交・太渓。②操作―江西省中医院研究開発の「熱敏灸艾灸」(規格2.2×12cm)使用。 (さらに…)
令和8年実施の国試日程が決まる 鍼灸 2/22(日)、柔整 3/1(日)
令和8年実施の国試日程が決まる 鍼灸 2/22(日)、柔整 3/1(日)
2025.09.03
厚労省が9月1日、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師、柔道整復師のそれぞれ34回目となる国家試験(令和8年実施)の日程を発表した。
あマ指師は令和8年2月21日(土)、はり師及びきゅう師は同年2月22日(日)、柔整師は同年3月1日(日)に実施される。
合格者の発表は、いずれも同年3月26日(木)14時から厚労省ホームページなどで掲載される。受験手数料は、あマ指師・はり師・きゅう師で1万9,500円、柔整師で2万3,900円。
なお、東洋療法研修試験財団では、ホームページ上に各地域の試験会場情報を載せいている。
『ちょっと、おじゃまします』 鍼灸師ならではのオーダーメイド「経絡ヨガ」で女性を元気に 東京都江戸川区<はり灸院SOAN>
『ちょっと、おじゃまします』 鍼灸師ならではのオーダーメイド「経絡ヨガ」で女性を元気に 東京都江戸川区<はり灸院SOAN>
2025.09.02
ヨガ歴は20年以上、ヨガスタジオを併設する鍼灸院「はり灸院SOAN」(東京都江戸川区)を営んでいるのはハーディマン智子先生。自身のメンテナンスにヨガや鍼灸を取り入れ、両方を専門として学び、経験を重ねるハーディマン先生ならではのヨガレッスンや鍼灸治療には様々な人が訪れています。 (さらに…)
令和4年度の保険者別療養費の状況、柔整は国保で約50億円減など軒並み減少
令和4年度の保険者別療養費の状況、柔整は国保で約50億円減など軒並み減少
2025.08.29
鍼灸とマッサージは後期高齢がともに10億円増
厚労省保険局調査課が公表した『医療保険に関する基礎資料』において、令和4年度の「保険者別療養費の状況」が示された。
柔整は前年度より軒並み減少し (さらに…)
『鍼灸師のための周産期ケア講座』 産婦人科エキスパート鍼灸師を目指して
『鍼灸師のための周産期ケア講座』 産婦人科エキスパート鍼灸師を目指して
2025.08.28
7月27日に第2回『鍼灸師のための周産期ケア講座・東京Edition』が国立オリンピック記念青少年総合センター(東京都渋谷区)で開催された。主催は女性鍼灸師フォーラム。
同会では「鍼灸×助産プロジェクト」と銘打ち約10年に渡り、専門知識を身に付けた「産婦人科エキスパート鍼灸師」を育て、医療従事者との連携に向けた活動を行ってきた。これまでも講義とワークショップをセットにした勉強会を開催し、受講生は学んだ成果を助産師や女性関連の学会での他職者に向けた体験会や妊産婦へのアピールで発揮してきたと紹介。今回の全4回連続講座(第1回は東京都はりきゅうマッサージ師会主催の連携講座)修了後も、『第39回日本助産学会学術集会』での「鍼灸ブース」とワークショップ「鍼灸つぼ療法体験」の実施を目標に定めている。
助産師が妊婦を安全に診る必須事項を解説
助産師で鍼灸師でもある井上律子氏(せりえ鍼灸室)は『助産師の視点で鍼灸師にも知っておいてほしいこと』のテーマで講演を行った。「超少子化時代」となり妊娠出産に関わる社会環境や政策が変化する中で、鍼灸師もそれに応じ成長する必要があると説明。これまでの同プロジェクトでの勉強会の要点や体験談を踏まえ、妊婦を安全に診るための基礎知識や注意点を教えた。
各妊娠期のトラブルとし、 (さらに…)
接骨院・整骨院の数は5万カ所強で「横ばい傾向」、令和6年末時点
接骨院・整骨院の数は5万カ所強で「横ばい傾向」、令和6年末時点
2025.08.26
全国の柔整施術所数が令和6年末時点で5万924カ所となり、2年前からわずか8カ所の増加でほぼ横ばいだったことが分かった。厚労省がこのほど、隔年で施術所数等を集計した『衛生行政報告例』の令和6年版で示した。 (さらに…)
商品紹介 トワテック『鍼電極低周波治療器 パルスマ8s』
商品紹介 トワテック『鍼電極低周波治療器 パルスマ8s』
2025.08.25
新たにスウィープ機能を搭載してリニューアル
トワテック株式会社(東京都文京区)が、『鍼電極低周波治療器 パルスマ8s』に新たにスウィープ機能を搭載し、リニューアル発売している。
スウィープ機能は1Hzから100Hzまでの選択した周波数の範囲内を折り返して出力し続けるモードで、疼痛抑制の効果が高く、付帯的に自律神経系へ作用するため、自律神経疾患や精神疾患といった「内因性疾患」や眼精疲労等へのアプローチが期待できる。この新機能を含む6つの出力モードに加え、24パターンの周波数調節機能や同製品独自の「柔らかな通電感覚」によって幅広い施術を可能に。また、8回路モデルながら、重さが1050g(乾電池除く)と、軽量で訪問施術にも適している。
