日本小児はり学会第18回学術集会 「小児はりの臨床」を講演と体験で学ぶ
2024.12.16
日本小児はり学会の第18回学術集会が11月17日に森ノ宮医療大学(大阪市住之江区)で開催された。テーマは『小児はりの臨床』。
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日本小児はり学会第18回学術集会 「小児はりの臨床」を講演と体験で学ぶ
日本小児はり学会第18回学術集会 「小児はりの臨床」を講演と体験で学ぶ
2024.12.16
日本小児はり学会の第18回学術集会が11月17日に森ノ宮医療大学(大阪市住之江区)で開催された。テーマは『小児はりの臨床』。
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予防鍼灸研究会第19回定例会 鍼灸院でできる認知行動療法
予防鍼灸研究会第19回定例会 鍼灸院でできる認知行動療法
2024.12.13
予防鍼灸研究会の第19回定例会が11月24日(日)にオンラインで『鍼灸臨床に活かす認知行動療法』をテーマに開催された。会長の金井友佑氏は認知行動療法(Cognitive Behavior Therapy :CBT)は患者に寄り添って心身の治療を行う鍼灸師にとって親和性があり、患者のさらなるQOLの向上に貢献できるとして、気づきや学びを持ち帰ってほしいと呼びかけた。
傾聴・共感・受容を意識、不眠や慢性疼痛にも効果
脇英彰氏(帝京平成大学ヒューマンケア学部鍼灸学科講師)は『鍼灸師による低強度認知行動療法の導入とその重要性』と題して、低強度CBTの方法や鍼灸師との親和性について解説した。
CBTとは、ストレスや困難な状況で固まった考えや行動を柔軟にしたり、楽に過ごせるように変容させたりすることを目的とした心理療法のことで、脇氏は「低強度CBT」について、「自分でもできるCBT」と説明し、軽度のうつ、不安、不眠などを抱える患者の相談に乗り、支援を行うものとした。CBTを行う際の前提として、患者に対する傾聴・共感・受容があり、患者の悩みに寄り添うことを意識して欲しいと語った。 (さらに…)
第32回日本刺絡学会学術大会 刺絡の有効性を東西医療の両観点から討論
第32回日本刺絡学会学術大会 刺絡の有効性を東西医療の両観点から討論
2024.12.06
第32回日本刺絡学会学術大会が9月29日にタワーホール船堀(東京都江戸川区)で開催された。テーマは『刺絡鍼法の可能性-こんなときは刺絡だよね?』。
故・工藤訓正氏の足跡振り返り刺絡の原点を考える
会頭講演では、工藤哲也氏(鍼灸和揚堂院長)が『刺絡の原点』をテーマに、刺絡治療に力を尽くした叔父の故・工藤訓正氏について語った。医師であった訓正氏が刺絡の効果を確信したのは第2次世界大戦に遡る。現在のベトナムの野戦病院で流行したマラリアに井穴刺絡が多大な効果を発揮し「刺絡をした患者で死亡した人はいない」と話すほどだったという。
帰国後は脳卒中の患者を多く診る中で予防を突き詰めるようなり、頚・肩のこりの解消にたどり着いた。「頚肩の凝りは、真綿で頚を絞め血液を下がらなくするようなもの」と工藤氏は伝え、局所のみでなく頚・肩も合わせて治療し、全身のバランスを整えれば自然治癒力も高められると説いた。
また、工藤氏は「刺絡は補瀉や気を整えると考えるのは違和感がある」とも強調。血液の滞りを取り除くアプローチを直接施す荒治療の類であり、この後に鍼灸の治療をすれば効果的だと話した。生前に訓正氏が背部を吸玉と灸頭鍼で治療する画像も公開された。
「こんなときは刺絡だよね?」という場面を共有。実践のための課題も
シンポジウム『刺絡鍼法の可能性』では石木寛人氏(国立がん研究センター中央病院緩和医療科)、堀口葉子氏(同病院緩和医療科)、原オサム氏(積聚会)、小栗重統氏(啓愛会美希病院)、上馬塲和夫氏(日本アーユルヴェーダ協会)、工藤哲也氏が討論を行った。座長は関信之氏(関墨荘堂鍼灸治療院)。
