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柔道整復 連載

『医療は国民のために』362 何が何でも「整骨院」の文字を手放してはダメ!

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 2月13日に開催された「第9回あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師及び柔道整復師等の広告に関する検討会」の席上で、柔整師の施術所名称に「整骨院」を使用することを認めないとする合意がなされた。

 このことを私のブログに投稿すると、多くの反響をいただき、「整骨を使えなくなるのは困る」「絶対に認められない」「受け入れられない」などのコメントが届いた。正直なところ私に苦情を言われても困るが、気持ちは十分に理解できた。なぜなら、柔整業界が「整骨」の文字を手放してはならないことを誰よりも知っているからだ。

 「柔整師には整骨を使わせない」と決めた広告検討会の13名の構成員は、私から見れば、所詮は素人の集まりで、感情論で「整骨院はダメ」と叫んでいるとしか思えてならない。唯一、柔整業界から出席された日本柔道整復師会(日整)の理事も、これを容認する発言をしたようで極めて残念である。

 そもそも、整骨の名は、整形外科医が生まれる遥かに前の江戸時代から存続している。もっと歴史をたどれば、我が国で初めて外国医方を採用したのが、新羅より金武の来朝に始まるのならば西暦414年。この頃、「難波骨継」が出て、整骨術の基礎がこの当時(459年)あったのは事実ではないのか。

 私は歴史学者ではないが、柔整師ならば誰でも医学史を勉強しており、代表的なものとして、1810年の各務文献の『整骨新書』や1820年の奥田万里の『釣絃四科全書整骨編』があろう。ほかにも『正骨要訣』『正骨範』をはじめとする「整骨」の文字を用いた書物も世に多く存在する。

 柔道整復の先達や武道家の先輩方に対して、このままで顔向けできるのか。柔道家や武術との関連性に見る「整骨」の歴史的存在感と柔整師の成り立ちを議論できる専門家は業界にたくさんいるにもかかわらず、なぜ「整骨」の文字が柔整師の手から消え去ってしまうのか。このような状況を作ったのはひとえに日整と各都道府県社団にあると思うが、間違いだろうか。

 また、今後、無資格者が保健所への届出を要しないのをいいことに「整骨院」を名乗り出すことも想定される。これについては、また別の機会でしっかり解説することにしたい。

 以上のことから、柔整師が「整骨」を使うことができないという理不尽さに耐えられないことから、上田は徹底して「整骨院を守る」論陣を張る。今回、「整骨」の文字が大臣告示に無いということから整骨院を認めないと結論付けられたようだが、それなら大臣告示に「整骨」を追加する議論を正々堂々とやればいいではないか。

 必要に応じては国家賠償請求訴訟も辞さないことになるだろう。

 また、個人契約柔整師及び個人契約請求団体がこぞって「整骨院の使用不可」に反対する取り組みを行うことになろう。これを応援し、ともに闘いたい。整骨の名を守ろうではないか!

【連載執筆者】
上田孝之(うえだ・たかゆき)
全国柔整鍼灸協同組合専務理事、日本保健鍼灸マッサージ柔整協同組合連合会理事長
柔整・あはき業界に転身する前は、厚生労働省で保険局医療課療養専門官や東海北陸厚生局上席社会保険監査指導官等を歴任。
柔整師免許保有者であり、施術者団体幹部として行政や保険者と交渉に当たっている。

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