価格は52,800円(税込)。同機能を搭載した4回路モデル『パルスマ4s』もラインナップされており、38,800円(税込)。
製品・販売に関する問い合わせは同社メール、もしくはホームページの問い合わせフォーム(https://www.towatech.net/f/apply)から。
製品情報はホームページ(https://www.towatech.net/f/lp/PULSE)より。
連載『あはき師・絵本作家 かしはらたまみ やわらか東洋医学』76 素問・三十八 『欬論』
連載『あはき師・絵本作家 かしはらたまみ やわらか東洋医学』76 素問・三十八 『欬論』
2025.08.25
この篇は、咳について書かれています。
黄帝
「なぜ肺の病は咳が出るのだ?」 (さらに…)
大鍼師会の令和7年度生涯研修会 「新潟から新たな鍼灸の可能性を発信」
大鍼師会の令和7年度生涯研修会 「新潟から新たな鍼灸の可能性を発信」
2025.08.22
新潟医療福祉大学の粕谷氏が登壇、NSGグループの「新潟スタディ」紹介
公益社団法人大阪府鍼灸マッサージ師会(廣野敏明会長、大鍼師会)が7月27日、本年度の『第1回生涯研修会』を同会会館(大阪市阿倍野区)とオンラインのハイブリッドで開催した。
講師には新潟医療福祉大学の鍼灸健康学科で学科長を務める粕谷大智氏が招かれ、同学科の鍼灸教育事業の戦略に加え、同大学を含む100超の法人からなる「NSGグループ」全体で進めている地元・新潟での鍼灸師の雇用先確保などの取り組みについて語られた。 (さらに…)
商品紹介 レッティ『AI東洋医学』
商品紹介 レッティ『AI東洋医学』
2025.08.20
ソフトウエア開発事業などを行う株式会社レッティ(名古屋市中区)が、鍼灸師と共同開発のもと、AIを活用した鍼灸治療支援アプリ『AI東洋医学』をこのたびリリースした。
AIにより鍼灸治療のサポート・提案をしてくれる点が大きな特長。アプリ画面上の初診問診票に五臓チェック機能が含まれるほか、記録した主訴・問診をもとに確認すべき弁証法をAIが提案する。また、五臓六腑・気・血・津液などを点数化し、効果的だと思われる経穴も示してくれる。施術記録も表示された人体図の経穴をタップするだけで可能。さらに、院運営を効率よく行うツールとして、予約・患者情報の管理機能も備える。
利用料金は月額1万円(ダウンロード後、40日間は無料で試せる)。アプリの利用にはiPadが必要。
アプリに関する問い合わせは、同社メールへ。ダウンロード先は、Apple Storeから。
オン資の協力金、「取り組み報告」は9月末が期限
オン資の協力金、「取り組み報告」は9月末が期限
2025.08.19
オンライン資格確認(オン資)を導入した柔整・あはき施術所が、患者等に対し、マイナンバーカードの利用を促した場合、国の推進する医療DXに協力したとして支給される協力金(5万円)について、実際に活動をしたことを報告する「専用フォーム」が7月上旬に開設されたが、このほど報告期限についても公表され、「9月30日まで」と決まった。
協力金を受け取るためには、5月から7月までの間に、▽患者等に対してマイナ保険証の利用促進を図る声掛け、▽チラシの配付またはポスター掲示、の両方に取り組む必要があり、その後、取り組みを行ったことを証明するため、厚労省へ報告しなければならない。 (さらに…)
連載『現場で使える! 治療家のための実践英会話 』7 「〜の症状はありますか?」と聞いてみよう
連載『現場で使える! 治療家のための実践英会話 』7 「〜の症状はありますか?」と聞いてみよう
2025.08.18
「〜の症状はありますか?」と聞いてみよう
宮口先生/宮 鍼灸師の佐藤さん/佐
【会話】
佐: 「外国人患者さんが“my arm feels funny”と言っていたのですが、“funny”って『面白い』という意味だけじゃないんですよね?」
宮: 「うん。『しびれてる』って伝えたかったんでしょう。ならば、 (さらに…)
Q&A『上田がお答えいたします』異なる施術所から同じ患者の訪問施術料を算定できる?
Q&A『上田がお答えいたします』異なる施術所から同じ患者の訪問施術料を算定できる?
2025.08.15
Q.
訪問施術料において、2カ所の施術所から同一患者のマッサージ施術を請求することはできますか? 例えば、月の前半をA治療院が、月の後半をB治療院が受け持ち、それぞれから療養費を申請する場合などです。さらにこの2院は、本院・分院の関係でも、グループ内の施術所同士でもないなど経営上の関係がないとしたらどうでしょう?
A.