関氏が刺絡の効いた例を尋ねると、工藤氏は「鍼だけで難しい場合に刺絡は効果的」と治療の可能性が広がる旨を伝え、上馬塲氏も中国では鍼灸に推拿など何かを組み合わせて治療するのがポピュラーだと話し、カッピングを利用して筋膜をリリースする「スライディングカップ」という手法を紹介。法に触れない範囲で東洋医学を広く活用し患者を診る必要性を語った。小栗氏は座骨神経痛への有効性を実感していると話した。
原氏は気と陰陽観で身体を診る中で、手術痕を含む外傷は通過障害が多く「傷を治すため様々なものが停滞する」と説明した。また主訴に捉われず、「生命力の低下」の原因を改善する必要性を強調した。
石木氏は、がん患者の重度はグレード1から5までで評価されるが、比較的軽度とされるグレード1では痛みや食欲の問題を抱えながら日常を送らなければいけないという現状があるという。関氏が「がんが鍼灸で悪化することはあるか?」と問うと、石木氏は「一本の鍼で複数刺したところ、刺鍼箇所に沿いがんの発生がみられたとの発表や、手技療法においてリンパ節をしこりと見誤りつぶして拡散したとの報告があった」と回答、病変への刺鍼による拡散リスクや見極めの難しさを指摘した。
関氏が「血行改善による悪化の可能性」を問うと、堀口氏は「可能性はあるが、抗がん剤を早く排出し、生命力を上げる効果も期待できる。患者さんには気分が良くなるのは体にいいこと、と話している」といい、上馬塲氏は「免疫学の視点からは、メンタルが免疫機能に影響すると分かってきている」と話した。
会場から「刺絡が業界でアンタッチャブルなものと扱われる傾向について打開策は?」との質問が上がると、工藤氏は「そもそも三稜鍼は我々のアイテムだと認識すべき。問題を起こさないための対策が学会の使命で、講習会において感染防止から手法まで認定制度を設け指導している。学校で正確に教育してもらう努力も我々の仕事である」と述べた。原氏は「養成校での指導において学生は刺絡に大変興味があると感じる。過去の事件の経過やトラブルも話し、適切に教えなければいけない」と訴えた。
小栗氏は「毫鍼と比べると交絡因子を排除しやすく、有意差を確認しやすい」と標準化への希望をにじませ、石木氏は診療報酬の委員を務めた経験から「厚労省に響くのは医療費が減るということ。回数や時間のデータ化で可視化して示せば、標準化の可能性が高まる」とアドバイスした。
刺絡を指導できる教員を育てる
日本刺絡学会会長の清水尚道氏(森ノ宮医療学園専門学校校長)は「学校教育において刺絡の指導は、まだ段階を踏む必要があるが、新しい東洋医学臨床論に刺絡は記載されることとなった。教員が刺絡をできるよう、当会では教員向けの基礎講習会を無料で行っている。学校教育の進め方についても地道にまとめている」と話し、会場にも協力を呼びかけた。
他にも、王醫仙氏(日本董師奇穴針灸学会主)の講演『董師奇穴・急症絡刺』や一般演題5題が行われた。
第52回日本伝統鍼灸学会学術大会東京大会 流派や学問を超え「気」について考える
第52回日本伝統鍼灸学会学術大会東京大会 流派や学問を超え「気」について考える
2024.11.20
第52回日本伝統鍼灸学会学術大会東京大会が10月26日、27日にタワーホール船堀(東京都江戸川区)で開催された。テーマは『東洋医学の神髄に迫る―心身一如の氣の医学』で、アーカイブも含め662人が参加した。
神髄は『黄帝内経』にある
会頭講演では、木戸正雄氏(天地人治療会会長)は、東洋医学に立脚した様々な治療の神髄は『黄帝内経』にあり、誰もが気を扱えるようシステム化して解説したと話した。気そのものの説明がない点においては、成立当時は当然のことと認知されていたからだという。
気の認識は『周易(易経)』がベースにあり、万物を構成する最小単位である旨、すべての法則を支配するものとの旨が明記されている。また、東洋医学で扱う気について、物質に意識や記憶、生命が宿る現象を検証した書籍や論文、同大会で講演もある鮎澤聡氏(筑波技術大学保健科学部教授)の著書などを引用して説明した。
