連載『汗とウンコとオシッコと…』165 too fast

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投稿日:2018.05.10

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 ディープパープルならぬライトパープルの藤の花が連休前に散り、ツツジが花を落とした。季節の去来が速すぎる。速すぎる去来で身体が夏を感じた人は身熱症状、去来に反発した人は頭痛や梅核気、眩暈、耳鳴を呈し、夕方からの寂寥の風を感じれば、感染症症状を散見させ喘息様の咳嗽を呈することが多い。この時期の咳嗽は治療は簡単なのだが、治しにくい傾向にある。春が短かったために、毎年この時期に多い「ぎっくり腰」が例年に比べて極端に少ないのもその表れだろう……。

 横転先生が先に帰り、森畑が友人の勤める高校の陸上部の様子を見に行き、白川女史が知人の割石先生絡みの仕事で、川端が一人ワンオペで治療院を任された。その明くる日のことだ。川端が新患を診たと報告しているのだが、どうも上手くいかなかったらしく、横転先生に内容の矛盾を突っ込まれている。
「それで、お前はずっと、生活習慣病での脂ものの過食による腰痛と思い込んで治療してたわけか。基礎疾患が無くて……」
「は、はい。しっ、身長が170センチ、体重が78キロで、腎兪や志室がだるく痛いと訴えられて……、いっ、いや、いや、いや、でも、L4の外方にも、あっ、圧痛がござって……」
と弁明する川端。
「で? その人はアメリカから12時間のフライト後に痛くなったと訴えてたわけやな。もう一回聞くけど、アメリカに住んでた人が、人事異動で日の本に帰ってきたってことやな。それで両方の腎兪と志室に自覚があり、お前はL4の他覚の圧痛を診た」

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