鍼灸柔整新聞

埼玉の2つのあはき社団、県と災害協定結ぶ

「災害少ない県だが、万が一に備え」業界側から働きかけ

 埼玉県鍼灸マッサージ師会(山岸克也会長)と埼玉県鍼灸師会(山口智会長)が3月21日、それぞれ県と「災害時の救護活動に関する協定」を締結した。同日、県庁知事室において両師会合同で締結式が行われ、今後、災害に伴い設置される避難所等への施術者派遣や、県内被災者の支援で協力していく。

協定書を掲げる山岸会長(左)、大野元裕知事(中央)、山口会長(右)。秋山氏は全体左から2人目

県庁知事室での両師会合同の締結式の様子

 協定締結に当たっては、「あはき団体側から働きかけた」と話すのは、行政とのパイプ役を務めた鍼灸マ師会の秋山喜和氏(災害担当理事)。「他の都道府県では既に行政と業団が災害協定を結んでいると知り、いつ埼玉県でも大災害に見舞われるか分からず、準備だけはしておかなければと思った」と、まず会の中で意見をまとめ、一昨年11月に県に話を持ちかけたという。その後、日頃からボランティア活動で協力関係にあった鍼灸師会も加わり、協議を重ねていった。

 協議の場においては、令和元年の台風19号により大水害に遭った東松山市の避難所で施術ボランティアを行った経験や、昨年の石川県能登半島地震で甚大な被害を受けた珠洲市役所での健康支援活動などの実績を示しながら、県に理解を求めた。また、埼玉県は災害の少ない県という事情もあった中で、粘り強く話し合いを続けた結果、今回の協定締結に至った。

 同協定によって今後は、県と迅速な連携を図って救護活動に当たる。また、協定書の中には「施術所等におけるあはきの施術及び療養上の相談」との業務内容が明記されており、秋山氏は「施術だけでなく、避難生活が長期化した被災者の不安に寄り添い、そこから体調の維持改善につなげることもあはき師は可能だ」と語った。

 業界側としては、過去の災害支援活動を通じて、あはき施術の未経験者が少なくないとの実感もあり、鍼灸マッサージに目を向けてもらう機会にもつなげていきたいとしている。

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