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第19回日本鍼灸師会全国大会 未来に伝えたい技術、福岡から発信
第19回日本鍼灸師会全国大会 未来に伝えたい技術、福岡から発信
2024.11.14
国民の認知度向上、期待に応えるには
公益社団法人日本鍼灸師会の第19回全国大会が10月26日、27日に福岡市内で『原点回帰―未来に伝えたい鍼灸の技術(わざ)』をテーマに開催された。
会長の中村聡氏は最近の鍼灸や東洋医学の情勢について、NHK番組『あしたが変わるトリセツショー』や講談社ブルーバックス『東洋医学はなぜ効くのか』など、一般向けのコンテンツが世に多く出始めたことで、興味を持ってくれる国民が増えつつあると語った。認知されるということは期待されていることでもあるとし、その期待に応えてなければならないと会場へ呼びかけた。
今大会は実技供覧が多く盛り込まれ、1日目は伝統鍼灸、2日目は現代鍼灸がそれぞれ行われた。
技術・経営・キャリア、伝統鍼灸の大家が回答
今大会では実技供覧と『伝統鍼灸について語る』と題したシンポジウムがセットで行われた。橋本巌氏(経絡治療学会理事)、竹下有氏(北辰会学術副部長)、藤原典往氏(積聚会役員)がそれぞれの技術を披露した後にシンポジストとしても登壇し、座長の仲嶋隆史氏(福岡県鍼灸マッサージ師会副会長)、馬場道啓氏(福岡県鍼灸マッサージ師会学術部長)や会場からの質問に答えた。
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第14回日本中医薬学会学術総会 中医学の継承と発展のための課題とは
第14回日本中医薬学会学術総会 中医学の継承と発展のための課題とは
2024.11.13
日中の伝統医学の併用
第14回日本中医薬学会学術総会が10月5日、6日にくまもと県民交流会館パレア(熊本市中央区)とオンラインで開催され、260人が参加した。テーマは『中医学の叡智で限界を突破する』。
会頭の加島雅之氏(熊本赤十字病院総合内科部長)は近現代に誕生した西洋医学が世界医学になっているのは、再現性が科学的に認められているゆえとし、中医学も妥当性を説明する方法を模索すべきだと伝えた。
また、「湯液と鍼灸で動かす気は同じものか?」と問いかけ、古くから関係性が議論されてきた経絡と三焦に関する記述を『金匱要略』『素問』『霊枢』から引用。 (さらに…)
セイリン主催セミナー 海外経験豊富な4人の鍼灸師が集合!
セイリン主催セミナー 海外経験豊富な4人の鍼灸師が集合!
2024.11.07
世界をターゲットに活躍するためのアドバイス
セイリン株式会社主催のセミナー『ワールドワイドな鍼灸師を目指そう! 海外鍼灸事情とインバウンド需要への対応』が10月5日に同社東京営業所セミナールーム(東京都千代田区)とオンラインで開催された。
海外で活動経験のある向井陽子氏(向井鍼灸院院長)、宮口一誠氏(医療専門英会話セラピストイングリッシュ代表)、山川義人氏(Moxafrica日本事務局代表)、松永光将氏(フリーランス鍼灸師)の4名の講師陣が対談を行った。
ビザや鍼灸資格は国ごとに確認が必要
向井氏は、オーストラリアの鍼灸事情について語った。オーストラリアは、コロナ以降ワーキングホリデーで渡航する日本人が増加し、英語力はもちろん技術、知識などがなければ就労は難しい現状にあるという。鍼灸で働くには、現地の4年制大学で学び資格取得が必要になる。
しかし、自身が講師も務める、日本で学び保険加入のうえ海外で働ける国際ライセンス 「Japanese needle therapy practitioner(鍼灸セラピスト資格)」で学ぶ、皮下に浅く刺すドライニードルのような手法であれば可能だと紹介した。求人は、都市部は少ないが郊外なら見込みもあると語る。
