記憶する体
伊藤亜紗 著
春秋社 1,980円
中途視覚障害者で全盲の西島玲那さんは人と話す際、見えていた時からの習慣で自分の考えを整理するために「メモをとる」。その様はあたかも「見えている」かのようだという。一方、生まれつき耳が聞こえない木下知威さんは、小説や映画、芸術に親しむうちにある種の「音」を感じるようになった。経験と記憶はその人の体をどのように変えていくのか――。視覚障害、吃音、麻痺や幻肢痛、認知症などを持つ11人のエピソードを手がかりに、体に宿る重層的な時間と知恵について考察する、ユニークな身体論。