連載『汗とウンコとオシッコと…』206 振拉摧拔(しんらつさいばつ)

  • TOP
  • 連載『汗とウンコとオシッコと…』206 振拉摧拔(しんらつさいばつ)

投稿日:2021.10.10

連載

 秋分の日に、愛らしい甘い香りの金木犀が咲いた。血が噴き出るような彼岸花の開花と同時にお目にかかるとは、季節の循行が実に早いものだ。
 今年の歳周りの在泉は太陽寒水だけあって、冬の到来が早まる気配がある。川の水に光が反射したり、夏のように水蒸気が蒸し上げられることもないので、川底が遠目でもはっきり分かるような収斂、粛殺の気の到来を候わせる。このような時期は肝気が肺の抑制を受け、少陽胆経に病が現れる。つまり呼吸が深くなり、酸素過剰で冷やされた肝臓は代謝が低下し、熱量が胆経から奪われるのだ。気短、右肩痛、仙腸関節痛、腓骨の弛緩で膝の内側が痛んだりすることも多い。あるいは、気温の低下で細動脈側が収縮して背面や四肢、とりわけ肘周囲に痺の病を形成する。今回はそれにまつわるお話だ。

「先生、私大丈夫でしょうか? 先日、エクステに行った時から眩暈がして丸一日寝込んだんですよ。自分でネットでも調べてみたら、熱や耳鳴もないし、突発性難聴でもなく……まさか脳? って思うと怖くなって……」
 訴えるのは40代半ばのキリっとしたセミロングの馬場さんという女性だ。

こちらは有料記事です。デジタル版に登録すると続きをお読みいただけます。

連載

この記事をシェアする

広告 ×

開業したいけど何から始めればいいかわからない…。全国4,000名の柔道整復師に選ばれる全国柔整鍼灸協同組合がそんなお悩みを解決!さらに、融資のプロ、日本政策金融公庫の担当者が融資を徹底解説!

【全柔協】秋の開業セミナーOPEN