山川氏から鍼灸受療の動機について問われると、「審査機関を経て、病院を受診し薬の処方、と受診プロセスが煩雑なため、その前に体を整えたいと考える人が多い」と向井氏は回答。松永氏は、オーストラリアはビザの取得が難しい国の一つだといい、何年勤務したいのかを想定して働く国を選ぶよう伝えた。
日本で外国人を集客するには
宮口氏は外国人客の取り込みのポイントについて、現在集客業務に携わっている鍼灸院を例に解説。多く来院しているのは駐在している外国人で、駐在・インバウンド問わず、まず情報源とされるのはウェブサイトだと話した。
重視されやすいのが (さらに…)
第13回日本AT学会学術大会 関係者同士が有機的な連携を
第13回日本AT学会学術大会 関係者同士が有機的な連携を
2024.11.06
日本アスレティックトレーニング学会(越田専太郎代表理事)の第13回学術大会が愛知県豊田市の中京大学トヨタキャンパスとオンラインのハイブリッドで9月14日、15日の2日間にわたり開催された。大会テーマは『アスレティックトレーニングを支える経験・研究・教育の連携』。
経験と研究を集め、教育へつなぐ
大会長基調講演で倉持梨恵子氏(中京大学スポーツ科学部)は今大会のテーマについて、「経験・研究・教育の3つがどのように連携していくのか、大会を通して考えてもらいたい」と呼びかけた。
まず、経験とはATとして現場で選手と向き合う中で得られる様々な情報だといい、研究・教育について、スポーツ現場で働くATとは無縁のように見えるかもしれないが、学会等で経験や知識を共有することで、研究・教育のサポートにつながるとした。
現在、メタアナリシスやシステマティックレビューはエビデンスとしての信頼度が高く、ATを含む専門家の意見や論説は低いと捉えられている。しかし、彼らの背景には経験や知識が多く積み上げられていると語った。
その一例として、自身が指導した大学生水泳選手の減量について紹介。一般論として大幅な減量はパフォーマンスの低下につながりやすいとされるが、同選手の希望で77kgから70kgへの減量を行ったといい、結果として、タイムは大幅に縮み、インカレでも優勝したと振り返った。そうしたエビデンスから外れた経験は、それに関わった個人しか持っておらず、だからこそ、学会等でそれぞれの経験を持ち寄り、参加者で共有することが新たなステップになると語った。
ATとしての働き方、求められる能力と資質は
シンポジウムでは「アスレティックトレーナーのキャリアパス」と題して、整形外科に関わるAT、学校所属AT、起業家ATの3つの立場から、要求される知識や資質について意見が述べられた。 (さらに…)
東洋医学の未来と愛を考える歴史教養講座オフ会 東洋医学の深い心や歴史を学ぶ
東洋医学の未来と愛を考える歴史教養講座オフ会 東洋医学の深い心や歴史を学ぶ
2024.11.01
「身心一如」の定義とは?
9月7日に武田薬品工業内(京都市左京区)で東郷俊宏氏(鍼灸サロンえれじあぷらて~ろ院長)が主催するオンライン講座『東洋医学の未来と愛を考える歴史教養講座(初級編)』のオフ会が開催された。同講座は全10回シリーズで、今回は第7回を終了して初の対面講座となり49名が参加した。
セラピストを対象としたオンライン講座への想い
鍼灸師だけでなく、アロマセラピストなど、100名近くの受講生が集まった「東洋医学の未来と愛を考える歴史教養講座」。なぜこのオンライン講座を始めたのか。講演の冒頭で東郷氏はその理由を、1)国際標準化での経験、2)専門学校での教育の現状の2点を取り上げながら語った。
