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あはき

【無料レポート】富山鍼灸学会学術講習会 副鼻腔炎への鍼灸的アプローチ

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 富山鍼灸学会の学術講習会が7月3日、「副鼻腔炎の鍼灸治療」と題してオンラインで開催された。講師はハチドリ鍼灸院・院長の林由紀子氏。林氏はコロナ禍を機にセルフケアの動画を多数Web上にアップロード(副鼻腔炎を対象とした鼻づまり改善)。評判を聞きつけた患者が多く来院し、現在、患者の9割程度が副鼻腔炎の治療目的と話した。

講師の林由紀子氏

 

副鼻腔の手術を控えた80歳代女性の症例

 副鼻腔炎の主訴は鼻閉、喀痰、後鼻漏が多く、炎症箇所によっては、額や頬などに痛みが出る場合が少なくないと説明。副鼻腔の手術を控えた80歳代女性の症例では後鼻漏、右頬・額の痛みを主訴とし、後鼻漏による入眠障害が顕著であった。

 上星、印堂、迎香、足三里、復溜、豊隆に刺鍼し、上腹部の冷えには箱灸を実施。1カ月後に痰が低粘度・透明になり、仰向け時の後鼻漏も改善、2カ月後に呼吸器科でCTを撮影したところ、鼻腔・副鼻腔間の自然口に大きな改善が見られたため、手術をせずに経過観察となった。

 林氏は、その後、同患者の紹介で、彼女のかかりつけ呼吸器科医と繋がりができ、医科との連携が可能になり、病状に応じて患者のやり取りを行うようになったと話した。

 

好酸球性副鼻腔炎と低位舌

 近年の傾向として、好酸球性副鼻腔炎の患者が増えてきたと言及。難病指定で鼻茸の多発により嗅覚障害や喘息を伴うことが多く、鼻茸を取り除くための投薬・手術、症状の一時的な改善、鼻茸の再発、再び投薬・手術、と反復を繰り返すと説明。

 難治性のため、医科と協力して、ステロイド吸入を減らす、などの目指すゴール地点を患者ごとに決めて治療に臨むことが望ましいと述べた。

 また、副鼻腔炎に関連して、低位舌についても取り上げた。副鼻腔炎等が原因で鼻呼吸が困難になり口呼吸になると、開口が続くため舌の位置が下がり、鼻腔が閉じて鼻が通っていても鼻呼吸がしにくくなると説明。これにより慢性的な口呼吸となり、やがて低位舌になると続けた。

 本来、頭は舌によって上顎を持ち上げることで支えられているが、低位舌ではその支えが弱く、上下顎を食いしばることでこれを補おうとするため、耳への負担や頭痛等の原因になりうるとした。

 低位舌改善のアプローチとして、口周囲・口腔内のマッサージや舌運動によるセルフケアについても紹介した。

 

患者利益のためにも複数で診ることが重要

 最後に、自身の状態を十分に理解しないまま、処方された薬を飲み続けている患者が意外なくらい多くいる一方、自己判断で過激なセルフケアや勝手な服薬停止をする患者もいると訴えた。

 患者利益のためにも一方的な施術・治療ではなく、病状や施術意図の解説、食養生に関する指導のほか、病状に応じて医科への紹介など、一人の患者を鍼灸・医科・漢方などの複数で診ることの重要性を説いた。

-あはき

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