死を生きた人びと―訪問診療医と355人の患者―
小堀鷗一郎 著
みすず書房 2,592円
「死は敗北」とばかりにひたすら延命する医者。目前に迫る死期を認識しない家族や患者自身。病院以外での死を例外と見なし、老いを予防しようとする社会や行政――。様々な要因が複雑に絡み合い、現代日本では患者の望む最期を実現することが非常に難しくなっており、その背景には病院死の一般化によって人々が「死を忘れた」ことがあるという。日本の終末医療が「在宅」中心へと大きく舵を切りつつある今、355人の看取りにかかわった訪問診療医である著者が在宅診療・在宅看取りの実際とその意義を伝える。