東郷氏は2005年からおよそ20年にわたり、WHOやISOにおいて伝統医学の国際標準化に携わった中で、日本は自国の伝統医学の言語化が遅れており、そのことが規格策定時に他国と交渉するうえでも障害になった経験を語った。日本の繊細な鍼灸を他国に理解してもらうためにはそれを的確に表現する「言葉」が必要であり、そのためには東アジアの中で独自の発展を遂げた日本の伝統医学の歴史を深く理解することが大事だという。そして、そのような「言葉」を持つことの重要性を若い鍼灸師や東洋医学に興味を持つセラピストに伝えたいと思ったことが講座を始める大きなきっかけになったと語った。
また近年、鍼灸学校における学生の男女比が逆転し、アロマやハーブ、アーユルヴェーダ、ヨガなど多様な自然療法、代替医療の知識を持った学生も多い現状から、「これから求められる東洋医学」とは、東アジア医学の影響を受けた世界の伝統医学を含む幅広いものだと語った。東洋医学の特徴としてしばしば言及される「心身一如」についても、「では『身心一如』の定義とは?」と質問を投げかけ、セラピストとして多様な伝統医学を活用するには歴史を学び、バックグラウンドにある「心」を知ることが大切だと講座の意義を伝えた。
近代の日本鍼灸における生理学研究の系譜と矢野教授
東郷氏は、明治4年の医制発布以降、鍼灸は正統医学の座から追われたものの、石川日出鶴丸(京都大学)や橋田邦彦(東京大学)のような戦前の生理学者達がラングレーやハンス・セリエなど西洋の研究者の学説を参照しつつ鍼灸の治効メカニズムの研究に尽力したことを指摘した。その上で、鍼灸師で初めて医学博士を取得した芹沢勝助を指導したのは、橋田の高弟であった杉靖三郎氏だったこと、また杉靖三郎の子息でやはり電気生理学を専攻した杉晴夫氏のもとで学位を取得したのが矢野忠氏(明治国際医療大学名誉学長)であったことを紹介し、矢野氏に講演を繋いだ。
自律神経研究が鍼灸の信頼獲得の要に
矢野氏はこれまでの研究者としてのキャリアの中で、鍼刺激が自律神経に与える影響や、東洋医学独自の経脈、経絡、四診など現代生理学的に説明がつかない概念を可視化して説明するため研究を重ねてきたと話した。文明の進歩とともに疾病構造が変化し、ストレス社会となった現代は臓器に不調が現れやすく、「人が病む」という病態が増えているという。そして心身をリンクするのが自律神経だと説明した。
迷走神経において、耳や足三里の鍼での炎症抑制やニューロモデュレーションによりうつ症状や高血糖を治療する機器も開発されていることを紹介し、「重要な生体システムを司る自律神経の解明が、鍼灸の治効メカニズムに対する信頼性を高めるための課題」と伝えた。また現代は「脳疲労」の時代であり、多様なストレスが脳の旧皮質、新皮質それぞれの失調をもたらし、身体的、精神的な病気に繋がっていることを指摘した。
さらに肉体、精神的疲労、心因的精神疲労などのストレスによって自律神経中枢が疲労すると、眼窩前頭野において疲労感が自覚されるが、この疲労感は意欲・報酬・やりがいなどによりマスクされる現象が確認されており、このような「疲労感なき疲労」に対して注意を促した。
対談に加わった東郷氏は自身の母親の介護経験を振り返り、「使命感で限界が来るまで疲労感を自覚できず働いてしまう」と伝えた。矢野氏は疲労による経済損失は年間18.9兆円にのぼるという調査結果にふれ、「治癒力を賦活する療法の価値は高まっていく」と語り、東郷氏は「企業人の中には、疲労感を感じないままストレスと疲労をためている人が沢山いる。業界・学会が手を組み、エビデンスを積み上げ事業計画を立てるべき」と訴えた。自然治癒力を、皮膚を通し賦活させるための手によるケアも実演し、肌から心身一如の体にアプローチする「愛」のある療法として実践を呼びかけた。共に研究に励んだ際のエピソードなどユーモアを交えた掛け合いもあり、和やかな雰囲気で講演は幕を閉じた。
「見る・味わう・かぐ・触る・聞く」植物園。武田薬品工業薬用植物園を見学
セミナー後は、武田薬品工業薬用植物園見学が行われた。同植物園は昭和8年に医薬品の研究材料としての、薬用植物の基礎研究および生産のため設けられたもので、1,900種の薬用植物、252種の絶滅危惧植物を含む約3千種を保有する。現在は薬用植物の保全、栽培研究、教育研修支援と目的を変え、京都市と連携し社会活動の場としても開放するようになっている。見学は「見る・味わう・かぐ・触る・聞く」ことができ、参加者はガイドの案内のもと、植物をつみ香りや味を確認した。
