社会福祉法人桜雲会から新刊『視覚障害者柔道の歴史―人物史を中心に』が刊行された。著者は日本視覚障害者柔道連盟副会長の伊藤友治氏。207頁、2200円。
著者は視覚障害者に最も適したスポーツとして柔道を紹介する。畳の上で行うことによる安全性はもちろん、組み合って行うため、体性感覚が視覚以上に重要であり、晴眼者と共に取り組めるユニバーサルスポーツであることが最も大きな理由だという。
1964年の東京オリンピックを機に柔道が世界的な広がりを見せると、特にヨーロッパで、視覚障害者のリハビリテーションに柔道が有効として注目され、広く取り組まれることとなる。その後、世界大会の開催や、パラリンピックでの競技採用などを経て、東京パラリンピック2020が開催され、日本は13名の競技者が出場し、2つのメダルを得るにいたった。
時代ごとの背景から見る視覚障害者柔道の通史として、また、その時代を生きた、あるいは今を生きる視覚障害者柔道家達の道程を記す唯一珠玉の一冊。