第33回柔整療養費検討専門委員会、「物価高対応」「明細書の仕組み」巡って主張ぶつかる
2026.03.09
投稿日:2025.05.21
4月20日に天地人治療会の第2回学術大会が日本鍼灸理療専門学校(東京都渋谷区)で開催され、鍼灸師や医師など72名が足を運んだ。テーマは『現代に活かす氣の医学』。

会場の様子
会頭講演では理学療法士の中徹氏(筑波学園アール医療専門職大学学長)がリハビリテーションの手技療法における天地人の運用について語った。天地人という三才思想とは、天と地は人から独立し、天は人に動(陽)を、地は人に静(陰)を与え、人の中で両エネルギーのバランスをとり健康を保つ。万物は上から、天・人・地と横割りで三分割、陰陽は縦割りのスペクトラムでとらえられると解説した。
リハビリテーションにおいては、天地人は環境設定に、陰陽は治療の方針を考える際に、意識していると話した。さらに、陰陽は西洋医学では理解されにくいが、現場では高熱(陽)が契機となり難病(陰)が快方に向かうなど、西洋医学的には説明のつかない症例が陰陽の概念と合致することはしばしばあると報告した。
また、天地人を普遍的なものととらえ、運動療法において天は「健康の状態」、地は「環境などの背景」、人は「運動療法の目的・『活動と参加』を改善する対象物」であると説明した。理学療法士が手を貸し陰陽に介入する例とし、自動運動と他動運動を挙げ、自動運動では体の固定(地/陰)と動作を教える(人/陰・陽)ことを、他動運動では体の固定(地/陰)と動きの援助(天/陰・陽)を、と陰の要素をサポートすると話した。
他にもリハビリテーションにおいて、動かす(天)、支える(地)、患者の努力(人)は必須であるなど、「天地人」の哲学にほぼ対応する3つの要素で説明のつくことは多いといい、「東・西医学の止揚となり、より質の高いものが生まれると素晴らしい」と語った。

中徹氏
浦山きか氏(東北大学史料館協力研究員)は『黄帝内経』における天地人の用例を検討し、『霊枢』と『素問』に差異があると指摘した。『霊枢』は、一定の隔たりがある「天地」に「人」が対応、「天地」にあるものは「人」にもあるとし、『素問』では「天地」と「人」に親子関係が成立、最も貴重なものが「人」であるとの旨を示し、更に対応関係は数種類あると述べた。
漢代までの医書以外の文献についても引用し、天地人について様々な解釈がされる中で、医書において特に「数」を重視する傾向が強いのは、医学が数術の関連分野にあるためだと解説。数術においては、陰陽、五行、十干十二支などを含む天地の法則に則り予測を行う。医学も同じ体系にあり、脈を使い天地の法則に沿う治療をすれば「治ることが保証されたもの」と考えられると話した。
また、治らない体系外の事象とし、『素問』にみられる「人事」という言葉に触れ、医学的に悪い個所がない場合には環境や人間関係などメンタルの変調をみる重要性が古くから指摘されていると教示。「天地」を医学における体系的な知識、「人事」をそれ以外の要因に対する知識と総括し、現代においての天地人の医療観の広がりを展望した。

浦山きか氏
武藤厚子氏(天地人治療会学術部長)は小児鍼の実技供覧にて、対象は女児は7歳、男児は8歳とし、縦に流れる経絡と、人体を上から天地人の三層に分割したラインの交点を意識し治療すると話した。経絡治療家の山下詢氏の書籍『針灸治療学』にあるように、どの疾患においても全身に鍼を施し、症状に応じ経穴を追加すると説明した。
天地人と経絡の交点の見極め方においては、靳賢の『鍼灸大成』より図を引用し、天は泥丸、上部の天・人の交点は印堂穴、上部の人と地の交点は頬車穴に当たると示し、印堂穴から順に横のラインに沿い頭部をぐるりと一周治療してみせた。

子どもとの接し方もアドバイスしながら実技をする武藤厚子氏
木戸正雄氏(天地人治療会会長)は天地人治療について、体系化された経絡治療であり基本手順に沿い進めるが、ステップアップして学ぶことで臨機応変な治療が可能になると話した。基本手順は、①本治法、②異常経絡調整、③天地人の調整、④局所の反応の確認と施術、と順に改善がみられるまで治療を発展させる。
膝治療の実技ではジョークも交えた和やかな雰囲気の中、脈と患部を確認。痛みのある局所を避け、肘関節や足関節を天地人の概念に則り鍼で痛みを緩和した。さらに陽関を使う場合などもあると実演し、「段階的に学んでいくと様々な治療を考えられるようになる」と笑顔をみせた。

木戸正雄氏。方向や深さを解説しながら小海に鍼を行う
漢方専門医の東美紀氏(駒沢みみ・はな・のどクリニック)による教育講演では、耳鼻咽喉科専門医の立場から、天地人治療を活用して新型コロナウイルス感染症の後遺症を改善した症例が報告された。
他にも、突発性難聴、異文化圏での下肢障害、腰痛、顔面部VAMFITの本治法への転用、など多岐にわたるテーマ の一般口演や体験報告が行われた。

東美紀氏の講演『新型コロナウイルス感染症と耳鼻咽喉科』

石田将仁氏(石田鍼灸)の講演『難治性の周期性発熱症候群に対して頸入穴の触診を指標とした一症例』
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