懇親会も行われ「東洋医学の歴史とは、先人がよかれと思ったことを積み重ねたものだと知った」「一生懸命治療するという、人を心配する気持ちを感じた」など講座の感想や、セラピストとして取り組む活動など様々な話題で盛り上がり、職種を超えたにぎやかな交流の場となった。
第19回社会鍼灸学研究会 『鍼灸のアイデンティティーを求めて』テーマに
第19回社会鍼灸学研究会 『鍼灸のアイデンティティーを求めて』テーマに
2024.10.31
第19回社会鍼灸学研究会が10月12日、13日、都内の鍼灸系専門学校とオンラインのハイブリッドで開催された。大会テーマは『鍼灸のアイデンティティーを求めて―日本の伝統医療と鍼灸』。
日本鍼灸は歴史的に弱刺激の治療を追及
同研究会代表の形井秀一氏(筑波技術大学名誉教授)は、『日本鍼灸とは何かを考える』と題して講演した。現代の日本で行われている鍼治療は、基本的に『霊枢』における九鍼の機能3種(切開する鍼、刺入する鍼、擦過する鍼)を用いた技術だと説いた。
鍼が大衆化したのは今から約400年前で、杉山和一により管鍼法が考案されるなど江戸期に「日本鍼灸」として花開いたと説明。具体的には、都市化に伴い日本人の体質が敏感となり、それに合わせる形で刺鍼時の刺激量を少なくする必要が生じ、鍼体が細くなったと推察した。また、鍼体が細くなると切皮時の痛みを最小限に抑えたり、刺入後の刺激をソフトにしたりする操作が不可欠となり、併せて灸でもサイズが小さくなったと述べた。
明治期以降は西洋近代医学を基礎理論にすることが求められ、戦後に入っては、特に1970年代より中医学に基づく鍼灸と日本古典の鍼灸との共存状態が起こり、現在、臨床の場ではそれらを折衷する鍼灸治療が主に実践されていると解説。鍼法は管鍼法や鍉鍼法へ、灸法は透熱灸から台座灸などへと変化をたどり、「歴史的に弱刺激の治療が追及され続けてきた」と日本鍼灸を振り返った。
「鍼が医療用で、針が縫製用」は近代以降
『鍼灸、漢方、東洋医学の名称の意味とその変遷の歴史』がテーマの講演では、東洋医学研究の第一人者とされる小曽戸洋氏(北里大学客員教授)が登壇した。「鍼」という字は、中国後漢時代の学者・許慎が編纂した字書『説文』に「鍼、所以縫也、従金咸声」とあり、古くは「シン」の音とは異なり、「ゲン」と発音された節もあると説明。「針」は中国では「鍼」を簡略した語として書かれ、「十」の部分は「はり」の象形で、「針」の音は「鍼」の音の借用だと述べた上で、「鍼」と「針」は異体同字といえると説いた。 (さらに…)
日本中医鍼灸研究会設立記念大会 中医鍼灸も医療の一翼
日本中医鍼灸研究会設立記念大会 中医鍼灸も医療の一翼
2024.10.19
技術と生活の向上を目指して
2024年春に発足した日本中医鍼灸研究会が9月15日に設立記念大会を東京都品川区で開催した。同会は中医基礎理論を土台に鍼灸学のみならず、漢方や養生も含めた中医学の発展と、より良い治療効果の探求を目指して立ち上げられた。
理・術の両輪で、納得できる鍼灸術
会長講演で賀偉(ガ・イ)氏は『鍼が効く本質を見つけ出す』と題して、中医鍼灸とは何か、中医鍼灸との向き合い方を説いた。
賀氏は鍼灸治療で、どうすれば早く治せるか、少ない施術回数で再発を防げるかを常々考えているといい、自身の経験から『認症立証論治論針』という言葉を作ったと語った。この言葉は、中医学の礎ともいえる「弁証論治」よりもさらに具体的な考え方だといい、 (さらに…)
日鍼会近畿ブロック青年委員会が若手のための『繋がる』鍼灸フェス開催
日鍼会近畿ブロック青年委員会が若手のための『繋がる』鍼灸フェス開催
2024.10.18
出展者・参加者の垣根を超え大交流!
