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あはき 連載

連載『汗とウンコとオシッコと…』232 涙の代わりに

投稿日:2024年1月10日

 去年は平均して暖かい冬であった。寒暖の差が激しく定点観測では寒い時もあったが、落葉が全国的に遅く、イチョウの葉が舞うのもずいぶん遅かった。

 今年はどうなるやら。素問の運気論では、年始は比較的暖かく、春先、春分の日のあたりで寒の戻りがありそうではあるが、特に海流の動きが大きく偏差する海水温が日本海にも影響するので、大陸と日本海を隔てた本邦はどう変化が現れるか理論値では測れないところがある。まあ、ゆったり、まったりした季節の変化は少なくなっているということだけは、はっきりしている。このような季節は身体の気化が激しく、血管が弛緩し、『傷寒論』でいう中風系の病が多くなるのではあるが、それに反発して緊張し、却って身体がおかしくなる場合もある。

「先生、調子が悪くて……」
と訴えるのは56歳の長身で細身、色の白い女性の山田さんだ。

「下痢と便秘を繰り返して、身体もだるくて、胃カメラやら大腸の内視鏡も検査してもらったんですけど、何ともないんです。食事も食べたり食べなかったり、バラバラです」
と下腹部あたりをさすっている。 

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