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あはき

【無料レポート】予防鍼灸研究会特別例会2022 鍼で疼痛関連領域の機能異常を改善

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 予防鍼灸研究会の特別例会『心と脳に届く東洋医学』が8月21日、オンラインで開催された。

石山すみれ氏

石山すみれ氏

 『頭痛に対する鍼治療と疼痛関連領域の脳機能の変化』のテーマで講演したのは、石山すみれ氏(茨城県立医療大学)。片頭痛の国内の有病率は8.4%にも上る。国際頭痛分類第3版によると、頭痛は「一次性頭痛」と「二次性頭痛」に分類され、更に「一次性頭痛」は「片頭痛」「緊張型頭痛」「三叉神経・自立神経性頭痛」に、「二次性頭痛」は「薬物の使用過多による頭痛」などに分類される。片頭痛の特徴は、▽週2~月1回など周期的に同様の頭痛発作が起こる、▽日常生活に支障をきたすほどの痛みを感じる、▽光・音・臭いが気になる、など。石山氏は、閃輝暗点、視野異常、肩こりなどが前兆として挙げられるとし、片側性、拍動性でなくても片頭痛と診断されると説明した。

 一般的に片頭痛は、何らかの原因で収縮した血管が拡張して起こる「血管説」と考えられていたが、近年「三叉神経血管説」が有力になってきていると報告。視床や脳幹に何らかの刺激が加わると、三叉神経の興奮が起こり三叉神経の神経終末からCGRPなどの神経伝達物質が放出され、これに伴い頭蓋内の血管が炎症を起こし拡張するが、これは頭痛の直接の原因ではなく、刺激が三叉神経核に投射され、視床下部を経由し自律神経症状とし痛みを感じると解説した。

 片頭痛は薬物治療が主であるが、価格や処方制限などの問題もあると言及。また、「薬物の使用過多による頭痛」の危険も心配され、薬物のみに頼るべきでないと述べた。2021年の頭痛の診療ガイドラインでは、鍼治療の推奨グレードは薬物のグレードAに続くBとされ、元よりの「予防療法」に、今回から「急性期治療」が加わり、必要性が高まっていると話した。

 さらに石山氏は、海外で広く行われている、電気で神経を刺激する治療「Neuromodulation」に着目、鍼治療で再現する検証結果を発表した。片頭痛は、脳の疼痛関係部位の、活動の強弱のバランスで程度が分かると推察。そこで、後頭部皮下のC2領域に施鍼・通電したのち、脳局所活動をみる機能的MRIを用い、「前兆のない片頭痛」「慢性片頭痛」の数値を確認すると、「前兆のない片頭痛」に対し有意な変化がみられた。また、変化が確認できた部位が三叉神経との強い関係性を指摘されていることから「刺激が三叉神経を通して疼痛関連領域の働きを変化させ、症状を緩和した。疼痛関連領域の機能異常によると考えられる疾患は複数あり、鍼灸治療が有効な可能性がある」と見解を述べた。

虚証が多いフクロウ型体質

惠紙英昭氏

惠紙英昭氏

 惠紙英昭氏(久留米大学医療センター副院長、先進漢方治療センター教授)は『朝起きが苦手なフクロウ型に対する漢方治療を中心に』のテーマで講演。師である漢方家の山本巌氏の著書の言葉も引用し、人間は大別すると、早起きで元気、体力があり粘り強い「ヒバリ型」、朝元気がなく夕方から元気、疲れやすく力仕事が苦手な「フクロウ型」、その中間の「フィンチ型」があると解説。フクロウ型は、虚証が多く苦労を理解されにくいと述べた。さらに自身もフクロウ型であり、「かつては怠けや自律神経失調症と考えられた。社会人になりフクロウ型と診断され、苓桂朮甘湯に出会うまで改善せず悩んだ」と話した。

 フクロウ型体質になる原因は、西洋医学的要因の頸椎・脊椎異常や気分障害・適応障害、不登校、メニエール症候群と多岐にわたるとし、また、幼いころの事故や打撲などは見過ごしがちなため、生育生活歴や既往歴を詳細に聴取し、現代では新型コロナウイルス感染症後遺症も踏まえた診断が必要だと訴えた。そして、漢方や心のケア、運動や鍼灸などを取り入れ、心身の変化に注意を払い治療することが大切だと説明した。

 金子武良氏(金子指圧治療院)の『ソフト指圧によるコロナ後遺症の3症例』もあり、自身がコロナ後遺症患者を治療した経験の詳細を報告した。

 次回、予防鍼灸研究会の定例会は11月27日。学生は無料で参加可能。

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