9月29日に森ノ宮医療学園専門学校(大阪市東成区)にて「若手鍼灸師・鍼灸学生のための『繋がる』鍼灸フェス」が開催。当日は開場すぐから多くの参加者で賑わい、合計220人が足を運んだ。
一日を通して黒山の人だかりだったのが、13の流派・研究会がそれぞれテーマに沿って来場者をモデルに治療を披露したデモンストレーション会場。『コロナ感染後の後遺症に対する長野式治療』がテーマの長野式臨床研究会では、講義形式の解説と実演が並行して行われ、メモを取りながら熱心に聞き入る人もみられた。 (さらに…)
令和7年実施のあはき国試、日程決まる
令和7年実施のあはき国試、日程決まる
2024.10.17
公表が遅れていたあん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師のそれぞれ33回目となる国家試験の日程が、このたび発表された。
あマ指師は令和7年2月22日(土)、はり師及びきゅう師は同年2月23日(日)に実施される。合格者は同年3月26日(水)の14時から厚労省ホームページなどで発表される。
併せて、東洋療法研修試験財団ホームページ上でも各地域の試験会場が伝えられている。なお、今回より受験手数料が19,500円(改定前14,400円)に引き上げられている。
参考:東洋療法研修試験財団ホームページ「第33回あはき師国家試験会場について」
全鍼師会の第23回東洋療法推進大会 「新たな潮流・生み出す未来」テーマに
全鍼師会の第23回東洋療法推進大会 「新たな潮流・生み出す未来」テーマに
2024.10.09
徳島で4年ぶりにリベンジ開催、600人超参加
全日本鍼灸マッサージ師会(全鍼師会)の『第23回東洋療法推進大会in徳島』が9月29日、30日、徳島グランヴィリオホテル(徳島市万代町)で開催された。2日間で延べ640人が参加した。
開会式は、来賓として地元の徳島市長・遠藤彰良氏のほか、複数のあはき関連団体の会長などが参加し、自民党の自見はなこ参院議員(前内閣府特命担当大臣)、公明党の伊佐進一衆院議員(元厚生労働副大臣)、日本医師会の松本吉郎会長らからはビデオメッセージが寄せられた。長嶺芳文会長は、「徳島県での開催は、実は令和2年に予定していて、準備も万全でありながら直前で新型コロナによる中止となった。今回、4年ぶりにリベンジが果たせて嬉しく思う」と喜びを交えて挨拶した。
10月導入の「訪問施術料」について解説
保険講演では、全鍼師会の副会長・往田和章氏が、10月より導入された療養費の「訪問施術料」を中心に令和6年料金改定について解説した。 (さらに…)
柔整学校協会第66回教員研修会 時代の変化受けたカリキュラム改定
柔整学校協会第66回教員研修会 時代の変化受けたカリキュラム改定
2024.10.08
学校協会、業団、試験財団の三者協力で臨む
公益社団法人全国柔道整復学校協会の第66回教員研修会が9月21日、22日に昨年と同じく『柔道整復の新時代へ』をテーマに東京保健医療専門職大学(東京都江東区)にて開催された。
谷口和彦会長は開会式でコア・カリキュラムの構築を含むカリキュラムの改定について、日本柔道整復師会、柔道整復研修試験財団とチームを組んで進めていると語った。また、少子化に伴い入学志願者が減少しており、各校でも最重要課題であろうと述べ、何よりも柔整師を目指す若者を増やす必要があると指摘した。そのためには、 (さらに…)
「第3回全国あん摩マッサージ指圧コンテスト」「第1回あん摩マッサージ指圧甲子園」開催
「第3回全国あん摩マッサージ指圧コンテスト」「第1回あん摩マッサージ指圧甲子園」開催
2024.09.27
全国から集まった選手が日頃の成果を競う
8月25日に大宮呉竹医療専門学校(埼玉県さいたま市)にて『第3回全国あん摩マッサージ指圧コンテスト』(一般部門)、『第1回あん摩マッサージ指圧甲子園』(学生部門)が開催された。主催は一般財団法人一枝のゆめ財団(矢野忠理事長)と社会福祉法人日本視覚障害者団体連合(竹下義樹会長)で、日本全国から53人の参加者が集まった。
(さらに…)
兵庫県鍼灸師会の第51回東洋医学夏季大学 東洋医学が進化する可能性を探る
兵庫県鍼灸師会の第51回東洋医学夏季大学 東洋医学が進化する可能性を探る
2024.09.20
