連載『食養生の物語』108 『食欲との向き合い方』

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投稿日:2022.05.25

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 本連載も今回でまる九年、第一〇八回を迎えました。一〇八というと人の煩悩の数、大晦日の除夜の鐘の回数としても知られます。人の悩みや苦しみの中でも、健康や寿命に関するものは尽きないでしょう。そこで食を控えることができれば病は遠ざかり、若々しくいられて、さらには……と、良いことづくし。「腹八分目で医者いらず」ということわざは、実は「腹六分目で老いを忘れる、腹四分目で神に近づく」と続きます。ただ、分かっていてもなかなか出来ないのが人間ということでしょう。食べ過ぎからくる生活習慣病が多いのが現実です。

 食欲のコントロールに当たって「断食」で胃腸を浄化するのに勝ることはありません。体内に取り入れることを止めれば胃腸は休まり、身体全体で余分なものを排泄しようとします。体臭が強くなることもありますが、デトックスが進んでいる証拠。やがて肌のくすみが消え、透明感が出てきます。また、何よりも体が軽く、心まで晴れ晴れとしてきます。私も何度か経験していますが、思考もクリアになって判断力の高まりも感じられます。イスラム教の「ラマダン」に代表されるように、多くの宗教が教えの中で「祈り」と「断食」を重要なものとして説いています。「腹四分目で神に近づく」のは万国共通の理想の姿なのかもしれませんね。

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