疫病の精神史――ユダヤ・キリスト教の穢れと救い
竹下節子 著
ちくま新書 902円
コロナ禍の2020年3月。ローマ・カトリックの首長フランシスコ教皇は宗教を超えたあらゆる「善意の人々」に向け、病者のため、苦しむ人々のために共に祈ろうと呼びかけた。また、これに先立ち、「赦しの秘跡」に関する教令を発出。多くの司祭が葬儀などの儀礼中に感染する危機的状況を受け、通常の手続きなしに信者に免償の恵みを付与するものだった――新型コロナ、ペスト、赤痢、コレラ、スペイン風邪。古来人類が直面してきた疫病と宗教の関わり、疫病と戦ったとされた聖人たち、医学と宗教の関係を追う。