「老化」や「死」は不可侵ではない
一般社団法人兵庫県鍼灸師会の第51回東洋医学夏季大学が7月21日にパルテホール(神戸市)とオンラインで開催された。
吉森保氏(大阪大学大学院医学系研究科特任教授)はオートファジーとは、細胞の中にあるたんぱく質をはじめとする構成成分を自ら分解して、再利用するシステムのことであると説明した。オートファジーの研究は1950年代より行われていたが、1993年の大隅良典氏(東京工業大学栄誉教授)による酵母Atg遺伝子の同定が進展の契機となり、2016年の大隅氏のノーベル医学生理学賞受賞後も論文が目覚ましく増加し続けていると示した。なお、吉森氏は1996年より研究に加わり「当時は役に立つか分からなかったが、新大陸に足を踏み入れるようにわくわくした」と振り返った。
(さらに…)
第2回日本養生普及協会全国大会 養生で地域を盛り上げる
第2回日本養生普及協会全国大会 養生で地域を盛り上げる
2024.09.20
第2回日本養生普及協会全国大会が8月10日、11日に京都府南丹市で開催された。大会では1日目は同市内の会場にてシンポジウムが設けられ、鍼灸師、企業、自治体がそれぞれの目線で養生や地域活性について報告。2日目は同市山間部にて地域特性を利用した養生体験が実施された。
養生から見えてくる新しい鍼灸のかたち
戸村多郎氏(関西医療大学大学院・准教授)は『曖昧未病の評価と悠々愛養生のススメ』と題して、自身の研究や東洋医学の特性を解説。初めに自身の研究について、不定愁訴の評価基準を作成して健康問題を解決することだと語り、自身が開発した『未病スコア』を紹介した。 (さらに…)
鍼灸の技法や道具が一堂に、若手のための『繋がる』鍼灸フェスが開催決定!
鍼灸の技法や道具が一堂に、若手のための『繋がる』鍼灸フェスが開催決定!
2024.08.25
9月29日に「若手鍼灸師・鍼灸学生のための『繋がる』鍼灸フェス2024」が開催される。会場は森ノ宮医療学園専門学校アネックス校舎(大阪市東成区)で、主催は日本鍼灸師会近畿ブロック青年委員会。参加費は無料。
繋がりを通して、自分のやりたい治療を見つけ、明るいビジョンを持つための初開催フェス。「繋がる」方法は学び・仲間・情報の3通りあり、多彩な企画を予定している。
ジャンルに特化したセミナーは、産後ケアに取り組む今村匡子氏(あさひ鍼灸院代表)、プロスポーツトレーナーの山田晃広氏(株式会社Amistad代表取締役)、医学博士で鍼灸師の建部陽嗣氏(一般社団法人ACAJ顧問)など活躍中の講師陣6名が各専門分野の最前線を伝える。
治療諸派団体による実技供覧とブース展示はなんと13もの団体が全国から大集合。北辰会、一般社団法人日本小児はり学会、長谷川流鍼灸、YCT、キイコスタイルジャパン、ハリトヒト。などが治療実演を行うほか、直接疑問をぶつけることもできる。株式会社チュウオー、セイリン株式会社、ダイヤ工業株式会社、ダーマローラージャパンなど企業ブースも充実して、鍼灸師の必需品である治療ツールに触れ体験することも可能。
イベントを締めくくる「繋がる」大トリ企画は懇親パーティ。鍼灸師、鍼灸学生、企業、治療団体と立場を超えて自由に情報交換をし、交流する時間を設けている。「やりたい治療を学ぶ機会に出会えず諦めるなんてもったいない。若手鍼灸師、鍼灸学生のうちに興味のある治療を1つでも見つけ、将来に希望をもってほしい」と話すのは日本鍼灸師会近畿ブロック青年委員会の岩津優希先生。
多方面の出会いを通した鍼灸業界の活性化も視野に入れた「若手鍼灸師・鍼灸学生のための『繋がる』鍼灸フェス」、詳細は下記リンクより確認を!
若手鍼灸師・鍼灸学生のための『繋がる』鍼灸フェス2024
福島県立医大が鍼灸院を開設
福島県立医大が鍼灸院を開設
2024.08.09
付属病院と連携で医療拠点に
公立大学法人福島県立医科大学が、福島市の同大学敷地(キャンパス)内に鍼灸院を立ち上げ、8月1日に開院した。隣接する付属病院の各診療科との連携も視野に入れ、現代西洋医学と東洋医学を融合した統合医療を中心とする鍼灸治療を展開していくという。公立の医科大学が鍼灸院を運営する新たな取り組みとして期待が高まる。
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