呉竹、「臨床教育研究センター」設置
公益社団法人東洋療法学校協会の第43回教員研修会が8月6日、7日、静岡県沼津市のプラサヴェルデで開催された。
平成30年度から実施されている新カリキュラムによって1単位から4単位に引き上げられた臨床実習について、船水隆広氏(東京医療専門学校)と池田弘明氏(中和医療専門学校)が各校の現状について解説した。船水氏は、呉竹学園グループでは教育の最重要項目を臨床実習ととらえ、臨床教育・実習・研究を目的として2019年度に「臨床教育研究センター」を発足し、マネジャーに鍼灸・柔整学科長経験者を配置して取り組んでいると説明。東京医療専門学校の外部臨床実習について、1学年は見学実習20時間(4時間×5施設以上)、2学年は実習20時間(8時間×2施設に加え医療機関や介護・スポーツ施設で4時間)、3学年は45時間(1施設における8時間×3日を2回)を実施していると紹介した。
また、見学実習の対象施設は通常の治療院にとどまらずスポーツ系や婦人科系、美容系など多岐にわたり、大学病院などでの実習も行っていると述べた。
学生、実習先に不満も
実習後、学生と実習先の双方にアンケート調査を行っており、学生からは「鍼灸接骨院が予想以上に鍼をしていて驚いた」「治療院によってスタイルがあり、患者さんの質の違いも多いことが理解できた」といった感想があった一方で、「カーテンの外でずっと立たされ、あまり学習にならなかった」「治療院によっては、実習に対して理解が乏しいと感じた」という不満も上がっていたと説明。実習先からは「同じ学生にもう一度来てもらえば、学びたい内容の深掘りができて良いのではないか」「事前に学生本人の紹介文があった方がアドバイスがしやすい」などの提案があったと話した。
池田氏は、同校の臨床実習はベッド16台規模の付属治療院で実施しており、1人の生徒が1年間に施術を行う一般患者数は本科(あはき)で65~75人、専科(はり、きゅう)で35~45人程度となっていると説明した。▽新患の場合、問診・身体診察、刺鍼・施灸は教員が行うが、来院数回目の患者は生徒が担当する、▽新患の病態把握、治療部位決定・選穴をするのは教員だが、数回目の患者は病状や生徒の質によっては生徒に任せるといった、実習における役割を紹介。ただし、患者の送り出しなどを除く治療に関わる全ての場面において、教員による指導・監視及び介助は徹底していると述べた。
ほかに特別講演『省察的実践家としてのプロフェッショナルを育てる』(藤沼康樹氏・医療福祉生協連家庭医療学開発センター長)、市民公開講座『統合医療と地域活性』(山本竜隆氏・朝霧高原診療所院長)などが行われた。