鍼灸柔整新聞

アイシングが軽度損傷の筋再生促進に有効、神戸大研究

 アイシングが筋再生を促進するとの世界初の研究成果を、神戸大学が3月22日付の同大学ウェブ上で公開している。発表したのは神戸大学大学院保健学研究科の荒川高光准教授、博士課程前期課程大学院生の長田樹氏、川崎医療福祉大学の川島将人助教らの研究グループで、2021年の『アイシングは肉離れなどの筋損傷後の再生を遅らせる』に続く研究報告となる。

 先の研究では、アイシングはスポーツ現場で「RICE (ライス)」処置のひとつとして広く行われてきたが、重篤な筋損傷の場合は回復が遅くなってしまう可能性を指摘していた。

 今回はスポーツ現場で多くみられる筋線維数の10%以下が損傷する軽微な筋損傷に着目し、ラットを使う実験で検証。激しい運動やマラソン時に相当する約4%の損傷に、前研究同様に2時間の間隔で3回30分ずつを損傷直後、1日後、2日後の合計9回アイシングし「再生筋線維横断面と横断面積」や「炎症性マクロファージの分布と損傷範囲」など観察した。

 その結果、損傷2週間後の再生骨格筋の観察で、アイシング群において再生筋線維の横断面積が有意に大きくなっていることが確認できたという。損傷の拡張に関わる炎症性マクロファージの集合をアイシングで抑制できることは以前の研究でも明らになっていた。今回さらに、炎症性マクロファージの持つ、損傷の拡張に関与する特性による二次的な筋損傷を抑制できた結果、筋再生促進につながった可能性が示された。

 今後の課題として、筋損傷の程度によるアイシング適応の線引きを挙げている。

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