昨秋から訪問施術料が創設され、さらに今後、後期高齢者が増え続けることに伴って需要も伸びることから、一人の患者さんを複数の施術者が「シェア」するようなパターンも想定されますね。
受領委任の取扱上は、同時に複数の施術所で施術を受け、それぞれ療養費の支給申請を行うことは、必ずしも制限されていません。しかし (さらに…)
京都・三寳寺で恒例の暑気封じほうろく灸祈祷開催
京都・三寳寺で恒例の暑気封じほうろく灸祈祷開催
2025.08.12
7月19日に京都市右京区にある三寳寺(さんぼうじ)でほうろく灸祈祷が行われ、約80人が参加した。三寳寺では約80年前より土用の丑の日に暑気払い・頭痛封じ・中風封じとしてほうろく灸祈祷を恒例で行っている。
ほうろく灸祈祷では、読経が始まりしばらくすると参加者の頭にほうろくが載せられ、僧侶が順番に火をつけて回った。煙が立ち込める中、僧侶は木剣にて九字を切り、声高く経をとなえ、悪鬼邪霊の障りを取り除く祈祷は山場となる。
ほうろくに描かれているのは日蓮宗秘伝の経文。経文を (さらに…)
『鍼灸師・柔整師のための痛み学―UPDATE』6 痛みにおける扁桃体の役割
『鍼灸師・柔整師のための痛み学―UPDATE』6 痛みにおける扁桃体の役割
2025.08.12
ここまでは痛みに関する基本的な診療を解説してきました。
ただ、痛みは複雑であり、同じような疾患名で状況(グレード)であっても同じ痛みになるとは限りません。そして、鍼灸治療で報告されているエビデンスに関しても、正常な鎮痛機構が働くことが前提であり、鎮痛機構が正常に働かないとガイドライン通りのエビデンスは得られないのです。そのため、「エビデンスが存在する=鍼灸治療に効果がある」とはならず、患者さんの置かれている状況が効果を決めていると言っても過言ではありません。そこで、今回からは、鎮痛機構に影響する因子について考えてみたいと思います。
そもそも、痛みは (さらに…)
連載『汗とウンコとオシッコと…』252 熱三重奏
連載『汗とウンコとオシッコと…』252 熱三重奏
2025.08.10
毎日暑すぎる。一際、目に留まるのは南方の花のようなノウゼンカズラだ。アメリカの囚人服のようなオレンジ色で、色調に呼応するかの如く薬効は血症であることが面白い。 (さらに…)
第30回日本緩和医療学会学術大会 緩和医療において鍼灸の必要性を医師にアピール
第30回日本緩和医療学会学術大会 緩和医療において鍼灸の必要性を医師にアピール
2025.08.08
第30回日本緩和医療学会学術大会(会頭:田村恵子氏/大阪歯科大学)が7月4日、5日に福岡市内にある福岡国際会議場で開催され、がん患者における鍼灸治療についての講演や体験会が行われた。
がん患者に対する鍼灸の実際を解説
今回初めての試みとなる日本緩和医療学会と公益社団法人全日本鍼灸学会の合同シンポジウム『緩和ケアにおけるがん患者に対する鍼灸治療の現状と今後の展望』において、緩和医療における鍼灸のメリットや課題が話された。座長を務めたのは、石木寛人氏(国立がん研究センター中央病院)と山口智氏(埼玉医科大学)。
山下仁氏(森ノ宮医療大学)は、鍼灸は伝統療法ゆえ科学的検証は遅れていたが論文は増加傾向にあり、2024年末時点で国内の19の診療ガイドラインにおいて28の推奨に関する記載があると伝えた。肯定的な推奨は疼痛や脳卒中後の肩手症例群など18あり、病態によっては日常臨床以上に慎重な感染症対策が不可欠となる。
鍼灸が評価されにくい理由として、無治療との差は明らかでも偽鍼は刺激による効果が出てしまい真の効果との差が検出されにくいと話した。また情報源に関し、健康情報全般はテレビやインターネットが主流なのに対し、鍼灸は医師の勧めや口コミが多いとの調査結果を示し、医師の理解を深める努力とともに、専門知識を身に付けた鍼灸師が施術する必要性を強調した。
萩原彰人氏(国立病院機構埼玉病院)は、鍼は日英の慢性疼痛診療ガイドラインにおいて推奨されていると示し、下行性疼痛抑制系の賦活などによる鎮痛作用に優れていると説明した。緩和ケア病棟の患者に対しては、痛みに苦しむ中での侵襲刺激の敬遠や、出血傾向などから接触鍼が有用だと紹介。医師である自身が刺さない鍼に興味を持ったのは、化学療法誘発性末梢神経障害(Chemotherapy-induced peripheral neuropathy : CIPN)に対し、有害事象なく、ほとんどの被験者が大きく改善した小川恵子氏(広島大学病院漢方診療センター長)らの研究結果に驚いたからだという。小川氏の在籍する病院では鍼治療を提供し、外来では不定愁訴、がん疼痛、化学療法の副作用を、病棟では悪心、倦怠感、食欲不振、全身痛、呼吸困難など緩和ケアを中心に行っている。
病鍼連携が望まれるが療養費の問題などがあるほか、さらなるエビデンスの構築や医学部での卒前教育、鍼灸適応の明確化など、医師と鍼灸師が顔の見えるコミュニケ―ションのもと課題に取り組むべきと訴えた。
(さらに…)